家を建てるときには、まず住宅展示場に行ってみようと思う人が多いでしょう。しかし、家づくりについて調べてみると、「住宅展示場に行ってはいけない」という情報があふれています。
本記事では行ってはいけないといわれる理由や、住宅展示場に行く前にしたい準備、行かなければよかった!と後悔しないための注意点を紹介します。
いきなり住宅展示場に行くには覚悟が必要
住宅展示場で各ハウスメーカーの話を聞いたり、モデルハウスで実際の雰囲気を見たりすることは大切ですが、いきなり予備知識なしに行くのは注意が必要です。まずはどのような点で、「行ってはいけない」といわれるのか見ていきましょう。
住宅展示場に行ってはいけないといわれる主な理由は次の4つです。
- 人気の担当者には対応してもらえない
- その会社の紹介割が使えなくなる
- 対面は断るのに想像以上の労力が必要
- 年収などがわかると対応を変えられるリスク
人気の担当者には対応してもらえない
住宅展示場へは予約なしでも行けます。しかし、予約なしだとその場にたまたまいた営業担当者が担当になるケースがほとんどです。
人気の担当者はお客さまとの打ち合わせで毎日忙しく、特に土日など休日は展示場で待機しているケースは少ないでしょう。そのため、あまり売れていない担当者に対応される確率が高くなるでしょう。
たまたま相性が合えばよいですが、知識に乏しい、細かいところに気がつかない、契約を迫られるなど、よくない対応をされるおそれもあります。
その会社の紹介割が使えなくなる
紹介なしで展示場に行ってしまうと、その後に紹介制度を使えなくなるおそれがあります。すでにそのハウスメーカーで家を建てた施主の紹介があると、値引きやオプションのサービスなど特典を用意しているハウスメーカーが多数あります。
しかし、一度紹介なしで住宅展示場に行ってしまうと、あとから「実は紹介でした」と申し出ても特典を使えなくなることがほとんどです。何となく家を建てようと思ってふらりと足を運ぶのではなく、情報を集めて、気になるハウスメーカーで家を建てた友人がいれば紹介してもらいましょう。
対面は断るのに想像以上の労力が必要
住宅展示場では営業担当者がマンツーマンで対応してくれます。いろいろな質問をしやすいというメリットもありますが、一生懸命に案内してくれるなど、人によっては推しが強くて面と向かって断りづらいというデメリットがあります。
断ることに想像以上の労力を使うからといって、返事を曖昧にしているとその後も定期的に電話やメールで連絡が入り、対応に疲れてしまいます。実際に筆者が家を建てたときも、すでにほかのメーカーで家を建てて1年が経過していましたが、まだほかのメーカーからダイレクトメールが届いていました。
また、返事を曖昧にしていると、断りきれずにその場の雰囲気に流されて、よく吟味しないままハウスメーカーを決めてしまうことにもなりかねません。一生に1度の買い物なので、流されて決めないようにしましょう。
年収などがわかると対応を変えられるリスク
当日の服装や、アンケートで回答した年収によって、対応すべき顧客かどうか値踏みされてしまうおそれがあります。わざわざ住宅展示場に足を運んだのに、見た目や年収で値踏みされてしまってはいい気がしません。
しかし実際には、年収が低く、家を販売する相手ではないと判断される場合もあれば、年収が高くオプションをどんどん提案されるなどのリスクもあります。
家を建てるとまだ決めていないのに、高額なオプションを提案されてしまうと、今後住宅メーカーに相談すること自体が嫌になってしまいます。アンケートは必須のものではないため、気に入ったハウスメーカーに出会ったときのみ記入するのもひとつの方法です。
備えあれば憂いなし!住宅展示場に行く前にしたい準備
何の準備もなくふらりと住宅展示場に行ってしまうと、合わない営業担当者の提案を断るのに苦慮したり、紹介が使えず損してしまったりと後悔してしまうのでおすすめしません。
しかし、住宅展示場はたくさんのハウスメーカーの仕様を確認でき、直接話を聞けるため上手に活用したいところです。しっかり準備して行けば充実した時間を過ごせるため、事前に準備しておくべきことを紹介します。
実際に見たいモデルハウスを絞っておく
住宅展示場に行くときには、誘われるままにふらりとモデルハウスに入るのではなく、どのメーカーに話を聞きたいのか決めておきましょう。住宅展示場ではたくさんのハウスメーカーが集まっているので、1日ですべてまわりきれると思っている人もいるでしょう。
しかし、実際に説明を受けながら見学すると、1軒あたり2〜3時間かかってしまうため、見たいハウスメーカーを絞っておかないとまわりきれずに1日を無駄にしてしまいます。
デザインや機能性はもちろん、年収や返済期間などから家づくりにかけられる予算を計算し、家づくりを検討できるハウスメーカーを把握しておくことが大切です。インターネットで、各ハウスメーカーのおおよその「坪単価」が簡単に調べられます。
坪単価は1坪あたりの金額なので、建てたい家の広さを掛け合わせると、おおよその家づくりにかかる費用がわかります。予算の範囲で、建てられるメーカーをピックアップしておくとよいでしょう。
展示場に行く目的をはっきりさせておく
何となくモデルハウスを見ているだけでは、あっという間に数時間が無駄に過ぎてしまいます。また、モデルハウスは住むための家ではなく、魅せるためや打ち合わせのための家なので、間取りや価格はあまり参考になりません。
何を知りたくて住宅展示場に行くのか目的をはっきりさせておきましょう。
ある程度絞り込んだハウスメーカーに、デザインの自由度はどのくらいあるのか、現場見学会はおこなっているかなど質問し、実際に家づくりをした場合について各ハウスメーカーを比較するために行くのがおすすめです。
専門用語を勉強しておき、真剣度をアピールできるようにしておく
家づくりにはたくさんの専門用語が出てきます。最近では耐震を強みとする住宅メーカーが増え、「耐震等級」や「耐震構造」「免震構造」など似た言葉が数多く登場します。
また、家づくりの工法も多岐にわたります。営業担当者の説明を理解して質問できるくらいに専門用語を勉強しておくと、家づくりへの真剣度をアピールでき、足元を見られにくくなります。
家づくりについて何も知らないと思われると、そのハウスメーカー以外は劣っているような話をされて、先入観を持ってしまいがちです。
専門用語を学ぶには、インターネットで調べるほか、気になるハウスメーカーのカタログなどを事前に取り寄せて見ておくとよいでしょう。
行かなければよかった!と後悔しないための注意点
せっかく家づくりに関心をもち、住宅展示場に足を運んだのに「行かなければよかった」と後悔はしたくないものです。
モデルハウスで後悔しないために、事前の準備とともに接客を受けたときの注意点について解説します。
UA値など、あえて難しい専門用語を使って質問してみる
気密性、断熱性に強みをもつ住宅メーカーが増え、UA値やC値など難しい専門用語が使われる住宅業界。このような専門用語について調べておき、用語を活用して質問してみましょう。
家づくりについて無知だと思われると、足元を見られやすくなります。
難しい専門用語で質問すれば、営業担当者は「住宅について詳しそう」「適当に回答したら指摘されそう」と感じ、丁寧に対応してくれるはずです。
ハウスメーカーの資料やカタログなどを事前に取り寄せて、どのような特徴があるのかや用語が出てくるのかをチェックし、各ハウスメーカーの特徴を比較しておきましょう。
また筆者の体験では、家族に住宅関係の仕事をしている人がいることを伝えることも有効だと感じました。
安易にアンケート回答をしない
住宅メーカーで各モデルハウスに入るたびに、すぐにアンケートを書かされます。アンケートには氏名だけでなく、住所、電話番号、メールアドレス、年収などの個人情報を記入します。
家を買う見込みがあると思われれば、ハウスメーカーの営業担当者から電話連絡が入ったり、ダイレクトメールが届いたりします。
また、アンケートに記入することで、その日対応した営業担当者がそのまま担当になることが多いため、本気で検討している場合や、信頼できそうな営業担当者の場合のみ記入することをおすすめします。
期間限定や今だけ!など、お得感のあるセールスに惑わされない
営業担当者の中には、「今月中」「今日決めた人」などお得感のあるキャンペーンで契約を急がせるケースがあります。
数十万円単位での値引きは魅力的に感じますが、長い目で見れば本当に気に入ったハウスメーカーで家を建てたほうが満足度は高いでしょう。
高いお金を払ってマイホームを建てるのに、「あちらのメーカーも見たかった」「営業担当者とは合わなかった」と後悔が残ってしまっては本末転倒です。
契約を迫るようなハウスメーカーでは、結局契約後も「言った言わない」など設計上のトラブルや、建設中のミスなどでもめるリスクもあります。
担当者の話をうのみにしない!必ず複数人の意見を聞く
まったく知識がない状態で住宅展示場に行くと、担当の営業担当者が言ったことがすべてだと思い込んでしまいます。
「初めて見に来ました」と伝えてしまうと、「他社はよくない」と刷り込まれてしまうおそれもあります。1社ではなく、必ず複数のハウスメーカーを比較しましょう。
営業担当者の話す「そのメーカーのよさ」は、他社でも強みとして押し出している場合があります。
また、展示場には大手ハウスメーカーのモデルハウスしかないことが多いため、住宅展示場以外の工務店なども候補に入れて検討するのがおすすめです。