銀行の住宅ローンの審査基準を解説、審査前にできる対策とは

更新日:
銀行の住宅ローンの審査基準を解説、審査前にできる対策とは

住宅ローンの融資を受けるときは、当然銀行の審査に通る必要があります。では、銀行はどのような審査をしているのでしょうか。審査項目がある程度わかれば、対策を立てられます。

この記事では、国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」をもとに、住宅ローンの融資における銀行の審査について解説します。

【共通】住宅ローンの審査基準

銀行によって審査内容は異なりますが、多くの銀行で共通している審査項目があります。どの銀行でも重要視している項目であるため、きちんと理解しておきましょう。

年収

融資額に見合った年収がなければ、銀行は融資してくれません。

住宅ローンは1,000万円以上の借入となるケースがほとんどで、しっかりと返済できるかどうかを判断するために、年収は大切な指標となります。

また、20〜30年以上の返済期間となる場合が一般的であるため、収入が安定しているか、という点も重要です。収入の安定性を審査するために、勤務先・勤続年数・雇用形態なども審査対象になります。

健康状態

健康状態が不安定だと住宅ローンを回収できなくなるリスクが高いため、融資を受けられないことが多いです。

銀行が着目しているのは、団体信用生命保険への加入です。団体信用生命保険は一般に団信と呼ばれており、住宅ローンの契約者が亡くなった際や高度障害状態になった際に、保険金で住宅ローンが完済できる仕組みの保険です。

多くの銀行が、団信の加入を住宅ローンを契約する際の条件にしています。その団信にも審査があり、健康状態によっては加入できません。

健康状態に問題があると、働き続けることが困難になる可能性が想定されます。多くの人は健康状態に問題が発生し働けなくなってしまうと、収入が激減、あるいは途絶えてしまうでしょう。そうなると、住宅ローンの返済ができなくなってしまいます。

融資したお金が返ってこないのは困るため、継続的に働く能力があるかを判断するためにも、健康状態は多くの銀行で審査対象となっています。

年齢

年齢に関しては「借入時の年齢」と「完済時の年齢」の2点が審査されます。

借入時の年齢ですが、20〜30年と返済するうえで、同じ年収の人であれば基本的には若い人のほうが有利になる傾向があります。年齢を重ねるほど、病気になるリスクが高くなり、病気が原因で働くことが困難になる可能性が考えられるためです。

また、返済期間中に定年を迎えるかどうか、という点も審査に影響を与えます。多くの人は定年後の収入が定年前と比較して減少するため、住宅ローンの返済に影響を及ぼすためです。

完済時の年齢は、銀行や住宅ローンの商品によって、完済時の年齢に上限が設けられています。上限年齢を超えてしまう場合は住宅ローンを組めません。そうなると、返済期間を短くする必要があり、毎月の返済額を増やしたり、ボーナス払いの金額を増やしたりする必要があります。

当然ですが、返済の負担が大きくなるため、審査に通りにくくなってしまいます。

担保評価

担保評価では、住宅ローンを借りて購入する予定の土地や建物の価値が審査されます。

住宅ローンは多額の融資になるため、借りるための条件として銀行が担保を設定します。万が一返済が滞った際は、銀行が土地や建物を売却してお金を回収できます。

そのため、購入予定の土地や建物の担保評価も審査対象となります。

返済負担率

収入に占める返済額の割合も審査対象です。返済負担率の計算は以下のとおりです。

返済負担率(%)=年間返済額 ÷ 年収 × 100

年収500万円の人を例に考えてみます。住宅ローンの年間返済額が100万円であれば返済負担率は20%(100万円÷500万円×100)ですが、年間返済額が150万円であれば30%(150万円÷500万円×100)です。

注意点として、住宅ローンだけではなく、カーローンや奨学金などすべての借入金の返済額の合計で計算されます。

返済負担率が高いと、自由に使えるお金が少なくなってしまうため、返済が困難になる可能性が高くなります。そのため、返済負担率は低いほうが審査に通りやすいです。

銀行によって基準は異なりますが、フラット35の場合、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下で設定しています。

銀行によっては審査される項目

おおまかな審査項目は同じですが、その銀行特有の審査項目もあります。ここでは、銀行によっては住宅ローンの審査項目とされているものについて紹介します。

個人の信用情報

個人の信用情報には、過去のクレジットカードやローンの取引情報が記録されています。信用情報を審査することで、きちんと返済してくれる人かどうかを判断します。

過去に以下のような事実があると、審査に悪影響を与える可能性が高いです。

  • クレジットカードやローンの延滞
  • 年金や保険料の支払いの滞納
  • 債務整理の経験

現在の年収が問題ない人でも、過去に延滞や滞納があると、住宅ローンの返済をしっかりしてくれる人かどうか、という点に疑問が生じるため、銀行側が不安に感じてしまいます。

家族構成

家族構成によって、支出は大きく変わります。

独身の人と、子どもと配偶者がいる家庭を比べると、一般的には毎月の生活費は独身の人のほうが少ないです。子どもがいる家庭の場合は教育資金も必要になります。

このように考えると、家族構成によって世帯の支出が異なり、住宅ローンの返済の負担も変わってきます。もちろん、結婚していたり子どもがいたりするだけで不利に働くというわけではありません。

とはいえ、住宅ローンの返済以外の支出が大きくなりやすいので、返済負担率が高くなるような契約が難しくなる可能性が考えられます。

所有資産

現預金や株式、債券、投資信託、不動産などの所有資産も審査に影響する可能性があります。

万が一収入が途絶えてしまったときや収入が激減してしまったときでも、住宅ローンの返済が継続できるかどうかが判断されます。

ある程度の資産を持っている方であれば、資産を売却することで一定期間は住宅ローンの返済が可能なため、審査は有利に働くでしょう。

審査の前にできる対策とは

数年以内に住宅購入を予定の方に向けて、審査前にできる対策を紹介します。

ほかのローンの完済

ほかのローンを完済すると、返済負担率が下がるため、住宅ローンを借りやすくなります。

返済負担率が下がると、住宅ローンの借入可能額が増えるため、理想のマイホームを購入するためにも実践したい対策です。

複数のローンを借りている方は、金利が高いローン、借入額の大きいローンから繰り上げ返済していきましょう。支払う利息を減らせるように繰り上げ返済していくことで、効率的にローンを返済できます。

ペアローンや連帯債務、連帯保証

借入額を増やしたい場合、ペアローンや連帯債務、連帯保証の利用が有効です。それぞれ特徴は若干異なりますが、いずれも収入を合わせることで借入額を増やせます。

ペアローン・連帯債務・連帯保証の特徴
種類 特徴
ペアローン ペアローンはパートナーが1本ずつ、計2本の住宅ローンを組む。それぞれで団信の加入、住宅ローン控除が受けられる。
連帯債務 ローンの数は1本で、それぞれが同等の返済義務を負う。
連帯保証 ローンの数は1本で、主債務者が返済できない場合に連帯保証人が返済義務を負う。

単純に、ひとりの収入をベースに住宅ローンを契約するよりも、複数人の収入をベースにして住宅ローンを契約したほうが銀行は安心できます。

共働き夫婦であれば、ペアローンや収入合算を検討してみてください。

頭金の増額

頭金が多いと住宅ローンで借りる金額を減らせるため、返済負担率を下げられます。

計画的にお金を準備できていることも示せるため、銀行の担当者によい印象を与える可能性もあります。

なお、頭金の一般的な目安は住宅購入価格の10〜20%です。

メインバンクにする

住宅ローンの商品は銀行によって内容が大きく変わります。他行と比較してこの銀行の住宅ローンがよい、と感じた際はその銀行の取引を増やしてみてください。

たとえば、給与振込口座に指定したり、資産運用を行ったりすることです。よく利用してくれる顧客に対して、審査で優遇してくれることもあるため、あらかじめ住宅ローンを契約する銀行を決めている場合は取引を増やしてみてください。

また、事前に決めていない場合でも、住宅ローンを契約するための話し合いの中で、取引を増やすことをほのめかすことも有効な手段となる場合があります。

住宅ローン審査に落ちる理由とその対策を徹底解説!│住まいサーフィン

銀行は建築会社からも紹介してもらえる

住宅ローンの融資を受ける銀行の選び方は、自分で比較検討したり、取引の多い銀行にしたりと人それぞれです。

融資を受ける銀行の目星がついていない方でも心配はいりません。建築会社が、現在の金利事情や各銀行の特徴などと併せて銀行を紹介してくれます。

また、紹介してくれる銀行は各会社によって異なります。そのため、多くの建築会社にコンタクトをとり、住宅ローンに関する多くの情報を収集しましょう。

メタ住宅展示場では、家づくりプランの一括請求ができます。入力した条件をもとに優良建築会社が無料で家づくりプランを作成してくれます。これから家づくりをスタートさせたい方はぜひ利用してみてください。

東証グロース上場

リビン・テクノロジーズ株式会社(東証グロース上場 証券コード:4445)が運営する住宅展示場です

Copyright © Living Technologies Inc. All rights reserved.

page
top