新築を計画するとき、客間・ゲストルームを設けるかどうかは悩むポイントのひとつです。来客をもてなす部屋である客間・ゲストルームは、来客の滞在に便利な空間ですが、その分コストやメンテナンスがかかります。また、使わないときは無駄に感じることもあります。
客間とゲストルームの違いをはじめ、客間・ゲストルームが必要な人と不要な人の見分け方、作って後悔しないための注意点をわかりやすく解説します。
もくじ
客間とは?ゲストルームとの違い
客間とゲストルームは、ともに家庭内で来客を迎えるための空間ですが、用途と機能は異なり違う意味をもっています。
しかし、一般的に設計時は客間とゲストルームが同義で扱われます。そのため設計時には、客間の使用目的を担当者にはっきり伝えることが大切です。
客間は学校の先生や知人が過ごす部屋
客間は友人や知人、学校の先生などが訪れた際に過ごす部屋です。高級感のあるソファが置かれた応接間をイメージする方も、多いでしょう。
家族が団らんするプライベートな空間である居間と対比される言葉ですが、一般的にはリビングに近い機能を持っており、親しみやすい雰囲気づくりが求められます。
ゲストルームは泊まってもらう部屋
ゲストルームは訪れたゲストが泊まるための部屋で、親しい友人や親戚が遠方から訪れる際に使用されます。泊まる部屋ですからゲストルームの多くは、プライバシーを重視した設計になっています。
また、ゲストルームは本来、ベッドや洗面設備などが備え付けられています。高級マンションでは、マンションの共用施設として目にすることも珍しくありません。
客間が必要な人と不要な人
客間を設置するかどうかの判断は、使用頻度が軸です。年に数回の使用なら、日常生活をより快適にするためにも利用したいものです。使い分けできる空間として用意するのも、ひとつの方法といえます。
なお、ここでは客間とゲストルームは区別せず、宿泊も含めた来客スペースとして紹介します。
必要な人
客間の使用頻度が高くなりそうな方を順に紹介します。
祖父母に子どもの世話を頼む人
共働きの家庭で子どもがまだ小さい場合、両親などにお世話を頼むのが一般的でしょう。お世話を頼む機会は、子どもの体調不良などどうしても増えがちで、泊まってもらうことも出てきます。
そんなとき客間があれば、泊まりや長い時間でも快適に過ごしてもらいやすく、サポートをお願いしやすいでしょう。客間は、安心感やプライバシーを重視して設計するためです。
部屋が散らかっていることが多い人
客間があることで、リビングなどの生活空間に来客を通す必要がなくなります。
掃除していなかったり、あまり見られたくなかったりするものがある場合も、プライバシーを確保しながら来客を招き入れることが可能です。
家族が多く、プライベートな空間が欲しい人
家族全員分の個室がある家は多くないでしょう。家族が感染症になってしまった際、客間があれば隔離するためのスペースとして使用できます。
また、リモートワーク時の書斎代わりのプライベート空間としても便利です。
将来親と同居する可能性がある人
近い将来に親と同居する可能性がある場合は、部屋を客間としてキープしておくのもよい方法です。
いまは年に数回の来客時しか出番がなくても、数年後には居室として有効に使用できるなら客間を作っても後悔しにくいでしょう。
家で法事をおこなう可能性がある人
法事を家でおこなう環境にお住まいの場合は、仏間兼客間として用意しておくのが一般的です。しかし、最近は家ではなく寺院・斎場などでおこなうことも多いので、頻度を考慮して検討する必要があります。
なお、筆者の家には仏壇があるため、法事は家でおこなう必要がありました。いまはなくても今後自宅に仏壇を置く可能性がある場合は、念頭に置いて判断することをおすすめします。
家で教室を開催する人
家で教室を催されている方などは、日常と切り離した空間として客間があると便利でしょう。
生活感をなくし、客間に必要な道具類が整理されていることで、自宅感もなくなります。
不要な人
使用頻度が高くなかったり、ほかに優先すべきスペースがあったりする場合は、なくしてしまうのも一案です。
泊まりでの年に数回の来客は近くのホテルを用意しておき、おもてなしはリビングで対応できると考える人も多いでしょう。
別の部屋で代用できる人
使い分けできる空間を客間とするのは、来客を安心してもてなすことができるよい方法といえます。
兼用スペースのアイデアとして、以下のものが挙げられます。
リビング | ビングの一部に仕切ることができる畳コーナーを作る間取りをよく見かけます。引き戸で仕切れるようにすると、共通の空間としての利用・仕切って客間として利用、どちらも思いのままです。 |
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書斎 | リモートワークに重宝する書斎。たまの来客時のみ客間として利用するには、便利なスペースといえるでしょう。 |
子ども部屋 |
よく泊まりに来られるのが両親の場合は、子ども部屋で就寝してもらうのもおすすめです。孫だけと過ごせる時間ができ、かえって喜ばれる方も多いでしょう。 また、子どもの独立後は部屋自体が空くため、数年後には客間として利用できると考える方も少なくありません。 |
ロフト | セミプライベートな空間としての利用が可能です。来客時のみ整理し、就寝してもらってもよいでしょう。 |
シアタールーム(趣味部屋) | 趣味部屋と兼用するのはどうでしょうか。普段は音楽・映画鑑賞の部屋として使用し、来客時には道具を片付けて客間として使用します。子どものゲームのためにテレビを利用する際も、リビングのテレビと分けて使用することが可能です。 |
ほとんど来客がない人・来客に泊まってほしくない人
来客がない場合、もちろん客間は必要ありません。その分、日常生活にゆとりをもたせるスペースとして利用することのほうが大切です。
また、義理の両親などに泊まってほしくない場合は、客間がないほうがよいかもしれません。客間がないということは、泊まる場所が限られるということです。リビングなどに布団を敷いて寝てもらうことになるので、プライバシーがなく、義理の両親にとってはあまり快適な環境でない場合があります。直接泊まってほしくないと言いにくい場合は、逆に泊まりにくい環境にしてしまうのもひとつの方法です。
コストを抑えたい人
客間を用意すればその分コストがかさみます。使わないものであれば避けるのは当然といえます。
畳数にもよりますが、4畳半に押し入れのスペースを加えて考えた場合、200万弱の費用が必要です。費用面も含めて客間を設置すべきか、優先順位をつけておきましょう。
空間を有効活用したい人
予定している客間スペースを、ほかに有効活用できないか考えてみましょう。以下のように、どれが新居での生活に有益なものか考えて選ぶのも一案です。
- シューズクローゼットなど、外で使用するものの収納スペースにする
- パントリー(食料品や食器の収納スペース)にする
客間を作って後悔しないための注意点
客間がないと、泊まりの来客がいるときに困るのではないかと心配になる人も多いでしょう。しかし、費用やスペースの観点からも客間の設置は大きな負担です。
家庭ごとに異なる客間の必要度を、きちんと考えておくことが大切です。作ってから後悔しないためにも、自分たちにとって客間が本当に必要なものなのか、優先順位をつけて判断しましょう。
来客のない日は何に使うか決めておく
客間が空き部屋にならないよう、日常的にどう活用するかを事前に計画しておくのが望ましいです。客間は単なる受け入れの場所だけでなく、納戸や別の用途にも使える多機能な空間として設計することが重要です。
具体的には、書斎・子どもの遊び場・シアタールームなどが考えられます。
間切りにする
必要に応じて間仕切りができるようにすると、空間を柔軟に使えます。よく空間を広げたいと感じる場所に多いのは、リビングでしょう。
子どもの友だちがたくさん来てしまった場合も、間仕切りを開けることで余裕をもって場所を確保できます。母や父と子ども、双方を見える範囲の別空間でもてなせるメリットもあります。
家具の配置や間取り自体での工夫
部屋として独立させられなくても、家具の配置や間取りを工夫することで、多目的に使用する方法もあります。
たとえば、リビングのソファや収納家具の配置を変更し視線を遮ることができれば、同じ空間でもプライベートな環境として、リビングで就寝できます。このような多目的な利用をする場合は、事前にリビングのレイアウトやインテリアへの配慮が必要です。
そのため、専門家のアドバイスが有効になるでしょう。また、家族のライフスタイルや将来の変化も視野に入れて、長期的な計画を立てることも大切です。
生活スタイルに合わせた客間の設置には、さまざまな事例を知る人のアドバイスが有効です。メタ住宅展示場の家づくりプランでは、複数社に対して間取りプランを請求できます。
ぜひ、長年の経験を持つ設計士の提案の中から、よりよいプランを検討してください。客間の有無を含め、自分たちに合った環境が手に入るはずです。