天窓は家のなかが明るくなるだけでなく、おしゃれな雰囲気もつくります。そのため憧れる人が多いのですが、ちょっと待ってください。天窓にはさまざまなデメリットがあり、憧れだけで設置すると後悔することもあります。天窓のメリットとデメリットを比較し、対策を講じたうえで天窓を採用しましょう。
後悔することも…天窓のつらすぎるデメリット!
天窓に憧れる人は少なくありませんが、憧れだけで設置してしまうと後悔することもあります。デメリットも考慮したうえで検討し、天窓を設置するかどうか判断しましょう。
- 窓の掃除がすごく難しい!自分では不可能な場合もある
- 天窓費用が必要!30万以上もするものも
- まぶしい!焼ける!エアコンの効きが悪くなる
- 雨漏りが発生することもある
- 天窓に結露が発生してしまう
窓の掃除がすごく難しい!自分では不可能な場合もある
天窓で困るのがなによりも掃除です。天窓は高い位置に設置するため、掃除をするには脚立や柄の長い清掃用具が必要です。吹き抜けの天窓の場合、脚立を使っても届かないほど高い位置に窓が設置されています。天窓掃除のためだけに脚立を持っている人は少ないので、ほとんどの場合、専門の業者に依頼しなければ掃除ができません。
脚立があったとしても、ブラインドやロールスクリーンが窓の手前に設置されていることが多く、それらを避けて窓掃除をするのはとても大変です。また窓の外側は掃除だけでなく、傷が入っていないか、状態が悪くなっていないかの確認やメンテナンスが必要です。
転落事故のおそれもあるため、天窓の掃除は専門業者やハウスメーカーなどに依頼しましょう。
天窓費用が必要!30万以上もするものも
天窓の設置費用は、決して安くはありません。天窓には窓の開かない固定式と、開閉できる可動式の天窓があります。それぞれの費用についてみていきましょう。
- 本体価格
- 固定式天窓:約3万~6万円
- 可動式天窓:約10万~13万円
- 施工費用
- 窓施工費:約6万~8万円
固定式か可動式にもよりますが、天窓と施工費用の合計金額の相場は、約10万〜35万円になります。施工業者や窓のサイズ、種類、設置場所によって金額は前後するため、目安とお考えください。
さらに、窓の内側にロールスクリーンやブラインドを設置する場合は、その費用も必要です。決して安い買い物ではないので、本当に天窓が必要なのか、予算を考慮して検討しましょう。
まぶしい!焼ける!エアコンの効きが悪くなる
天窓を設置すると明るくなると同時にまぶしさを感じたり、必要以上の日差しが入ったりします。そのため、天窓からの日差しが当たっている部分だけフローリングが日焼けします。
また、窓は屋内で一番熱の出入りが多い箇所です。窓が増えるとそれだけ熱の出入りが増加するため、壁面の窓に比べるとエアコンの効きが悪くなります。
雨漏りが発生することもある
天窓はどうしても雨漏りが発生します。雨漏りなどの浸水する主な原因は次のとおりです。
- 施工不良で窓のまわりに隙間ができる
- 防水機能がついていない窓は開閉する隙間から浸水する
- 排水がうまく行われていない
窓枠が経年劣化や事故などで傷んで浸水する
雨を防ぐための屋根を一部窓に変えているので、雨漏りを100パーセント防ぐことは難しいです。
天窓に結露が発生してしまう
窓ガラスやサッシは結露が発生しやすい場所です。天窓も例外ではありません。結露でできた水分が、天井の木が使われている部分に浸透していくと、腐敗やカビなどの原因になります。
また、結露した水分が落ちてきたときに、雨漏りしていると勘違いすることがあります。雨漏りと結露では対策が違うので、業者を呼ぶ前に確認が必要です。
こんなに素晴らしい!天窓のメリット!
天窓にはさまざまなメリットがあり、家に取り入れると多くの恩恵を受けられます。たとえば次のようなメリットがあります。
- 風通しがよくなり、室内の空気を容易に入れ替えられる
- 家のなかが明るくなる
- プライバシーの確保につながる
天窓のメリットについて解説しますので、検討中の方は参考にしてください。
風通しがよくなり、室内の空気を容易に入れ替えられる
天窓には固定式と可動式があります。可動式であれば、窓を開けて天井部分にたまった空気を外に放出できます。特に夏の間は、天井部分にたまった熱い空気を逃がすのに、非常に役に立ちます。
風通しがあまりよくない環境であっても、壁に設置している窓と、天窓のふたつを開けることで自動的に風が流れます。これは、高低差がある位置に温度が異なる空気があれば、上昇気流が発生するためです。
家のなかが明るくなる
家の立地、窓の設置位置によっては、雨の日はおろか晴れている日でも日光が入りにくい家があります。サイズと位置をきちんと計画した天窓を設置すれば、日光が入りやすく、家のなかを十分に明るくできます。これによって照明器具を使う時間や頻度を抑えられるため、節電にもつながります。
プライバシーの確保につながる
戸建住宅は、隣家まであまり距離が離れていないことが多いです。そのため、窓の外からの人の視線が気になり、カーテンを閉めることが多く、部屋が暗くなってしまいます。しかし天窓があれば、カーテンを閉めてプライバシーを確保した状態でも家のなかに光を採り入れられます。
天窓の種類
天窓の種類は大まかに分けて、固定タイプ、手動開閉式タイプ、電動開閉式タイプの3つがあります。
- 固定(フィックス)タイプ
- フィックス(FIX)ともいわれ、開閉できない
- 手動開閉式タイプ
- レバーなどで開閉できる
- 電動開閉式タイプ
- 電動で開閉できる
天窓の種類ごとに、メリットとデメリットを解説します。
固定(フィックス)タイプ
フィックス(固定)タイプは、ガラス窓が固定されており開閉ができません。
メリットは高い場所でも設置しやすいことです。ほかの天窓のタイプと比べて故障が少なく、価格も安いことです。
開閉できる天窓と比べると、ガラス窓の面積を比較的広く確保できるため、部屋を明るくできるメリットがあります。開閉できないことがデメリットで、そのため通気性を得られません。
手動開閉式タイプ
手動開閉式タイプは、開閉用のバーやハンドルを利用して、手動で開閉できる天窓のことです。
固定タイプと異なり、窓を開けられるため通気性がよいことがメリットです。電動開閉式タイプと比べると故障のリスクが低く、価格もリーズナブルです。
デメリットは、手の届かない高い場所に取りつけにくいことです。バーやチェーンで開閉させるタイプであれば、高い場所にも設置は可能です。しかし、使わないときには、バーやチェーンをじゃまに感じます。また、天窓を開けたことを忘れて雨が振り込むなど、開けっ放しのリスクがあります。手動なので開閉が面倒になり、使わなくなる人もいます。価格がフィックス(固定)タイプと比べてやや高いのも欠点です。
電動開閉式タイプ
電動開閉式タイプは、リモコンや操作パネルなどで窓の開閉ができるタイプです。
手動のようにバーやハンドルを使う面倒がないのは、大きなメリットといえます。気軽に開閉できるため、通気性が確保しやくなるでしょう。
また、手の届かない高い場所にも設置できるほか、センサー機能を持つ天窓であれば、雨を検知して自動で閉まる機能もあります。天窓によっては、タイマー設定も可能です。電動開閉式タイプであれば、手動開閉式タイプのような開けっぱなしのリスクをなくせるのです。
フィックス(固定)タイプや手動開閉式タイプと比べて、価格が高くなるのはデメリットです。また、停電などが起こると電動で開閉できず、手動で対応する必要があります。故障のリスクもほかの天窓の種類と比べて高いです。
天窓を採用するときの注意点
天窓にはさまざまなデメリットがありますが、それでも天窓のある家に憧れがある方のために、天窓を採用したときの注意点を紹介します。
天窓掃除は手の届く高さの内側のみ
天窓が脚立に登って手が届く高さであれば、内側は自分で掃除をしましょう。結露を拭いてきれいに保つだけでも、何もしないより長期で使えます。脚立を使う際は、転落事故にくれぐれも注意してください。
窓の外側は業者に任せましょう。自分で清掃を行うと、屋根などを破損させてしまうおそれがあります。天窓の外側は傷が入っていることもあるため、専門業者に確認してもらいましょう。新築やリフォームであれば、引き渡し後に定期的な点検を受けられることがあります。
ブラインド・ロールスクリーンを設置する
天窓による悩みには、次のものがあります。
- エアコンの効きが悪くなる
- 日差しがまぶしい
- フローリングの日焼け
これらの悩みは天窓用のブラインドや、ロールスクリーンの設置で解決できます。ブラインドやロールスクリーンを閉じている間は空気の流れを止められるため、暖かい(冷たい)空気を逃がさず、エアコンの効きもよくなります。
もちろん日差しが遮られるため、まぶしさやフローリングの日焼けを防止できます。ブラインドは羽の角度を変えて、日差しの入る量をコントロールできるのでおすすめです。電動式のブラインドであれば、リモコンで開閉可能です。
機能性のある天窓を使う
価格は高くなりますが、機能性を持った天窓を設置すると、さまざまなデメリットを解消できることがあります。家に天窓を採用するときは、防水などの機能を持つ天窓を検討してください。天窓に取り入れられている機能には、次のものがあります。
- 防水
- 結露の水を抜く
- 紫外線をカット
- 日差しの熱をカット
機能性のある天窓とブラインドを組み合わせると、天窓のデメリットを軽減できます。
天窓に頼らない、明るい家のアイデア
天窓を採用する大きな理由のひとつに、「採光」があります。採光には光を室内に入れて室内を明るくするためだけでなく、もうひとつ目的があります。それが「採光規定」です。建築基準法では居間や寝室などの居室には、床面積の1/7以上に相当する面積の窓を設けるよう定めているのです(採光面積)。
隣地との境界線ギリギリにある窓は、採光規定上の窓とは認められません。そこで通常の壁に設置された窓で法律上の採光面積を満たせない場合、天窓を設けて採光面積をクリアさせることがあります。
しかし天窓には、すでに述べたようにさまざまなデメリットがあるため、ここでは天窓に代わる採光の方法をお伝えします。
ハイサイドライトによる採光
天窓は屋根面に取りつける窓ですが、ハイサイドライトは壁面につける窓です。吹き抜けの壁面や小屋裏空間を利用して、天井の高い部屋をつくった場合などは、壁の上部に窓をつけられます。
ハイサイドライトの位置を北向きや北東向きなど西日の当たらない面につけると、天窓ほど冷房効率を心配する必要がありません。また、直射日光が室内に入ることもある程度防げるため、フローリングの日焼けを気にする必要もないでしょう。
掃除には長い脚立が必要になるものの、窓は垂直に設置されているため、天窓と比べると掃除しやすいのも特徴です。
住宅の形を工夫する
採光を確保する方法として、住宅の形を工夫する方法があります。
一般的に住宅を上から見た形は、長方形や正方形にすることが多いです。しかし形を「L字型」や「コの字型」にすることで、隣地との境界側に窓を設置せず、中庭のような外部スペースに向けて窓を設置できます。
住宅の形に工夫をすることで法律上の採光規定もクリアできるだけでなく、間取りに変化が生まれるのがポイントです。
間取りを工夫する
もうひとつの方法は “苦肉の策” ともいえる、2室1室という方法です。2室1室は隣り合った部屋の片方は採光規定をクリアできているものの、もうひとつの部屋がクリアできないときに用います。
2室1室では、隣り合った部屋の仕切りを開閉可能な壁にして、ふたつの部屋をひとつの部屋にします。採光規定をクリアできる部屋の窓をより大きくする、または数を増やしてふた部屋分の採光面積をクリアさせるのです。これでもう片方の部屋の採光面積を増やすことなく、採光規定をクリアできます。
道路に面する側を優先する
一般的に居室は日当たりを考慮し、南側に配置することが多いです。しかし狭小地や南側に高い建物があって日陰になる場合は、道路がある方向に居室を配置する方法があります。
北側に道路がある場合は北側に、東側に道路がある場合は東側に居室を配置し、ハイサイドライトなどを南側に設置して、南側の光を採り入れるのです。
間取りを考えるときには必ずしも南面を意識せず、周囲の条件を考慮して暮らしやすい住まいにするよう心がけましょう。