おしゃれな注文住宅を建てるなら、輸入住宅、国内メーカーが販売している海外風の住宅といった複数の選択肢があります。
その一方で「輸入住宅と国内メーカーの注文住宅の違いは何?」「輸入住宅のメリット・デメリットを知りたい」など、輸入住宅に関する疑問を持っている方も多いでしょう。
今回は輸入住宅の定義や特徴、建築できる家の外観の種類、メリット・デメリットなどを紹介します。海外風な外観の家を建築したい方は、参考にしてください。
もくじ
輸入住宅とはどんな住宅を指す?
はじめに、輸入住宅の定義や特徴、日本の住宅との違いについて解説します。欧米風の外観を持った住宅はすべて「輸入住宅」というイメージを持つ方もいますが、実際はどうでしょうか。
輸入住宅の定義
輸入住宅とは、海外の設計思想にもとづいて海外の建築資材を使い、日本で建築された住宅のことです。
法的な定義や数値、基準などはないため、海外の建築資材を使っていれば輸入住宅と名乗れます。そのため、輸入住宅と日本の建築資材を使い欧米風にした住宅を比較すると、区別がつきにくいことがあります。
しかし、日本の一般的な住宅と異なり、輸入住宅の建築方法や住み心地はまったく異なります。
輸入住宅と日本製の住宅!その違いとは
元来、家はその国の気候風土に合わせた工法で建てられます。たとえば、欧米にある住居は冬が寒く乾燥した地域が大部分のため、家の中で適温になった空気が外に逃げない対策を徹底しています。具体的には「ドアや窓の開口部を狭く丈夫にし、断熱効果の高い素材を使用する」といった対策です。
アーリーアメリカンスタイルで人気のアメリカの住居も、湿度が低い地域で建築されることが多いため、このように断熱性や気密性を重要視して設計されるのが一般的です。
一方、日本の伝統的な住宅は、柱や梁で家の構造を支えています。日本は太平洋高気圧の影響で、夏は高温多湿になりがちです。特に、長い間首都だった京都では、夏は気温も湿度も高いのが通常だったため、柱や梁で家の構造を支えて開口部を広く取り、風通しのよい造りが適していました。
つまり、日本製の家と輸入住宅では、何を重要視して設計されるかという点に違いが出やすいのです。一般的には、日本の家は風通しのよさが、輸入住宅は断熱性・気密性の高さが重要視されやすいでしょう。
輸入住宅にも例外はある
日本の夏は高温多湿になりやすいですが、日本全土が同じ気候というわけでもありません。たとえば、北海道は梅雨がなく乾燥しています。そのような場所では昔から断熱性能の高い家が造られており、輸入住宅が建築されることも多くありました。
また、海外も地域や国によって異なる気候であるため。輸入住宅でもドアや窓など開口部を広く取っている住宅もあります。開口部が広い住宅は、高温多湿な日本でも過ごしやすい造りです。二重窓や断熱ドアなどを設置すれば、気密性も高くなりやすいでしょう。
同じ間取りでも輸入住宅のほうが開放感を感じやすい
日本の住宅と輸入住宅では、「住宅を設計・建築する際に基準となるモジュール(寸法)」が異なります。
日本で使用されるモジュールは「尺モジュール」といい、3尺(91cm)が基本です。一方、輸入住宅のモジュールは「インチ・フィートモジュール」といい、4フィート(約122cm)が基本です。
そのため、同じ間取りでも輸入住宅のほうがゆったりと余裕がある造りで、開放感を感じやすいでしょう。
輸入住宅のメリット
輸入住宅を日本に建てる主なメリットは、以下のとおりです。
- 外観がおしゃれで施主のこだわりも反映しやすい
- 機密性・断熱性が高いことが多く光熱費を節約しやすい
- 比較的間取りに余裕があることが多いため、室内でも開放感がある
- 日本の住宅よりも寿命が長め
- 海外ドラマや映画に出てくるような家を実現しやすい
輸入住宅のメリットは、欧米風の外観を持ったこだわりの家を建てられることです。施主の理想とする住宅が、海外ドラマや映画に出てくるような欧米の家の場合、輸入住宅がはまっているかもしれません。
建材だけでなく、キッチンや浴槽などの設備も可能な限り海外製のものを使うため、日本のメーカー製の設備では難しい、デザインの内装もできます。
また、天井が高く廊下の幅や一部屋の広さがゆったりとしていれば、開放感があって車いすなどでも生活しやすいでしょう。
輸入住宅のデメリット
一方、輸入住宅には以下のようなデメリットも挙げられます。
- 除湿やシロアリ対策がおろそかだと住宅の劣化が早くなる
- 都会の住宅地など敷地が狭い土地では建てられる住宅が限られる
- 住人の体格や生活スタイルによっては欧米基準の設備は使いにくい
- 修繕に時間がかかったり大がかりになったりする場合がある
輸入住宅は欧米の気候風土に合った住宅のため、除湿機能が日本のハウスメーカー製の住宅に比べれば十分ではありません。家を建てる場所によっては、除湿工事を追加しないと建築後数年で断熱材や床下などにカビが発生するおそれがあります。
また、シロアリの被害を防ぐための対策が必要な場合もあります。さらに、モジュール(寸法)の違いにより、同じ間取りでも輸入住宅は日本の住宅より広い敷地が求められるのが一般的です。
都市部の住宅地など、狭小地では建築が難しい場合もあるでしょう。
海外製の設備は壊れた場合の交換が難しくなりがちです。設備によっては代替品がなく、大幅なリフォームが必要になるケースもあります。
輸入住宅はコストパフォーマンスがよい?
欧米風の住宅を建てたい場合、輸入住宅のほうが注文住宅よりコストパフォーマンスがよいとされていますが、輸入住宅の値段が安いというわけではありません。
輸入住宅は、現地で設計されて組立てるだけとなった建材を日本に運んで来て組立てるスタイルです。一方、注文住宅は施主の依頼を受けて建築士が設計から行って家を建てます。
注文住宅で欧米風の家を作る場合、建築資材を個別に集めなければなりません。施主の希望によっては特別注文となり、費用もかかります。それに比べると、デザインが決定しており、建材も大量生産できる輸入住宅のほうが建築費は安く済みやすいでしょう。
しかし、住宅メーカーによっては日本製の設備を使用した内装にするなど、より暮らしやすくアレンジしてくれる会社もあります。輸入住宅か注文住宅かで迷ったら、まずは複数の住宅メーカーに相談してみましょう。
日本のハウスメーカー製の欧米風住宅と輸入住宅との違い
日本のハウスメーカーを利用しても、外観が欧米の住宅に近い家を建てられます。日本のハウスメーカーを利用する主なメリットは、次のとおりです。
- 日本の気候風土に合わせた家づくりをしやすい
- 日本のメーカーであるため、スムーズなリフォームや修繕が実現しやすい
- 狭小地でも建てやすい
- 輸入住宅より値段が安いケースもある
日本のハウスメーカーは、日本の気候風土に適した家を建てられます。たとえば、湿気対策やシロアリの被害を予防する対策なども行ってくれるでしょう。
また、狭い敷地でも希望通りの外観に近い家を建てやすいといった特徴があります。その一方で、あくまでも外観を似せるだけなので、本格的な欧米の住宅に住みたい方は不満を覚えることもあるでしょう。
可能ならば、欧米風住宅と輸入住宅、両方の家を見学し見積もりを作成したうえで、比較検討するのがおすすめです。
輸入住宅の外観はどんなデザイン・スタイルが多い?採用されやすい代表例4つ
輸入住宅は大きく分けてヨーロッパ系とアメリカ系の2つに分類されます。ヨーロッパ系は北欧風や南仏風など、ヨーロッパに建てられている住宅です。
アメリカ系はヨーロッパ系をベースとして、アメリカの気候風土に適したスタイルに進化した住宅です。
ここでは、実際の写真とともに日本で人気のある輸入住宅の実例を紹介します。
シンプル派に人気の北欧スタイル
ヨーロッパ系の輸入住宅の中でもっとも人気なのが、北欧スタイルです。外観は凹凸が少なく、白・ベージュなどアースカラーの外壁、大きな屋根といった特徴があります。また、窓が大きく取られているので、湿気対策にも効果的です。
このほか、断熱性能が高い木製サッシ、木製とアルミのサッシの組み合わせなどが使われる例も多く、内装も自然木を多用しています。
日本の住宅の構造と共通点も多いため、現地のスタイルをそのまま取り入れても暮らしやすいのが人気の秘密です。
可愛らしい雰囲気が魅力の南仏(南フランス)風住宅
北欧スタイルと並んで人気なのが、南仏(南フランス)風の住宅です。温かみのあるベージュの外壁、洋瓦の屋根、小さい窓が特徴です。
ヨーロッパ風の住宅といえば、真っ先にこの外観を思い浮かべる方もいるでしょう。可愛らしいだけでなく断熱性も高いため、寒冷地の住宅としても適しています。
赤毛のアンも住んでいた?アーリーアメリカンスタイル
アメリカンスタイルの輸入住宅の大半が、アーリーアメリカンスタイルです。屋根は切り妻屋根、外壁はラップサイディング※、窓が左右ではなく上下に開くスタイルが定番です。
- ※ラップサイディング
- サイディング板を重ね上げて仕上げる工法
海外の田舎の家、「赤毛のアンに出てくる家」といえばイメージしやすい方も多いでしょう。なお、赤毛のアンに出てくるような家を建てたい場合、「カナディアンスタイル」といったほうがより近いイメージが出てくる場合もあります。
レトロだけど現代風なニューヨークスタイル
ニューヨークスタイルは、古き良きアメリカをイメージしており、昔の家を現代風にアレンジしたデザインです。アーリーアメリカンスタイルに比べると、あか抜けており都会的な印象を抱く人も多いでしょう。
外壁はラップサイディングなどアーリーアメリカンスタイルと共通部分もあり、「都会的ながら、懐かしさを感じさせるデザイン」がお好みの方に人気です。
また、レンガ風サイディングを使った重厚な外壁を使うケースもあります。
どの外観にするか迷ったら複数社の比較がおすすめ
輸入住宅にするか、日本製の輸入住宅風の外観にするか、どちらがよいでしょうか。何を重視するかによりますが、迷ったときは家づくりのプロである専門家に相談し、自分に合ったプランを提案してもらうのがおすすめです。
とはいえ、数ある住宅会社の中から1社に絞るのは骨の折れる作業です。メタ住宅展示場では、自宅にいながら各社のモデルハウスを360度好きな角度から見渡せます。外観だけでなく内観もすみずみまで見渡せるので、気になるモデルハウスがあれば家づくりプランの請求をしてみるとよいでしょう。
家づくりプランを請求いただく際は、住まいや希望条件に合わせおすすめの住宅会社が自動でピックアップされます。そのため、複数社にプランを提案してもらうことも可能です。積極的に複数社のプランを比較・検討し、住宅を理想の外観にしましょう。