「2021年度フラット35利用者調査」によると、土地付注文住宅(土地がついた形式の注文住宅)を建てる際の所要資金は4,455万円が全国平均です。3,000万円台で家を建てるには予算を平均以下に抑える必要があるため、節約が必要です。
本記事では、土地込み3,000万円の予算で実現できることと実現しにくいこと、後悔しないための3,000万円で家を建てる際の注意点を解説します。
もくじ
土地込み3,000万円の注文住宅で実現できること
「2021年度フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅の購入者に関するデータでは、総費用のうち土地取得費が全国で約1,444万円、首都圏では約2,220万円です。f
そのため、土地込み3,000万円で注文住宅を建てる場合、建築費には約1,500〜1,600万円かけられるといえるでしょう。
一般的に、建築費が1,000万円台の家はローコスト住宅と呼ばれます。ローコスト住宅は坪単価だと30〜40万円で、これは大手ハウスメーカーの約半分の金額です。安価で家を建てることを考えると、思い通りにならないことも多いかもしれません。
しかし、工夫次第で理想の家を建てる方法があります。まずは土地込み3,000万円の注文住宅で実現できることを見ていきましょう。
3LDK〜4LDKタイプ の家ができる
注文住宅で建築費1,500万円前後の家を建てるときの延床面積は、90〜110㎡といわれています。これは27~33坪に相当します。30坪は畳の枚数にすると約60畳で、3LDK〜4LDKタイプが中心になるでしょう。
一般的なファミリータイプの住宅は3LDK〜4LDKなので、家族4人または家族3人+ペットなどの家族構成に適したサイズです。間取りは、家族でゆっくり過ごせる広めのリビングダイニング、夫婦の寝室、子供部屋というタイプが人気です。
都市部ではもう少し狭くなることもありますが、土地込み3,000万円の注文住宅でも家族4人が不便なく過ごせて、子供部屋を作ることや、必要があれば仕事部屋や趣味の部屋を作ることもできるでしょう。
中庭やウッドデッキなど、こだわりを入れられる
土地込み3,000万円はやや低い予算ですが、プロの建築士が理想に合った家を設計してくれます。
理想の家は以下のように人それぞれ異なるでしょう。
- 中庭を作って、子供やペットを遊ばせたい
- リビングは吹き抜けにして開放感ある家にしたい
- ウッドデッキで朝食を楽しみたい
- ペット専用部屋を作りたい
予算に限りがあるため、すべてが希望どおりにはいかないかもしれませんが、やりたいことを最初から諦める必要はありません。建築士やハウスメーカーは多くの実績と経験を持ち、予算内で最適な提案をしてくれるため、希望を諦めることなく最適なプランを見つけやすいです。
要望をしっかり伝えて、予算に合った実現方法を提案してもらいましょう。
構造や耐久性には問題ない家ができる
土地込み3,000万円の予算で建てられる家の構造や耐久性を心配する人もいるかもしれませんが、その点は問題ありません。
家を建てるときは審査機関の基準を通ったものを使うこと、国の基準に沿った構造になっていることが条件になっているため、一定の安全性が保証されています。家の建築には厳しい基準があるため、低価格であっても
たとえローコスト住宅と呼ばれるものであっても、地震などの災害に弱いということはありません。
土地込み3,000万円の注文住宅では実現しにくいこと
土地込み3,000万円のローコスト住宅では、家族に必要なものが厳選されていきます。この項では、土地込み3,000万円の注文住宅だと実現しにくいことを説明します。
デザイン性の高い家は難しい
建築費を1,500万円前後と仮定すると、曲線が多い家や特殊な形をした家、デザイナーズ住宅のような凝ったデザインの家は難しいでしょう。
1,500万円前後の家はシンプルなデザインになることが多く、家の形も真上から見ると長方形に近い形になります。
たとえば、1階が2LDKで50㎡に対して、2階は部屋が一つで30㎡という間取りの場合は、どうしても外壁の凹凸が増えてしまうため、材料費がかかってしまいます。そのため、予算を考えると実現が難しいです。
同様に、屋根の形を選ぶことも難しいでしょう。坪単価は屋根面積を少なくすることで下がるため、屋根の形状は
グレードが高い設備や最新の設備を入れられない
新しい家には最新の設備を入れたいところですが、土地込み3,000万円の注文住宅の場合は難しいかもしれません。
たとえば、システムキッチンにはさまざまなタイプがあり、価格が安いものでは30〜40万円、グレードが高い最新のものでは150万円を超えます。
一般的に収納が引き出しより、開き扉のほうがキッチンは安いため、デザインや形を予算と相談して決めていく必要があります。同様に、お風呂やトイレも最新のものは難しいと考えたほうがよいでしょう。
また、思い切って食洗機などの設備を削る方法もあります。家族の人数や生活スタイルにもよりますが、食洗機があっても結局使わないという家も少なくありません。
家族で話し合って設備の有無を取捨選択し、不要なものにはお金をかけないようにしましょう。
外構の種類が選べない
外構は大きく分けて、クローズ外構・オープン外構・セミクローズ外構の3種類あります。
クローズ外構は塀やフェンスを設置し、敷地の内外を明確に分けられます。外から家の中が見えないためプライバシーが守られ、防犯面も安心です。
オープン外構は、家の周辺に塀やフェンスなどを設置しないか、低めのものを設置します。外から見えやすくなりますが、開放感があります。
セミクローズ外構はその中間です。一般的にオープン外構が一番予算がかからないため、オープン外構をすすめられる可能性が高いでしょう。
プライバシーが心配という人は樹木や草花を植栽するなどの方法はありますが、角地や人通りの多い場所などでは慎重に検討する必要があります。
土地込み3,000万円で理想の家を建てるための注意点
予算内でできること・できないことを説明してきました。最後の項では、土地込み3,000万円で理想の家を建てるためのポイントを説明します。
優先順位を決めておく
土地込み3,000万円で理想の家を建てるためには、そもそも「どういう家が理想なのか」を明確にしておく必要があります。その中で絶対に譲れないものを決めておき、家族で話し合っておきましょう。
絶対に譲れないものは、以下のように具体的に決めておくのがおすすめです。
- 家族でくつろげる広いリビングが欲しい、大きめのソファも置きたい
- キッチンは開き扉でもよいが、3口ガスコンロとコンセントは欲しい
- 屋根付き駐車場と、自転車を2台置けるスペースが必要
- 夫婦の寝室は8畳以上、子供部屋は6畳が2部屋
複数の希望が挙げられると想定されますが、優先順位を決めておきましょう。
できるだけ安い土地を探す
本記事は建築費1,500万円前後を想定していますが、土地代を抑えられたら家にかけられる費用が増えます。
都市部と地方で大きな差がありますが、土地の購入費用は1,000万円以上かかる場合がほとんどでしょう。土地代を抑えるには、次のような土地を検討してはいかがでしょうか。
- 建築条件付きの土地(家を建てる施工会社が決まっている土地)
旗竿地 (細長い路地の先にある奥まった土地)- 斜面や坂の上
- 駅から離れている
- 日当たりが悪い
- 近くにお墓などがある
一見、敬遠しがちな条件ではありますが、土地代が安く済むことで理想の家を建てられる可能性があります。
また、悪い条件も場合によってはよい条件ととらえることもできます。たとえば、施工会社が決まっていなければ、建築条件付き土地(売建住宅)に家を建てるのはどうでしょう。
建築条件付き土地とは売主が買主に対し、以下の条件を課した土地のことです。
- 土地の売主または売主が指定した会社で建築すること
- 一定期間内(約3カ月以内が多い)に指定された会社で請負契約を結ぶこと
施工会社を自分で探すことはできませんが、そのぶん探す手間が省けるので、打ち合わせなどに時間をかけられます。
また、駅から家が離れていても、バスや車があれば通勤の問題はなく、学校や幼稚園が近くにあれば無理なく通学や通園ができます。
日当たりが悪くても、採光を考慮したデザインの家にすることで、デメリットは解消されるでしょう。
工夫次第で理想の家を建てられるため、家に予算を回すためにも、土地の選択肢は広く持ちましょう。
複数のハウスメーカーや工務店に見積もりを取る
注文住宅を建てたいと思ったら、まずパンフレットを取り寄せたり、住宅展示場に行ったり、相談しに行ったりするでしょう。その際に必ず複数のハウスメーカーや工務店に出向きましょう。
なぜなら1社だけでは、その会社がよいのか悪いのか判断できないためです。何社か見学し、見積もりを取ることで「A社はB社より安くできる」「C社のデザインが理想に近い」など、その会社の良し悪しがわかってきます。
また、家には相性があります。たとえば住宅展示場で、モデルハウスを見学したときに「この家の雰囲気がよい」などの印象は大切です。自分が住むことになる家ですので、心地よいと感じる空間が何より大切です。
なお、当メディアのメタ住宅展示場は、自宅にいながら全国各地のモデルハウスの内部を360度自由に見渡せます。展示場に出向くのが大変、面倒くさいと感じる方は、3,000万円で家を建てる際の参考にしてください。