工事の安全や、その土地に住み続ける人の安全な暮らしを願って行われる地鎮祭は、2024年現在でも行われているのでしょうか。
地鎮祭が行われているのかどうかや、費用がいくらかかるのかなど、「いまどきの地鎮祭事情」について詳しく解説します。
新築を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
地鎮祭っていまどきやるの?
2024年の現在でも地鎮祭を行う人はいます。どのくらいの割合で行われているのか、やらないとどのような問題があるのかなどを紹介します。
地鎮祭を行う割合
地鎮祭が行われる割合を示したデータはありませんが、ある建築会社に伺ったところ、地鎮祭を行う人の割合は約50%とのことです。
地鎮祭を必ず勧める会社とそうでない会社で割合は異なります。また、世代別でも違いがあり、20〜30代より40代以上のほうが地鎮祭を行う割合が高いようです。
依頼する会社や世代によって「地鎮祭をやるべきか」の回答が異なるようですが、昔に比べると地鎮祭をやらない選択をしている施主が増えていることは間違いないでしょう。
やらないと何か問題がある?
地鎮祭をやらないことで起こり得る問題は、次のとおりです。
- 工事中に現場へ行っても誰が大工かわからない
- 親や近所の人から地鎮祭をやらなかったことで不満をいわれる
- トラブルが発生した場合、地鎮祭をやらなかったことが原因だと思ってしまう
建築会社にもよりますが、地鎮祭には工事を担当する現場監督のほかに、大工も出席します。地鎮祭で顔合わせをしておくと、工事中に現場で会ったときにあいさつができますが、顔合わせをしていないと誰か分かりません。
「工事前に皆さんにあいさつがしたい」「工事をしてくれる人がどんな人なのかを知っておきたい」と考えている人は、地鎮祭を行ったほうがよいでしょう。
また、地鎮祭をやるべきだと考えている親や近所の人から、やらなかったことについて不満をいわれるおそれがあります。
何かトラブルが起きたときに「地鎮祭をやっておけばよかった」と少しでも思う可能性があるなら、やっておくことをおすすめします。
簡易的なスタイルも存在
祭壇をつくったり、テントを張ったりせずに塩をまくだけなど、簡易的な地鎮祭のスタイルもあります。
依頼する神主や建築会社によっては、簡易的なスタイルでも対応してくれることもあります。少しでも費用と手間を省きたいと思っている人は、早めに相談しておきましょう。
そもそも地鎮祭とは
そもそも、地鎮祭は何のために行うものなのでしょうか。
地鎮祭は、土地の神様から「家を建てる許可」をもらう儀式のことです。また、工事中の安全や、その土地に住み続ける人が長く健康に、安全に暮らしていけるように願う意味もあります。
地鎮祭の流れ
地鎮祭の流れは、次のとおりで、施主が関わるのは3つです。
地鎮祭の流れ | 内容 |
---|---|
①修祓の儀 | 参列者の前に置かれた祭壇や参列者を清める |
②降神の儀 | 祭壇へ神様をお招きする |
③献饌 | お招きした神様にお供え物を食していただく |
④祝詞奏上 | 神主が工事の安全祈願・建築開始の報告を伝える |
⑤四方祓い | 土地を清める |
⑥地鎮の儀・鍬入れの儀 | 祭壇前に準備された盛り土に鍬を入れる ※施主と建築を担当する会社が行う |
⑦玉串奉奠 | 玉串を神様へ捧げる ※施主と建築を担当する会社が行う |
⑧撤饌 | 祭壇のお供え物を下げる |
⑨昇神の儀 | 神様をお見送りする |
⑩神酒拝戴 | お神酒を参列者全員で飲んだあと、閉会 ※施主と建築を担当する会社が行う |
上記のような流れで行われ、時間は約30分です。施主が関わる3つの部分については、事前に建築会社の担当者から説明があるので安心してください。
また、従来では地鎮祭のあとに「直会」といって、参列者で食事会を行う場合が多くありましたが、昨今では開催されないことがほとんどです。
費用相場・用意する物
地鎮祭の費用相場は約3〜15万円です。
依頼する神主や建築会社によって、大きく価格が変動するため、不安であれば契約前に確認しておくとよいでしょう。地鎮祭で用意する物とそれぞれの費用相場は、以下のとおりです。
用意するのもの | 備考 |
---|---|
玉串料:3〜5万円 | 神主へ支払うもの ※水引が「蝶結び」の中袋があるのし袋を使用する |
お供え物:1〜2万円 | 米、お神酒、野菜、海のもの(昆布や魚など)、果物(ぶどうやいちごなど)、塩、水を用意する ※地域や依頼する神主によって内容は異なる ※神主や建築会社が用意してくれる場合もある |
祭壇・テントのレンタル代:5〜7万円 | 建設費用に含まれておらず、別途用意する場合にかかるもの |
神主の御車代:5,000円〜1万円 | 地鎮祭を行う場所までの交通費 ※神主によっては不要 |
神主の中には玉串料を支払うだけで、お供え物を用意してくれたり御車代はいらないと言ってくれたりする人もいます。祭壇は神主が、テントは建築会社が用意してくれる場合が多く、出費は玉串料のみで済む場合がほとんどです。
参加者
一般的な地鎮祭への参加者は、以下のとおりです。
- 施主(自分たち)
- 担当者(営業担当)
- 工事を担当する現場監督や大工
- 施主の両親など家族
必ず両親などの家族を呼ぶ必要はありませんが、特に小さい子どもがいる場合は、飽きてしまったときに対応してもらえるように呼んでおくのがおすすめです。
地鎮祭中は、基本的に施主である自分たちは、祭壇の前から動けないので、子どもの面倒を見ていてくれる人がいると、安心できるでしょう。
地鎮祭以外に必要な行事はある?
家を新築するとき、地鎮祭以外に必要な行事は、以下の2つです。
- 上棟式
- 竣工式
以下より、上棟式と竣工式について詳しく解説します。
上棟式
上棟式は、建築が進み建物の枠組みができ上がり、屋根部分の形ができた段階で行うものです。
大工や建築会社の担当者、施主の家族などが参加し、宴会を行うのが一般的で、餅まきをして近所の人を招くこともあります。用意する物や参列者の数によって異なりますが、約10〜15万円かかります。
しかし、上棟式は必ず行うべきものではありません。地鎮祭と合わせると20万円近くかかってしまうため、多くの人は上棟式を行わずに地鎮祭のみを行うケースが多いです。
竣工式
竣工式は、すべての工事が終わり、建物が完成したときに行う儀式で、大工や建築会社の担当者、施主の家族などが参加します。
費用相場は、簡略化した儀式のスタイルで約10〜15万円かかり、参列者が多い大規模な儀式となると、それ以上の費用がかかってしまいます。完成を祝う大切な儀式ですが、現在では建築会社がテープカットで簡易的にお祝いするスタイルが主流です。施主がお金を出して行うのではなく、逆に住宅メーカーや工務店からプレゼントをいただくなど、会社独自のおもてなしの場として用意されることが多いです。
竣工式も上棟式や地鎮祭と同じく、必ずやらなければいけないものではなく、建築会社や親、友達などと相談したうえで、自分たちがやるべきだと判断したときに行うのがよいでしょう。