二階建ての家を建てる場合、二階にトイレを設置するかどうかという点に悩まれる方も多いのではないでしょうか。モデルルームはあって当たり前の二階のトイレですが、設置することで費用や手間がかかるというデメリットもあります。
ここでは、新築戸建ての二階にトイレは必要かどうか、また設置後に発生するトラブルについて解説します。
もくじ
二階にトイレを設置するメリットとデメリット
二階にトイレを設置するメリットとデメリットについて解説します。
メリット
二階にトイレを設置する主なメリットは以下のとおりです。
- トイレ渋滞を減らせる
- トイレの使い分けができる
- 階段の上り下りを減らせる
- トイレのトラブルに対応しやすい
トイレ渋滞を減らせる
通勤や通学の準備をしている朝は、家族がトイレを使う時間が一緒になることが多いため、「トイレ渋滞」が起きがちです。
二階にトイレを設置することでトイレ渋滞を緩和し、朝の支度がスムーズに進みます。
トイレの使い分けができる
二階にトイレを設置し、トイレを2つにすることで以下のような使い分けが可能です。
- 二世帯住宅で世帯ごとに使うトイレを分ける
- 来客時、お客様は一階のトイレ、家族は二階のトイレを使う
- 家族の誰かが体調を崩してトイレを利用する回数が増えた場合、ほかの家族は別のトイレを使う
特に、家族の誰かが新型コロナウイルスやノロウイルスなどの感染症にかかった場合は、トイレが2箇所あると使い分けができるため家庭内感染のリスクを軽減できます。
階段の上り下りを減らせる
二階に部屋がある場合、トイレが一階にしかないと毎回階段を下りる必要があります。移動時間がかかるだけではなく、夜中にトイレで起きたときや、高齢者の場合は階段の上り下りの際に転倒、転落するおそれがあります。
二階にトイレがあれば、トイレのために階段を上り下りする必要はないため、手間や事故を減らせます。
トイレのトラブルに対応しやすい
トイレの水が流れない、何かが詰まったなど、さまざまなトラブルにより使えなくなることがあります。そういった際にトイレが1箇所しかないと大変不便です。
二階にトイレを設置してトイレを2つにすることで、片方が使えなくなってももう片方を使用できます。
デメリット
トイレを二階に設置した際に起こりうる3つののデメリットについて解説します。
- コストがかかる
- 音や悪臭が気になる
- 家族内のコミュニケーションが取りにくくなる
コストがかかる
トイレを二階に設置するもっとも大きなデメリットは、コストが余計にかかるという点でしょう。
トイレを設置するには、ドアや照明器具、内装に加え、便器や手洗器、換気扇、配管工事などの設備が必要です。間取りによっては配水管が長くなり、配管工事の費用がかさんでしまうおそれがあります。
それに加え、水道代や電気代といったランニングコストや劣化や破損による設備交換の費用などがかかります。また、費用面だけではなく、掃除や修理対応などに手間や時間がかかる点も忘れてはいけません。
音や悪臭が気になる
トイレの音は意外と響きます。間取りによっては二階で水を流すと、一階まで聞こえてしまうこともあります。
また、トイレは便器内にためた水、「封水」があることで配水管から立ち上ってくる臭いを防いでいます。しかし、二階にトイレを設置したものの普段使わないという場合は、封水が蒸発して減り、悪臭が漏れるおそれがあります。
家族内のコミュニケーションが取りにくくなる
二階に子ども部屋とトイレを設置した場合、二階で生活がほぼ完結するため、子どもが一階に下りてこないというケースもあるようです。
子どもとコミュニケーションが取りにくくなり、様子が分からないということもあります。
二階にトイレを設置すべき家庭とは
メリットとデメリットから、二階にトイレを設置すべき家庭と、そうでない家庭の特徴を以下にまとめました。
二階にトイレを設置すべき家庭 | 二階にトイレを設置しなくてもよい家庭 |
---|---|
|
|
もちろん、ライフスタイルや家に対する考え方はさまざまであるため、上記だけが判断基準ではありません。二階にトイレを設置するかどうかを決める際は、新居での生活をイメージしながら家族内でよく話し合って、慎重に検討しましょう。
二階にトイレを設置するときのポイント
二階にトイレを設置する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、場所や設備はどのように決めればよいのでしょうか。二階にトイレを設置する場合のポイントについて解説します。
設置費用
二階にトイレを設置する場合、便器や設備器具のグレードによっても異なりますが、一般的には50万〜100万円の費用がかかります。
二階にトイレを設置する際に特に気をつけたいのが、配管の距離です。配管は1mにつき約1万円の費用がかかるため、なるべく短くしたほうが費用を安く抑えられます。また、一階のトイレと同じものにするのではなく、グレードを下げるのも費用削減の手段です。
設置場所
一階のトイレの真上に二階のトイレを設置することで、配管にかかる費用を安く抑えることができます。二階は廊下やスペースが一階より狭いため、トイレの場所によっては扉の開閉や水を流すときの音が気になる場合があります。
二階に寝室や子ども部屋を設ける場合は、トイレはなるべく離れた場所に設置するほうが望ましいでしょう。反対に、高齢者の場合は、室内にトイレがあるような設計にすると移動の負担がかかりません。その場合は、十分な防音・防臭対策が必要です。
広さやデザイン
一階のトイレをメイン、二階をサブとする場合は、二階のトイレを一階より狭くしたり、便器や設備のグレードを下げたりすることで設置費用を抑えられる可能性があります。
たとえば、一階のトイレには設置している手洗い場やウォシュレット、窓を二階のトイレには付けないという選択肢があります。
しかし、二世帯住宅や二階に子ども部屋を設ける場合は、二階のトイレもグレードを下げずにしっかり作っておくほうが快適です。一階とは便器や壁の色を変えて、違った雰囲気にするのもよいでしょう。
設置後はこんなトラブルに注意!
トイレは水回りの中でもトラブルが生じやすい設備です。特に二階にトイレを設置した場合、配管が長く複雑になり、水漏れや逆流などの故障が起きるリスクが高くなります。二階にトイレを設置したあとに注意したいトラブルについて解説します。
誰が掃除をするかでもめる
トイレは汚れやすいうえ、清潔さが求められるので掃除が大変です。そのため、誰が掃除をするかでもめる場合があります。
よくあるのが二階に子ども部屋があったり、二世帯住宅であったりするケースです。メインで掃除をしている人が普段二階のトイレを使っていない場合、使っている人にトイレを掃除してもらいたいと思うでしょう。
しかし、二階を主な生活スペースにしている子どもやシニアの方が掃除を嫌がると、結局メインで掃除をしている人が掃除をすることになります。トイレの使い方が悪いと、掃除をする人の不満もたまり、もめごとの原因になってしまうおそれがあります。
逆流
一階と二階で配水管を共有していると、メインの配水管が詰まることで逆流が起こるおそれがあります。排水管にトイレットペーパーや汚物、異物などが詰まって汚水がせき止められた状態で無理に水を流すと、水は行き場を失い、水位が低い一階で逆流が起こります。
逆流が生じるとトイレの床や壁に下水の臭いが染みついたり、腐食が起こりやすくなったりするため、補修作業が必要です。
悪臭
トイレの水を流すと、配水管の中が一時的に真空状態になることがあります。真空状態になると便器の中にたまった水(封水)を配水管が吸い込み、水がなくなることがあります。
通常は、配水管に設けた通気管や通気弁により配水管が真空状態になるのを防いでいます。しかし、なんらかの不具合によりうまく機能せず、封水切れを起こして悪臭の原因になるおそれがあります。
特に一階と二階のトイレの配水管が同じだと、配水管の真空状態が起きやすくなるため注意が必要です。
水漏れして一階の天井から水が漏れる
トイレのトラブルとして、便器や給水管、配水管の破損によって起きる水漏れがあります。一階で水漏れをしても床下に流れるため、すぐに生活に支障が出ることはありません。しかし二階で水漏れをすると一階の天井が水浸しになったり、家具や家電を置いている場合はそれらが傷んでしまったりすることがあります。
また、二階の配管は複雑であるため、修理も大変です。逆流や悪臭、水漏れを防ぐためには、普段からトイレの状態を確認することが重要です。二階のトイレをあまり使わない、もしくは子どもや高齢者しか使わないという場合は異常に気づきにくいため、入念なチェックを忘れないようにしましょう。