両親や義両親と生活する二世帯住宅。子どもの結婚後、同居を望む親にとっては本望かもしれませんが、特に血のつながりのない配偶者にとって「二世帯住宅はデメリットだらけ」と拒絶反応が出ることもあるでしょう。
購入後に後悔しないためにも、二世帯住宅に住んだらどのような生活になるのか、実例を交えながらお伝えします。
もくじ
二世帯住宅はデメリットだらけ?その真相とは
二世帯住宅のデメリットについて、5つ紹介します。
- 生活リズムが異なるため、お互いに配慮が必要
- プライバシー重視の人には向かない
- 共用スペースが1箇所だと混雑する時間帯がある
- 親世帯が子育てに過干渉になるおそれ
- 売却時に資産価値が下がるリスク
生活リズムが異なるため、お互いに配慮が必要
昔から高齢になってくると、早寝早起きになりやすいといわれますが、あなたの両親や義両親はどうでしょうか。
もし朝の4時5時に起きるのが通常なら、7時8時に起きる自分たちとは生活リズムが違ってくるでしょう。
筆者の実家は二世帯住宅で20年以上祖父母と生活をともにしてきましたが、9時10時過ぎには就寝することが多い祖父母と、12時就寝の両親や自分とは生活リズムが異なっていたため、気をつかうことも多々ありました。
たとえば、夜遅くのリビングでのテレビ鑑賞は控える、音量を小さくする、などです。また、食事を一緒に取る場合はタイミングを合わせる必要もあります。
お風呂を共有する場合は、入浴のタイミングなども考慮する必要があるでしょう。
食事や入浴のタイミングなど、これまでのルーティンが崩れるとストレスを感じます。
両親や義両親に「気をつかわないで」と声をかけられることで、さらに気をつかうという人もおり、慣れるまでには個人差があるでしょう。
プライバシー重視の人には向かない
二世帯住宅では同居家族の目が気になります。特に完全同居の場合、共有スペースが多いのでプライバシー重視の人にはおすすめしません。
たとえば、会話や生活音がもれてしまったり、郵便物や宅配物の仕分けで差出人を見られたりなどが起こるでしょう。
また、二世帯で同居となれば、兄弟姉妹と一緒に生活する可能性もあります。異性の家族であれば、さらにプライバシーの配慮が必要です。
洗濯物や入浴中の出入りなど、気遣う場面が増えることも考慮してください。
同居によって会話が増え、家族とのつながりを感じられるなどのメリットもありますが、距離感を保つためのマナーを意識する必要があります。
なお、筆者の実家ではお風呂を共有していますが、脱衣所に内鍵をもうけています。着替えの際に鍵をかけるようにすれば、声をかけずに扉を開けて鉢合わせになってしまう、といったトラブルを避けられるため、おすすめです。
共用スペースが1箇所だと混雑する時間帯がある
一緒に暮らす人が全員働いている場合、出勤前の準備や帰宅後に共有スペースの混雑が発生します。洗面台の使用や入浴時間が順番待ちになり、好きなタイミングで使えないこともあるでしょう。
さらに、子どもが増えた場合は、より慌ただしくなることを考慮しなければいけません。余裕を持って動くか、設備を増やして解決することになります。
親世帯が子育てに過干渉になるおそれ
子どもが生まれると、親世帯が急に過干渉になる場合があります。二世帯住宅であればより身近になるため、教育方針でもめるおそれもゼロではありません。
特に、産後のストレスや生活リズムの乱れから、同居にしんどさを感じてしまう人もいるでしょう。ストレスを抱えないためにも、家族全員が心地よく過ごせる空間づくりが重要です。
売却時に資産価値が下がるリスク
二世帯住宅は、通常の一戸建て住宅と比較して売れにくい傾向があります。土地が広いことが多いため、購入したい層が限られるためです。
そのため、将来売却する際に売れずに残ってしまい、資産価値が下がるリスクがあります。大きな土地で好立地であれば、完全分離型の共同住宅にしておき、賃貸として貸し出すことも視野に入れましょう。
賃貸にする場合は、大家にあたる自分たちと借り手側のプライバシーを守らなければいけません。間取りを考えるときから、将来を意識した設計にしておくことが大切です。
二世帯住宅の5つのメリット
二世帯住宅のメリットを5つ紹介します。
- 家事や子育ての負担が減る
- 子どもひとりの家時間が少ない
- 緊急事態にもすぐに対応可能
- バリアフリー設計なら、高齢になっても生活しやすい
- 各世帯の経済的負担を軽減できる
家事や子育ての負担が減る
共働きや子育て世代であれば、家事や育児など毎日やることが山積みです。二世帯住宅であれば、家事を頼んだり、子どもを見てもらえたりと負担を軽減できます。
小さい子どもは目が離せないため、大人が1人いるだけでも頼りになるでしょう。その場を離れて用事を済ませられるのは、心にゆとりもできるメリットがあります。
子どもがひとりで家にいる時間を減らせる
二世帯住宅であれば、子どもがひとりで過ごす時間を減らせます。家族全員仕事をしていても、シフト制の人や定時が早い人がいれば、自分たちの不在時に面倒を見てもらいやすいでしょう。
家族がいれば子どものさびしさも軽減できますし、なにより目が行き届くので親としても安心です。
緊急事態にもすぐに対応可能
二世帯であれば、緊急のトラブルでもすぐに対応できます。
たとえば、自分が急病で寝込んでしまったり、入院することになったりしても、ほかの家族に育児や家事を頼めます。看病だけでなく家事も手伝ってもらえると、回復後も復帰しやすいでしょう。
バリアフリー設計なら、高齢になっても生活しやすい
段差を少なくしておく、といった対策以外にも、親世帯のためにバリアフリーを意識した住宅にすると、自分たちの老後も不便さを感じにくくなります。
ちなみに筆者の実家の二世帯住宅は、リノベーションで以下のようなバリアフリー住宅にしています。
- 玄関にはスロープをもうける
- 駐車場や廊下は車いすでも問題ないほどの広さを確保
- 1階から2階までの階段とは別で、お風呂やお手洗い、玄関、廊下などに手すりをもうける
手すりを追加するなどであれば簡単な工事で済む場合が多いですが、間取りや広さを変更する場合はある程度の時間とお金がかかります。
リノベーション時の費用を抑えるために、間取りや廊下などの広さについては事前に考慮しておくとよいでしょう。
各世帯の経済的負担を軽減できる
同居によって水道光熱費の節約や税金控除を受けることで、経済的負担を軽減できます。確定申告では二世帯分の医療費控除や扶養控除、社会保険料控除が申告可能です。
また、二世帯住宅建築時の補助制度などは、地域や地方公共団体(自治体)によって異なる場合があるので調べてみてください。
さらに、二世帯住宅であれば、親所有の土地に対して小規模宅地の特例があり、相続税が下がる場合があります。
小規模宅地の特例は条件付きですが、敷地面積330㎡に対して80%が減額されます。条件は細かく設定されているので、税理士への相談も検討するとよいでしょう。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
二世帯住宅に住んで後悔しないための対策4選
二世帯住宅で一緒に暮らしてみると、あらかじめ決めておけばよかったことや、考慮しておくべきことが見つかるでしょう。
二世帯住宅に住み始めてから後悔しないための対策として、4つ紹介します。
生活習慣を把握しルールを決める
これまで別々だった世帯が同じ家で暮らすのですから、生活習慣を擦り合わせたルールを決めておくのが望ましいです。
たとえば、家計の支払い方法や共有スペースの使い方、家事の分担にかんして決まりや基準があれば、どちらかが我慢するといったストレスも少なくなるでしょう。
ただし、生活習慣の違いについては実際の生活で見つかる場合も多いです。そのため、同居開始後に見つかったお互いの違いについては柔軟に対応し、ルールの変更をしましょう。
1人になれる時間をつくる
二世帯住宅で暮らすと、家族の存在がどうしても気になって窮屈になります。一番良い解決策は、自分の部屋を用意することですが難しい家庭も多いです。
また、部屋が多いほど将来空き部屋になるリスクもあります。
たまには気分転換に近所のカフェに出かけたり、買い物したりと自分だけの時間を過ごして日常から解放される時間をもうけましょう。
家族全員で間取りを考える
家づくりについての打ち合わせは、できるだけ家族全員そろって参加しましょう。両世帯の意見を取り入れて計画することで、納得のいく生活に近づけます。
たとえば、部屋数をどのくらいつくるのかは重要な課題です。つくりすぎては同居人数が減ったときに部屋を有効活用しにくくなりますし、少なすぎてはお互いの1人時間が減ってしまいます。
個人の性格や将来リノベーションするかどうかも含めて、検討してください。
共同生活しやすい間取りを選ぶ
家族の生活スタイルに合った間取りを考えることが、二世帯住宅を成功させるポイントです。二世帯住宅の間取りは、「完全分離型」「一部共有型」「完全同居型」の3種類あり、ライフスタイルに合わせて選ぶことで、共同生活がしやすくなります。
完全分離型
完全分離型は玄関から2つに分かれており、共有スペースがまったくない二世帯住宅です。分離の形は左右の縦割りか、1階と2階の横割りで、屋根と壁1枚でつながっています。
二世帯住宅ではあるものの、同居とは違って各世帯で生活が可能です。両世帯が干渉せずにプライバシーを守れる反面、キッチンや水回りなど二世帯分の建築費用がかかり、支払いが高額になるでしょう。
一部共有型
一部共有型は、玄関やお風呂などの一部分が共用のスペースとなっています。家族のコミュニケーションを取りながらも、各世帯のプライバシーはある程度確保された設計です。
共有箇所の数によりますが、完全分離型に比べると建設費用も抑えられるでしょう。
しかし、デメリットとして、将来一世帯になった際に部屋を余らせてしまうケースがあります。
完全同居型
完全同居型はキッチンやお風呂、トイレなど寝室以外すべてのスペースを共有で使用するパターンです。住宅内のほとんどが共有スペースであることから、完全分離型、一部共有型に比べて建設費用を最小限に抑えられます。
しかし、各世帯の生活リズムの違いから、お互いへの配慮は必須になるでしょう。
二世帯住宅なら、どんな間取にしたい?世論調査
二世帯住宅について、世間の人はどのように考えているのでしょうか。
2024年、499人の20~60代既婚者を対象に行った調査結果によると、二世帯住宅にするなら完全分離型を希望すると答えた方が79.8%でした。全体の約8割を占めているのに対し、完全同居型を希望する人は、4.4%で20人程度です。
画像引用:株式会社AlbaLink
また、二世帯住宅を建てた経験がある男女150人を対象に行った2022年度調査によると、二世帯住宅のタイプでもっとも多いのは、一部共有型で51%と半数以上を占めています。
完全同居型と2倍以上の差があることから、完全同居世帯は少数であることがわかります。
画像引用:株式会社MayLight
2つの調査結果からいえることは、二世帯住宅を建てても世帯は別々で暮らすことを理想としている人が多いことです。
しかし、実際に暮らすとなると、ある程度プライバシーが確保できるなら一部共有でも許容できる人も多いのが円グラフから確認できます。
各家庭の予算によってプライバシーを重視するか、コストを削減するか、分かれる結果となりました。
二世帯住宅にするか迷ったら家づくりのプロに相談
二世帯住宅にするか迷ったら家づくりのプロに何でも相談して、不安を解消させましょう。プロに相談すれば、経験をもとにどのような住宅がベストなのか、多角的な視点からアドバイスをもらえます。
なお、メタ住宅展示場では無料で複数の優良会社に家づくりプランの一括請求ができます。気軽な相談はもちろん、プランを取り寄せることで複数社の情報を比較しての検討が可能です。ぜひ二世帯住宅にするかどうかも含めて、プロの見解を聞いてみてください。
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