お風呂は疲れたからだを癒やすのに最適な一方で、掃除が面倒な場所でもあります。実際、掃除の手間を理由にシャワーだけで済ましている方もいるでしょう。
しかし、浴室やお風呂は定期的に手入れしておかないとカビや水あかが発生し、健康や美容にも影響するおそれがあります。そこで本記事では、お風呂掃除を楽にするコツをわかりやすく解説します。
掃除が楽なお風呂・浴室をつくりたい方は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
【前提】お風呂掃除がストレスな人は多い!
まずは、住宅設備機器メーカーのタカラスタンダード株式会社が実施した「家の中で掃除が大変・面倒と感じる場所はどこか」というアンケート結果をご覧ください。
場所 | 割合 |
---|---|
お風呂 | 80% |
トイレ | 75% |
キッチン | 70% |
洗面所・脱衣所 | 57% |
玄関 | 49% |
リビング | 45% |
寝室 | 40% |
ダイニング | 38% |
その他 | 2% |
参考:PRTIMES「主婦の嫌いな掃除、1位は「お風呂掃除」 一方で、お風呂掃除に費やしている時間は、1年で「60時間以上」にのぼる計算に!?」
アンケート結果によると、80%の人がお風呂は掃除が大変・面倒と感じていることがわかりました。その主な理由は、以下のとおりです。
- 掃除してもすぐに汚れる
- ぬめりや水あかを触りたくない
- 力を入れてこすらないとキレイにならない
ストレスを感じる理由のひとつは、洗う場所が多く時間がかかるという点です。また、掃除してもすぐに汚れてしまうという点もストレスです。
時間がない中で掃除しても、すぐにぬめりや水あかができてしまうので、キレイ好きな人ほど好きではないかもしれません。
さらにお風呂掃除はある程度の力が必要で、腰に負担がかかる姿勢も多く、決して楽ではない作業です。高齢の人や体調が優れない人にとっては、とくにストレスといえるでしょう。
みんなどのくらいの頻度で掃除している?
ネットリサーチのDIMSDRIVEで公表している、「お風呂掃除の頻度」について調査結果をまとめました。
頻度 | 割合 |
---|---|
ほとんど毎日 | 33.9% |
週に3~4日 | 17.9% |
週に2日 | 12.2% |
週に1日 | 15.2% |
2週間に1日位 | 5.0% |
1カ月に1日位 | 4.6% |
それ以下 | 11.2% |
参考:DIMSDRIVE「浴室掃除と防カビ」に関するアンケート」
上の表からわかるとおり、3人に1人は毎日掃除をしています。
週に1度以上の人は全体の約8割となり、お風呂掃除は頻繁にするものという認識は高いのかもしれません。
次は性別でわけました。
性別 | 週1日以上 |
---|---|
女性 | 85.2% |
男性 | 75.1% |
週1日以上掃除をする人の割合は女性が約85%、男性が約75%でした。つまり、女性は20人中17人が、男性は4人中3人が週1日以上お風呂掃除をしていることになります。
次は年代別に見ていきましょう。
年代 | 男性(週1日以上) | 女性(週1日以上) |
---|---|---|
20代以下 | 54.7% | 57.6% |
30代 | 61.0% | 79.2% |
40代 | 70.2% | 85.9% |
50代 | 75.3% | 90.0% |
60代 | 80.5% | 90.0% |
70代以上 | 87.6% | 89.8% |
表からわかるとおり男女とも年齢が上がるにつれて、お風呂掃除をする割合も高くなっています。年代が高い人のほうが、習慣が身についているのでしょう。
最後に同居人数別に見てみましょう。
同居人数 | 週1日以上 |
---|---|
一人暮らし | 52.4% |
2人 | 82.7% |
3~4人 | 84.5% |
5人以上 | 87.5% |
表からわかるとおり、同居人数が多いほど掃除の頻度も高くなります。お風呂に入る人数が多くなればそのぶん汚れはたまってしまうので、納得できる結果といえるでしょう。
お風呂が不衛生だと、どんな悪影響がある?
お風呂が不衛生になったときの悪影響についてまとめました。
雑菌やカビが繁殖する
お風呂は湿度が高く暖かいので、手入れを怠ると大腸菌や黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌などの雑菌やカビが繁殖するリスクがあります。
雑菌やカビが発生すると悪臭が発生したり、からだに有害な菌やカビが付着したりして、体調を崩してしまう心配があります。
健康を害するリスクがある
レジオネラ菌が肺に入り込んでしまうと、高齢者や子どもなど抵抗力の弱い人が菌に感染してしまい、肺炎などのレジオネラ症を発症してしまうおそれがあります。
また、黄色ブドウ球菌で皮膚トラブルやアレルギー症状が引き起こされることもあります。それ以外にも、お湯を通して菌に感染し膀胱炎になった例や、かゆみ・湿疹などが皮膚に現れた例もあります。
ケガにつながるリスクがある
床に石けんやシャンプーの残りなどが付着し、流されていないことがあります。
石けんやシャンプーの汚れがたまると、床がぬるぬるしてきて滑りやすくなり、転倒などのケガにつながることがあります。
水回り設備が劣化する
汚れやカビが放置されると、浴槽や排水口、蛇口などの設備や配管が劣化しやすくなります。
また、カビによる黒ずみや腐食が起き、見かけにも衛生的にもよくありません。定期清掃を頼む金額やお風呂の設備の交換・修理代を考えると、自分で掃除したほうが効率的かもしれません。
お風呂をキレイに保つための理想の掃除頻度
理想の掃除頻度は毎日です。毎日少しでも掃除をすることで汚れがたまりにくくなり、まとめて行うより結果として掃除時間が短縮できるからです。
また、毎日掃除することで習慣になるため、習慣になってしまえば面倒と感じなくなる可能性があります。
しかし、毎日掃除…と聞くと気が重くなる人もいるでしょう。ここでいう毎日とは、毎日少しの時間で負担なくできる掃除のことです。
毎日無理なくできる、手間の少ないお風呂掃除のコツを紹介します。
浴槽はお湯を抜いたらすぐに洗い流す
浴槽を使ったら、毎日お湯を抜いてすぐに洗い流す習慣をつけましょう。
浴槽内部は冷たくなると汚れが落ちにくくなりますが、お湯を抜いたばかりならまだ温かく、汚れが付着していてもシャワーで洗い流すだけで汚れが落ちます。落ちない場所はスポンジで軽くこするとよいでしょう。
排水口の掃除をする
排水口にたまりやすい髪の毛やゴミは毎日取り、汚れていたらお風呂用洗剤で軽くこするとキレイになります。
なお、パナソニックホールディングス株式会社の「ささっとキレイ排水口」や株式会社LIXIL(リクシル)の「パッとくるりんポイ排水口」などの各メーカーから簡単に掃除できる排水口や、防菌・防カビ仕様になっていたりする機能的な排水口も販売されています。忙しい人は検討してみましょう。
上がるときにシャワーをかける
10秒でできる簡単な方法を紹介します。お風呂から上がるときに、浴槽、壁や床など全体に約50度のシャワーをかけましょう。50度のお湯は、皮脂汚れやせっけん汚れを落とすのに最適な温度とされています。
換気をしっかり行う
掃除後は換気をしっかりと行い、湿気を取り除きましょう。タイマーを利用して換気扇をかけるのも効果的です。
換気扇の長時間使用に抵抗がある人は、ドアや窓を開けて通気を促しましょう。
簡単にキレイを保てるお風呂づくりのコツ
毎日のお風呂掃除のコツがつかめても、最初から簡単にキレイを保てるのがベストでしょう。ここでは、キレイを保てるコツを紹介します。
家の間取りを工夫する
キレイに保つには、家そのものの間取りを工夫する必要があります。おすすめの間取りを2パターン紹介します。
浴室は1階に設置する
浴室は家の1階に設置することをおすすめします。1番の理由は、設備が故障したときに被害を最小限にとどめられるからです。
配管が故障したら、お風呂場から水が流れ出てきてしまうかもしれません。2階にお風呂があったら、2階であふれた水が1階まで流れてしまい、掃除が大変です。
そのため、設備が故障して掃除や漏水に追われても、すぐに対処できるよう1階に設置するのがよいでしょう。わざわざお風呂掃除のために階段を上り下りするよりは、家事の合間にお風呂掃除ができたほうが体力的にラクです。
浴室とキッチンを近づける
家事動線を考えて、浴室とキッチンを同じ階に設置して場所を近づけることをおすすめします。
浴室の横に洗濯機があるパターンは多いですが、その場合は料理の合間に洗濯できます。効率的に家事ができると時短になりますので、お風呂掃除に回せる時間が多くなります。
浴室で鏡を使う頻度が少なければ、鏡は設置しない
浴室に鏡があっても、実際はあまり使わない人も多いのではないでしょうか。毎日の髭剃りなどを浴室でしたい家族がいる場合は難しいかもしれませんが、とくに鏡の必要性を感じていないのであれば、最初から設置しないのもおすすめです。
浴室に鏡があると、鏡を使わなくてもシャワーなどの水がつきやすく、水あかができてしまいます。鏡の面積が大きければ、それだけ掃除の負担も大きくなりますので、掃除を楽にしたい方は検討してみるとよいでしょう。
床は防水性の高い素材を選ぶ
床は防水性の高い素材を選びましょう。タイルや防水シートなどを使うのもおすすめです。
たとえば、TOTO株式会社では「お掃除ラクラクほっカラリ床」という商品を販売しています。表面が乾きやすくなる素材を使用し、カビが付きにくく滑りにくい仕様になっているようです。
このように床の素材を工夫し、水滴や湿気による悪影響を最小限におさえましょう。
浮かせて収納するか、取り外し可能なカウンターにする
シャンプーなどを置くと、どうしても掃除するときにどかす手間が必要です。置いたまま放置すると通気性も悪くなり、カビなどが発生しやすいです。
そんなとき便利なのが、吊るす収納・浮かせる収納です。1人暮らしをしている筆者は、カウンターが取り外せる仕様になっていたため、入居時に取り外し、シャンプーや掃除グッズなどは、すべてフックやお風呂のドアに吊り下げて収納しています。どかして掃除する必要がなくなり、あえてすぐ見える場所に掃除グッズをかけておいたことで、掃除の頻度も増えました。
最近では、吊るす収納・浮かせる収納が流行っていることもあり、ダイソーなどの100均で手軽に吊り下げ・浮かせる収納グッズが手に入るので、気になる方は足を運んでみてください。耐久性を考慮する必要はありますが、マグネットやワイヤーラック、物干し竿など、いろいろな方法で浮かせて収納できます。
上記のような方法で浮かせて収納できると判断した場合は、最初からカウンターなしのお風呂にしておくとよいでしょう。
とはいえ、家族の人数が多いと、どうしてもお風呂グッズは多くなってしまいます。家族別々のボディーソープがあったり、子どもがいる場合は、アヒルのおもちゃを浮かせて遊んだり、とカウンターがあったほうが便利な場合もあるかもしれません。不安な方は、取り外し可能なカウンターを設置し、必要なときだけ使うのがおすすめです。
たとえば、株式会社LIXILでは「まる洗いカウンター」を販売しています。壁に取り付けてあっても、簡単に取り外してまる洗いできる仕様です。
浴槽自動洗浄機能を検討する
自動でお風呂掃除をしてくれる、浴槽自動洗浄機能を検討してみるのはいかがでしょうか。
浴槽自動洗浄機能とは、浴槽内の洗浄ノズルからお湯や洗剤が吹き出て、浴槽をすみずみまでキレイにしてくれる機能のことです。スイッチひとつで浴槽を自動洗浄してくれるので、掃除の負担を軽減できます。
なお、浴槽自動洗浄機能の相場は100〜200万円といわれています。費用に余裕がない方は、キッチンやトイレの予算を減らすのもひとつの方法です。
浴槽の素材と形を工夫する
浴槽の形状や素材は、洗いやすさと汚れの落ちやすさを考慮して選ぶとよいでしょう。たとえば、タカラスタンダード株式会社のお風呂は、滑らかなアクリル人造大理石などの素材を採用しています。
アクリル人造大理石は凹凸が少ないため汚れにくく、力を入れずに簡単に汚れを落とせるそうです。