注文住宅を建てる際に和室をつくるかどうか、家族間で意見が分かれることがあります。
本記事では和室をつくるべきか迷った際に、確認しておくべきことを過去のデータや導入した方の意見などをもとに紹介します。ぜひ和室をつくるべきか迷われている方は参考になさってください。
もくじ
注文住宅に和室は必要?和室をつくる人は減少傾向に
日本家政学会誌の報文「居住者の和室に対する思い入れ及び要求と 今後の和室の展望について」 によると、「和室は好きですか」という問いに対し、全体の約96%以上の人が「好き」と回答しています。
しかし、「日常生活に和室は必要と思うか」の問いに対して「絶対必要」「必要」と回答したのは、約62%にとどまりました。回答結果から、和室は好きではあるものの、住宅に和室の必要性を感じている人は、そう多くないことがわかります。
とても好き | 36.8% |
まあまあ好き | 59.9% |
あまり好きではない | 3.1% |
嫌い | 0.2% |
参考:日本家政学会誌 Vol. 68 No. 12 (2017)
絶対必要 | 19.4% |
必要 | 42.9% |
あるほうがよい | 31.9% |
あまり必要ない | 5.2% |
全く必要ない | 0.6% |
参考:日本家政学会誌 Vol. 68 No. 12 (2017)
調査票の配布について,今後の和室のあり方を 探る上で若者の意識や動向の把握が必要と考え,大学生 とその家族や知人に配布した.調査票*₁ は世帯票と家族票を作成し,一世帯に付き世帯票と家族人数分の家族票 を配布した.世帯票は世帯を代表する人に,家族票は同 居する家族員に配布した.配布は近畿圏を中心とし他は 地域を特定せずに配布し直接配布及び回収を原則とした. 近畿圏以外は各地の協力者*₂ に配布と回収を依頼した. 調査期間は平成₁₆~₁₉年度*₃ ,配布数₂,₁₈₉部,回収数 ₁,₃₇₂部(世帯票₈₆₂部,家族票₅₀₈部,不明 ₂ 部),回収 率は₆₂.₇%であった.日本家政学会誌 Vol. 68 No. 12 (2017)
実際、アキュラホーム住生活研究所の「住宅傾向調査2021」によると、下記のように新築戸建における和室・タタミコーナーの設置件数は、減少傾向にあります。
年 | 件 |
---|---|
2009 | 61 |
2021 | 41 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021』
2009年、和室やタタミコーナーを設置したのは100件中61件だったのに対し、2021年には41件と20件減少しています。
また、和室やタタミコーナーを設置した場合の平均面積も、下記のように6.5帖(畳)から4.2帖(畳)と、36%減少しています。
年 | 帖(畳) |
---|---|
2009 | 6.5 |
2021 | 4.2 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021』
和室をつくる人が減少した理由
和室をつくる人が減少した理由は、次のとおりです。
- 掃除や、ダニ対策が大変だから
- 間取りが制限されるから
- コストがかかるから
- 家具が置きにくいから
掃除や、ダニ対策が大変だから
一般的な畳はカビやダニが発生しやすいため、換気や掃除などの対策が欠かせません。なぜなら畳の原料が
また、隙間に埃やゴミが溜まりやすいので、掃除がしにくいというデメリットもあります。子どもがお漏らしをしてしまったときや、飲み物をこぼしてしまったときの手入れも大変です。
間取りが制限されるから
和室をつくろうとすると、間取りが制限されることが多いです。たとえば、間取りを考える際はカビやダニ対策のために、日当たりや風通しまで予測する必要があります。窓からの直射日光で、畳が日焼けすることも考慮しなければなりません。また、
しかし、和室の場所を優先して間取りを決めると、リビングやキッチンなどが希望通りに配置できないおそれがあります。
コストがかかるから
和室をつくると、その分コストがかかることがあります。注文住宅を建てるときにも押入れの扉や、
また、畳は定期的に張り替えをする必要があるので、メンテナンスにもコストがかかります。張り替え方法によって価格は異なりますが、畳一枚あたり5,000円以上かかるのが一般的です。数年ごとに張り替えると、かなりコストがかかります。
家具が置きにくいから
和室には、タンスなどの重い家具を置けません。畳はへこみやすく重い家具を置いてしまうと痕がついてしまい、傷みやすいからです。一度へこんでしまうと直すことが難しいため、畳自体を張り替えなくてはならず、コストもかかってしまいます。
和室に置ける家具はローテーブルなどの軽い家具に限定されてしまうため、使い勝手がよくないと考え、和室を避ける人もいます。
和室をつくればよかったと後悔する人の声も
冒頭で紹介したように、住宅を建てる際に和室をつくる人は減少傾向にあります。ただし、下記のような理由で「やはり和室をつくればよかった」と後悔する人もいます。
- 子育てに役立つ
- 来客用に便利
- 家族のくつろぎスペースになる
子育てに役立つ
1階のリビング横に和室があると、子育て家庭には役立つことが多いです。赤ちゃん期には、硬く冷たいフローリングでハイハイするよりも、畳のほうが安心感がありますし、おむつ替えのときも畳のうえならさっと寝かせられます。
子どもが1人で遊ぶようになってからも和室を遊ぶスペースにすれば、キッチンやリビングで家事をしながら、子どもを見守れます。小学生になったらローテーブルを置いて、宿題をする部屋としても使えるので便利です。
お友達が遊びにきたときもローテーブルを囲んで座れば、オヤツを食べる場所としても使えそうです。
来客用に便利
急な来客があったときも、リビング横の和室が役立ちます。洗濯物やソファーに散らかっている衣類など、隠したいモノを和室にサッとしまって扉をしめれば、お客さんをリビングにお通ししても恥ずかしくありません。
また、両親や友人が泊まりに来るときは、和室で寝泊まりしてもらえます。普段は布団を押入れにしまっておいて、来客があるときだけ布団を出せばよいので便利です。
家族のくつろぎスペースになる
和室は横になると畳の香りがして癒されます。子どもと一緒にゴロゴロしたり、少し昼寝をしたりと、家族みんなのくつろぎスペースとして活用できます。
和室の費用と導入して後悔しないためのチェックポイント
6畳前後の和室の場合、費用相場は20~40万円前後です。ここからは、和室を導入して後悔しないためのチェックポイントを紹介します。
畳を敷くだけの和室にする
注文住宅を建てる際、ただ畳を敷いた部屋をつくるだけであれば、追加費用が高額になることはほとんどありません。畳の種類を指定せず、押入れではなく標準仕様のクローゼットを和室につけることで、追加費用の支払いが不要になるケースがあります。
しかし、畳の種類や襖、押入れの扉や壁材などにだわると、追加費用が発生することが多いため注意しましょう。
置き畳やユニットタイプで代用できないか考える
置き畳とは好きな場所に置くことができる畳のことです。ユニット畳、システム畳と呼ばれることもあります。半畳タイプのモノが多く、置き畳をつなげることで好きな範囲を畳スペースに変更できます。裏側は滑り止めが付いているモノが多いため、フローリングなどの凸凹していない場所であればどこでも設置可能です。
置き畳は、家に和室がない人が「畳でゴロゴロしたい」「おしゃれな畳スペースがほしい」などの理由で取り入れることが多いです。1枚1,000円程度で購入できるモノもあり、手軽に部屋の雰囲気を変更できます。
画像引用:ニトリネット「ユニットタタミ」
フローリングと比較する
フローリングと畳には、下記のようにそれぞれメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
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メリット | デメリット |
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フローリングのメリット
埃やゴミが染み込んでしまうことがないので、基本的には掃除機で手入れができます。お掃除ロボットも安心して使えますし、床暖房にも対応しています。
また、大きな傷や穴があかない限りメンテナンスが不要です。畳と違い変色することも少なく、長く使用できます。フローリングは水に弱いともいわれますが、飲み物を少しこぼした程度なら、すぐに拭けば問題ないでしょう。
フローリングのデメリット
硬い素材のフローリングは、足が疲れやすいのがデメリットです。また、冬場はかなり冷たく感じてしまうので、ラグマットやスリッパが欠かせません。
畳のメリット
畳は、古くから日本で使われているだけあって、日本の四季に合わせた働きをしてくれます。保温性、断熱性に優れている畳は、夏はひんやり、冬は暖かさを感じられます。
畳に使われる井草の香りには、リラックス効果があるといわれています。「何となく、畳の部屋が落ち着く」「畳の匂いが好き」という人も多いでしょう。
畳のデメリット
湿度が高かったり、汚れが溜まっていたりすると、カビやダニが発生しやすくなります。カビやダニにより健康被害を及ぼすおそれがあるので、こまめな掃除や換気が欠かせません。
また、重い家具を置くと畳が凹んで痕がつきやすいのがデメリットです。軽い家具でもしばらく置いておくと日焼けが進み、家具があったところだけ色が違う、ということもよくあります。
今と将来の使用頻度を考える
和室をつくった場合、誰がどう使うのかを考えることも大切です。子どもが小さいうちは、子どもが遊ぶスペースとして使い、将来は客間として使いたい、など具体的なイメージがあると検討しやすいです。
客間として使いたい場合、お客さんが来る頻度はどうか、洋室にしておいて必要なときだけ置き畳を出すのはどうかなど、使用頻度も考慮しましょう。