ハウスメーカーは高いとよく言われますが、なぜそのように感じるのでしょうか。
ハウスメーカーを利用すると、確かに費用がかかることが多いですが、実はその理由には納得できるポイントがいくつかあります。そして、工夫次第で費用を抑える方法もあります。
この記事では、ハウスメーカーが高いと言われる理由と、予算を抑えながらも理想の家を建てるためのコツを解説します。
ハウスメーカーが高いと言われる理由
ハウスメーカーが高いと言われる理由は、会社の利益、人件費、建築に関わる材料費のほかにいろいろなコストがかかるからです。
また、住宅は大きな買い物で、すぐに住み替えることはほとんどできません。
ですから、購入を希望するお客さまは慎重に検討し、ハウスメーカーに対しても充実したサービスを求めます。もちろん、サービスを向上させるためにもコストはかかります。
以下に、より具体的にハウスメーカーが高いと言われる4つの理由を解説します。
- 住宅展示場にモデルハウスを建築している
- 広告や宣伝に多くのメディアを利用している
- 自社で商品の研究や開発している
- 専門職の各担当が業務を分業化している
それでは、4つの理由について詳しく見ていきましょう。
住宅展示場にモデルハウスを建築している
営業の拠点として住宅展示場にモデルハウスを建築しているからです。
ほとんどのハウスメーカーは住宅展示場にモデルハウスを建築し、営業の拠点として活用しております。また、お客さまにとってもモデルハウスは、住空間のイメージを膨らませやすいので、ないと困ります。
しかし、住宅展示場にモデルハウスを建築できるのは、展示場の管理会社と契約し契約一時金や月ごとに出展費用を支払っているからです。出展費用などは住宅展示場の立地条件などによってさまざまですが、少なく見積もっても年間で何百万円~何千万円はかかります。
モデルハウス本体も、出展時の建築費用や維持管理に修繕費用も必要です。ハウスメーカーとしては、お客さまに自社の家を気に入っていただくため、モデルハウスには見どころがたくさんあるプランニングや設計をしております。
意匠を優先するため構造的に少し無理したモデルハウスを建築しているため、無理した分だけひずみが生じて修繕費用がかさみます。
広告や宣伝に多くのメディアを利用している
広告や宣伝するために、多種多様なメディアを利用しているからです。
ハウスメーカーの広告や宣伝の中で最も代表的なメディアはテレビCMではないでしょうか。透き通る青空のもと、家族のぬくもりや幸せを実感できる夢のマイホームを、有名な芸能人やスポーツ選手を起用してさわやかに演出しています。
わたしたちが何気なく見ているたった数十秒のテレビCMですが、とてもたくさんの費用がかかっています。内訳は大きく分けて、CM枠の購入費、撮影のための費用、有名人の出演料があり、総額で数百万円~数千万円のコストを支払っています。
テレビCMだけでなくチラシ、パンフレット、電車の吊り広告、ラジオCM、会社のホームページ、ブログ、SNSなどをいろいろなメディアでも広告を出して宣伝しているのです。
どの媒体でもデザイン費用は必要で、Webメディアの場合は維持管理費が、印刷物の場合は紙代とプリント代がかかります。
自社で商品の研究や開発している
独自性を出すため、自社で商品の研究や開発をしているからです。
ハウスメーカーはライバル会社の住宅と自社製品を差別化するため、または、より低コストで住宅建築するために、研究や開発をしています。その範囲は、小さな部品一つから大きな構造躯体まで、家に関わるすべての建材にわたります。
自社でしか扱えない商品や構造の様式は、そのまま会社のブランド力としてハウスメーカーのイメージになります。どのハウスメーカーと契約するか悩んでいる方にとっても、比較や検討が容易にできます。
研究や開発するには、たくさんのコストがかかっています。しかも、研究や開発は費用をつぎ込んだからといって、必ず成功するとは限りません。その結果、そのコストが住宅の価格に上乗せされるため、ハウスメーカーの家が高くなってしまいます。
専門職で業務を分業化している
家を建てるための各工程で、それぞれの専門職で業務を分業しているからです。
ハウスメーカーの家づくりは、1件の家を建てるのに複数の専門知識を持った担当者と打ち合わせや相談をしながら進めます。大きく分けると営業、設計、インテリアコーディネーター、現場監督、アフターサービスです。
家が完成するまでの工程ごとに専門家と打ち合わせができますので、お客さまにとって満足度が高くなるのは間違いありません。一生に一度の我が家の建築ですから、当たり前のことといえます。
しかし、住宅1棟を建築するために複数の担当者が携わると、残念ながら人件費が増えていきます。また、会社の窓口である営業は、契約棟数により給料が変動する「歩合制」を採用しているハウスメーカーも多数あります。
ハウスメーカーの住宅が高くなるのは、人件費の視点からしても、致し方ないのかもしれません。
実際ハウスメーカーって工務店に比べて高いの?
住宅の購入を考えている方がよく疑問に思うポイントの一つが「ハウスメーカーって工務店に比べて高いの?」です。実際、ハウスメーカーのほうが工務店よりも価格が高くなる傾向があります。
なぜなら、ハウスメーカーは自社の独自性など、販売するためにたくさんの経費をかけ、さらにサービスの向上のために人件費もかけているためです。
一般的な例として、ハウスメーカーと工務店の建築価格の差は、1坪当たり約20万円~30万円の差があるといわれています。
ただし、坪単価は家本体がどれくらいの規模で、どのような設備を取り付けるのかによって、大きく変わります。あまり鵜呑みにし過ぎないで目安として扱い、建築費の総額に意識を向ける必要があります。
高くてもハウスメーカーに依頼したほうがよい人
価格だけの比較では、総合的に工務店より高い傾向があるハウスメーカーですが、以下のような人は高くてもハウスメーカーで住宅の建築を依頼したほうがよいでしょう。
- 会社の倒産リスクを減らしたい人
- 1日でも早く新しい家が欲しい人
- 安定した品質がある住宅に住みたい人
いまから、それぞれの理由について詳しく解説します。
会社の倒産リスクを減らしたい人
住宅を建築した会社の倒産リスクを減らしたい人は、ハウスメーカーに依頼することをおすすめします。
ハウスメーカーは資本金をきちんと確保しているので、世の中の景気に振り回されない体力があります。すなわち、倒産のリスクは極めて低くなります。
依頼した会社が倒産してしまったら、住宅の保証はなくなり、住宅で起こる困りごとについても信頼して相談できる窓口もなくなるので不安になります。
例えば、ゲリラ豪雨による水害、台風による風害、地震などのいろいろな天災で、家が破損した場合です。その際に、電話一本ですばやく対応してもらえる体制があるのは、安心して住み続けるための条件になります。
また、ハウスメーカーは引き渡し後のアフターフォロー業務において、数年おきに定期検査を基本無料で実施します。
目視、触診がメインになりますが、躯体の異常や、雨漏りの有無、メンテナンス箇所やその頻度など、家の情報をカルテとしてデータベースに保管しています。
ですので、会社の倒産リスクを小さくしたい人は、ハウスメーカーに依頼するのがおすすめです。
1日でも早く新しい家が欲しい人
1日でも早く新しい家が欲しい人も、ハウスメーカーに依頼すると希望が叶います。40坪くらいの規模ですと、着工から引き渡しまで期間はハウスメーカーで約3~4カ月、工務店で4~6カ月といわれています。
ハウスメーカーは工事現場に無理や無駄がなく住宅を建てるノウハウを持っています。そのため、工場にて一括で生産して現場へ運んだり、工事内容に合わせて当日の朝に建材を搬入したりなど、徹底的に無駄な動きがないよう建築が進みます。
構造、内装、外装、設備工事などの大部分を工場で生産して現場で組み立てる工法を採用しているハウスメーカーは、とくに工期は短くなります。
設計、インテリアコーディネーターとの打ち合わせが完了し、1日でも早く新しい家に住みたい人はハウスメーカーに相談してみましょう。
住宅の規模などにもよりますが、契約した日から半年後には新居に引っ越せるかもしれません。
安定した品質がある住宅に住みたい人
安定した品質がある住宅に住みたい人も、ハウスメーカーに依頼するのが向いています。ハウスメーカーは、法律上の必要な検査以外に、安定した品質を保つために自社で定めた検査を実施しています。
自社で定めた検査は断熱材の施工状況などから始まって、細かい傷の有無を確認する項目もあります。
検査の回数も各ハウスメーカーによって若干のばらつきはあるものの、基礎検査、上棟検査、断熱検査、内装・外装検査と最低4回は実施しています。
もちろん、厳しい検査項目をすべてクリアし検査に合格しないと次の工程に進めませんので、安定した品質が確保できます。
また、厳しい検査項目に対応するため、各職種の職人に対してスキルアップ勉強会をしているハウスメーカーもあります。家づくりに関わる人材も含め、絶えず品質の向上に力を入れております。
ハウスメーカーが建てる家の品質が安定している理由はもう一つあります。それは、さまざまな建材を工場で加工し現場に搬入しているためです。人の手と機械の力の両方を使い、安定した品質を確保しております。
安定した品質のある住宅に住みたい人は、ハウスメーカーに相談してください。
ハウスメーカーはやめたほうがよい人
ハウスメーカーの住宅やサービスは魅力的であることに間違いありませんが、ハウスメーカーで家を建てるのをやめたほうがよい人もいます。
- 安心感だけが理由の人
- こだわりのある家を建てたい人
- 建築費を少しでも抑えたい人
それぞれについて、詳しく解説していきます、
安心感だけが理由の人
以下のように、知名度とブランド力だけの何の根拠のない安心感だけで住宅の建築会社を決めてしまう人は、ハウスメーカーはやめたほうがよい人です。
- よくTVCMなどで聞く会社名なので安心感がある
- みんなが知っているから安心感がある
大手ハウスメーカーでも法令違反している事例はたくさんあります。一例を紹介します。
一建設の耐震強度不足問題
2007年に戸建て木造住宅の大手販売会社「一建設」の耐震強度不足による事件がありました。
2000年6月以降に建築確認を受けた約2万6,000棟のうち、約5%の1,269棟について、強度不足が確認されました。
参考:朝日新聞デジタル「強度不足は計1269棟 建て売り大手、全物件の5%」
積水化学工業株式会社の建築基準法不適合問題
2023年に積水化学工業株式会社が木造の共同住宅において、隣室との境界にある「界壁(かいへき)」の一部が施工されておらず、建築基準法に適合していないことが国土交通省に報告されました。
報告を受けた国土交通省は、同タイプの共同住宅147棟の調査などの指示を出しています。
参考:国土交通省「積水化学工業株式会社が供給した住宅における建築基準法の規定への不適合について」
両ケースとも不祥事を起こした会社が建築基準法に適合するように改修工事を実施しているものの、大手の会社だからといっても絶対に違反しないとは言い切れません。
なにも自分で調べない、もしくは、教えてもらえない状況の中、安心感だけでハウスメーカーを選んでしまうと、思わぬ不祥事に巻き込まれるかもしれません。
こだわりの住宅を建てたい人
ハウスメーカーの住宅でもこだわりを実現できる内容もありますが、対応できる範囲が限定的になります。とくに構造の分野においては、融通が利きにくい傾向です。
自社で研究・開発をした構造工法は、国の特別な認定や許可を取得し、耐震性について安全性を保証しています。そのため、認定や許可で認められた範囲内でプランニングします。
例えば、狭小地での建築、一般的なサイズの吹抜けをつくれない、小窓を追加できないなど、思い描いた住宅の実現に制限がかかることがありえます。
建築基準法上どうしてもできない内容もありますが、より柔軟に住宅つくりを楽しみたいと考えている人や、他人より変わったこだわりのある住宅を建てたい人は、ハウスメーカーに依頼しないほうが無難です。
建築費を少しでも抑えたい人
ハウスメーカーの建築費はいろいろな要素が重なり、高くなる傾向があります。
住宅の規模にもよりますが、単純に建築費だけを考えれば、工務店はハウスメーカーより安く住宅を建築できます。
将来の子供のこと、好きな趣味など、住み始めたあとの生活を考えたうえで、建築費を抑えたい人はハウスメーカーを選択肢から外しましょう。
費用を抑える方法
ハウスメーカー、工務店のどちらで建築するにしても、限られた予算の中で納得のいくマイホームに住むには、費用を抑えることがとても重要です。
住宅建築においてよくある失敗例の一つが、叶えたい要望をすべて取り入れすぎて、予算を大幅にオーバーしてしまうことです。そのような状況では楽しい住宅の打ち合わせになりません。
予算オーバーにならないためにも、費用を抑える方法を理解する必要があります。
相見積もりを依頼する
住宅に対する叶えたい要望と優先順位が決まれば、同じ条件をもとに複数の会社に見積もりを依頼しましょう。
各社は自社のルールにもとづいた見積もりシステムを持っています。会社ごとに強み弱みがあるように、見積もりの項目ごとに安く提示できる部分と、高くしか提示できない部分が違ってきます。
面倒かもしれませんが、相見積もりを依頼して自分の叶えたい要望を一番安く建築してもらえる会社を探しましょう。
値引き交渉を行う
営業担当者に費用を下げてほしい旨を伝える方法です。
値引きの交渉を行うには事前に準備する必要があります。その準備とは相見積もりをして、交渉前に見積書を入手しておくことです。
交渉時には、値引きしてほしい会社の建築費用より安く提示している他社の見積もりを営業に見せ交渉しましょう。
こちらの希望金額を伝えることで、値引きに対応する営業側も上司へ報告・相談するときにどれくらいの値引きを希望しているのか説明がしやすくなります。
また、できるだけ構造(木造、鉄骨造など)が同じ仕様の会社が提示してきた見積書で交渉してください。
建築家などの専門家に相談する
プロの視線から見て図面上で費用を抑える内容、削れる部分の有無を判断してもらう方法です。
よくある図面上で費用を抑える内容は、次のとおりです。
- 玄関が無駄に広くないか
- 廊下が無駄に長くないか
- バルコニーが無駄に大きくないか
- すべての収納に扉が必要なのか
- 住宅プランが凸凹していないか
- 住宅設備の仕様がオーバースペックではないか
- ウォークインクローゼットは必要なのか
- ただ広いだけのLDK(リビング・ダイニング・キッチン)になっていないか
図面上のプラン費用を抑えるためのポイントは、住宅を建てる際に自分が叶えたい要望の優先順位を明確にしておくことです。費用を抑えるためといって、なんでも削ればいいものでもありません。
わざわざ高い費用をかけて住宅を建てるのであれば、優先順位の高い要望は値段が割高になってもやりましょう。
住宅を建築するには資金計画、土地、建築会社、間取りプラン、設備機器、外構などさまざまな知識が必要です。すてきなマイホームが欲しいと考えているけど、考えることが多すぎてどれから始めていいのか、まったくわからず不安にもなります。
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