新築住宅を検討するときにペットを飼育している、または飼育予定の場合はペットの生活も考慮した計画をしなければなりません。無計画で進めると、ペットにストレスが溜まったり、近隣住宅へ迷惑をかけてしまったりするおそれがあります。
ペット飼育ではどのような困りごとがあるのかを紹介したうえで、具体的な対策や計画する際の注意点を解説します。
もくじ
ペットの飼育で困ること
ペットを飼育するうえで、どのような困りごとがあるのでしょうか。ペットを飼い始めてから気になるようになった生活環境の変化について、Panasonicが行った調査では以下の3つが上位を占めています。
順位 | 内容 | 割合(%) |
---|---|---|
第1位 | 抜け毛 | 34.8 |
第2位 | ニオイ | 29.8 |
第3位 | 鳴き声 | 28.0 |
飼い始めてから「飼わなきゃよかった」と後悔することがないよう、飼う前に想定される困りごとの内容を理解しておきましょう。
引用:Panasonic:「コロナ禍をきっかけに、ペットのお悩みが増加!?愛犬・愛猫と快適にくらすコツとは? | ペット | UP LIFE | 毎日を、あなたらしく、あたらしく。」
ペットの飼育で困ること第1位|抜け毛
ペットの抜け毛が多く部屋に溜まってしまうと、ダニやノミが繁殖したり、ハウスダストが増えたりして人体に悪影響を及ぼす場合もあります。
個人差はありますが、アレルギー症状が出てしまう可能性もあるため、こまめに掃除が必要です。とくに犬や猫は、毛が生え変わる時期があり、定期的に抜け毛が多くなります。
予想以上に抜け毛が多いと、「掃除が大変」「掃除をしてもキリがない」とつらい思いをすることもあるでしょう。抜け毛に対しては、以下のような対処法があるので、飼育する前からアイテムを購入したり、専門家に相談したりして準備しておくのがおすすめです。
- 定期的にブラッシングする
- 洋服を着せて抜け毛を落とさないようにする
- ストレスを与えないように運動をさせる
ペットの飼育で困ること第2位|ニオイ
ペットや排泄物から発生するニオイも、飼い主を困らせる原因のひとつです。
帰宅時や来客時などは、とくにニオイが気になるタイミングです。とくにトイレコーナーは、外出中は処理ができないため、強烈なニオイが発生しやすい場所です。
ニオイは、ソファーや衣類に付着すると蓄積され続けてしまうため、原因を考えながら対処する必要があります。ニオイにかんする対処法は、以下のとおりです。
- トイレコーナー(シート)は清潔に保つ
- 定期的に換気を行う
- 定期的にシャンプーをする
ペットの種類や大きさなどによっても異なるので、ニオイの原因となっているものに応じて対処法を実践してみてください。
ペットの飼育で困ること第3位|鳴き声
環境省のデータでは、都道府県に寄せられていた犬にかんする苦情のうち、10%(約2,100件)が「鳴き声」にかんする内容とされています。
また、飼い主側でも「夜満足に睡眠が取れない」「鳴き声がストレスになっている」など、不満を抱えているケースも多いです。ペットが鳴くのは、以下のような原因があります。
- 警戒している
- 興奮している
- 空腹などの欲求を伝えている
原因が特定できれば対処し、自分では対処が難しい場合は専門家に相談するなどして改善へと動くことが大切です。
引用元:環境省「危害や迷惑問題等の発生状況」
新築時にとり入れたい対策
抜け毛・ニオイ・鳴き声など、ペットの困りごととして挙げられやすいトラブルに対処すべく、新築を検討する際には以下の対策を取っておくことがおすすめです。
- ペット専用の洗い場
- 汚れに強く走りやすい床材
- 傷でボロボロにならない壁紙
さまざまなメーカーから商品が販売されているので、ペットに合わせて選択しましょう。
ペット専用の洗い場
抜け毛やニオイを軽減するには、定期的にシャンプーやブラッシングをする必要があるため、ケアをしやすい洗い場を設置するのがおすすめです。
犬であれば、散歩から帰ってきたときに洗ってあげたり、庭で遊ばせたあとに汚れを落としてあげたりできるので、清潔に保つことができます。
人間用の浴槽や洗面台で洗うこともできますが、深型のシンクを別に設置すれば、水遊びをさせられるなど別用途としても使えて便利です。また、ペット専用の洗い場の周辺を、汚れても掃除がしやすいような環境に整えることで、さらにケアをしてあげやすくなります。
汚れに強く走りやすい床材
ペットが、ストレスを溜めてニオイや鳴き声がひどくなってしまわないよう、適切な床材選びをしましょう。ポイントは以下のとおりです。
- 汚れに強い
- 滑りにくく走りやすい
- 掃除がしやすい
ペットがトイレコーナーではなく、床材の上で粗相をしたときなどにも、ササッと拭き取れる床材が好ましいです。
また、足腰に負担がかからないうえに走りやすいよう、クッションフロアやコルクマットなどの滑りにくい床材を検討してみてください。クッションフロアやコルクマットであれば、アンモニア汚れに強かったり、汚れたところだけを外して掃除ができたりします。
現在では、木目調のクッションフロアなどが多く販売されているため、通常のフローリングのような雰囲気で、室内のインテリアにも馴染みやすいのでおすすめです。
傷でボロボロにならない壁紙
犬や猫を飼育するなら、傷でボロボロにならない壁紙を選択するのがおすすめです。
たとえば、壁紙メーカーのサンゲツでは「スーパー耐久性」という、傷に強い壁紙が販売されています。一般的な壁紙では、犬や猫が引っかくとボロボロになってしまいますが、耐久性が高い壁紙であれば綺麗な状態を保つことが可能です。
せっかくの新築が傷でボロボロになってしまったのでは、飼い主のストレスが溜まり、ペットにもストレスが伝わってしまいます。
飼い主とペットのどちらも健やかに暮らしていくためには、室内をできるだけ新築時と同じ綺麗な状態に保つための対策をしておくことが大切です。各壁紙メーカーで傷に強い壁紙が販売されているので、お好みの柄や色のものを見つけて実践してみてください。
ペットと暮らす新築住宅を計画する際のポイント
ペットと暮らす新築住宅を計画していく際に、押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 事前にペットと暮らすことを伝える
- 種類ごとの特性や性格を把握しておく
- ペットと暮らす施工事例をチェックする
抜け毛などの困りごとは、事前に知っておけば対策ができますが、プランニングの段階からペットのことを考慮する必要があります。
「もっとこうすればよかった」という後悔ポイントを減らせるよう、以下のポイントは押さえておきましょう。
事前にペットと暮らすことを伝える
間取りのプランニングをしてもらう前に、ペットと暮らすことを担当者に伝えましょう。また、新築を依頼する会社の中に、実際にペットを飼っているスタッフがいれば、担当についてもらうのもおすすめです。
ペットがいる前提でプランニングをするのとしないのとでは、間取りや使用する建材・内装材に大きな違いが生まれます。最初の段階で伝えておけば、建築会社側は最適なプランを提案してくれるので、できるだけ詳細にペットについて伝えておいてください。
種類ごとの特性や性格を把握しておく
ペットは、種類ごとに特性や性格が異なるため、初めて飼育する場合はペットショップなど、専門家に話を聞いておきましょう。
ペットの種類 | 特性や性格 |
---|---|
犬 |
|
猫 |
|
運動を好む犬のために走り回りやすい環境にしてあげたり、猫であれば室内を上下に動けるよう高低差をつけた棚を作ってあげたりと工夫が必要です。
特性や性格に合わない環境である場合、ストレスが溜まったり、健康を害したりするおそれがあります。ニオイや鳴き声が悪化してしまう場合もあるため、飼い主とペットの両者が快適に暮らせるよう、新築住宅の計画のうちから特性や性格を考慮してあげましょう。
ペットと暮らす施工事例をチェックする
新築を依頼する会社やSNSなどで、ペットと実際に新築住宅で暮らしている人の施工事例をチェックしましょう。
住んだあとでしかわからない後悔ポイントなどを計画段階で知っておけば、より失敗する確率を低くできます。とくに飼っているペットの種類が同じで「暮らしやすい」という声があれば、自分が住む新築住宅に、使用する建材や選択する間取りに反映させるのがおすすめです。
「自分では情報収集するのが難しい」「調べるのが苦手」という場合は、新築を依頼する会社に以下のように要望を伝える方法もあります。
- 猫が登って遊べるような場所が欲しい
- 散歩後に外で洗ってあげられるスペースが欲しい
- トイレコーナーの近くに換気扇が欲しい
プロの力を借りながら、ストレスなく快適にペットと暮らせる新築住宅のプランニングを進めていきましょう。