インターホンは、来客や宅配便の確認に欠かせない設備です。しかし、位置によっては、応対しにくかったり、防犯上のリスクが高まったりすることもあります。
応対のしやすさや防犯性などを考慮したインターホンの位置を、室内と室外に分けて紹介します。
もくじ
室内の場合
来客の確認と応対ができるインターホンの室内モニター。防犯にも役立つ便利な設備ですが、どこに設置するのが正解でしょうか。
応対しやすいのはリビング
リビングは、家族全員が長い時間利用します。移動せずにモニターで来客を確認して応対できるため、最も設置されることが多い場所です。
玄関につながるリビングドア付近に配置しておくと、さらに動きに無駄が少なくなりスムーズに来客を出迎えられます。
リビングのデメリットと対処法
便利に思えるリビングのインターホンにも、以下のようなデメリットがあります。
- にぎやかな場所であるため、モニターからの声が聞こえにくい
- 来客をもてなしている際は、インターホンを介した会話が丸聞こえになる
これらの問題はテレビやスピーカーなどの音響機器、会話を楽しむことが多いダイニングテーブルやリビングのソファから、離れている場所へ設置することで、ある程度解消されます。
来客を確認しやすいのは目線の位置にあるモニター
インターホンは設置する部屋だけでなく、高さも大切です。モニターをきちんと確認できなくては意味がないためです。
一般的には、目線の高さになる約145cmの高さに設置するのが理想とされています。
来客が誰なのかすぐ確認できるよう、あらゆる場所からチェックできる、視界が妨げられない場所への設置が望ましいでしょう。
モニターの位置が合わないことのデメリットと対処法
目線の高さは当然身長により異なります。小さな子どもが使用する場合はどうでしょうか。
モニターは少し下からでもチェックできますが、応対するためにはインターホンを介して会話をし、開錠ができる機種の場合は操作も必要です。
手が届く程度の高さになるように、通常よりも少し低めに設置することを検討しましょう。ただ、数十年後には子どもも、ほぼ同じ目線になると考えられます。
モニターの手前に踏み台を用意しておくことが、現実的な方法ともいえるでしょう。
複数台の設置に適しているのは2階
戸建ての場合、インターホンを複数台設置するかどうかも検討材料のひとつでしょう。
近い場所に設置するよりは、親機である1台目から離れた場所にあったほうが便利なため、2階への設置が適しています。
2階のデメリットと対処法
2階への設置は廊下を選ぶ方が多いようです。各個室からのアクセスがよく、利便性が高いためです。
ただし、2階廊下は階段と面しているため、家中に声が響いてしまうことが懸念されます。静かな環境を大切にしている方は、設置位置に注意してください。
持ち運び可能な、ワイヤレスタイプのモニターも販売されています。2階の個室で過ごすときは、移動させておくのもひとつの方法です。
座ったままでOKなのはスマートフォンでの応対
スマートフォンで応対が可能なインターホンをご存じでしょうか。
家の中でも肌身離さずスマートフォンを持っている方であれば、どこにいても応対可能です。室内モニターの設置は欠かせませんが、設置場所まで時間がかかりやすい2階や離れに設置していた子機の代わりとしては有効です。
最近家を建てた筆者は、室内モニターをリビングのみとし、別の部屋で過ごしているときはスマートフォンから応対しています。
スマートフォンでの応対のデメリットと対処法
スマートフォンをどこかに置きっぱなしにしていると、1階に設置したインターホンから離れているとき、来客のチャイム音が聞こえないおそれがあります。
モニターの設置は不要ですが、チャイム音だけはどの部屋にも聞こえるような工夫が必要です。
また、有線で接続されておらず電波状態が環境により変わることも念頭に置く必要があります。画質が劣っていることが多いので、不安な場合はメインモニターをチェックすることも大切です。
まとめて管理できるのはリモコンニッチ
インターホンのモニターは厚みがあり、邪魔に感じる人もいます。
そのため、壁の一部をへこませた「リモコンニッチ」と呼ばれる飾り棚に、同じく厚みがあるガス給湯器のリモコンなど、豊富なリモコン類とあわせて設置する方も多いです。まとめて設置すれば、スッキリとした見た目を実現できます。
また、リモコンニッチは、家族の連絡ボードやカレンダーなどの共有物をまとめる家族のコミュニケーションスペースをかねた設備としても販売されています。
リモコンニッチのデメリットと対処法
多様なリモコン設備をまとめるメリットはありますが、まとめる数が多いほどスペースが必要です。
リモコンニッチを導入する広い壁面を確保するために、不便な場所にモニターを設置してしまっては意味がありません。便利な設備ではありますが、まずは生活動線を優先することをおすすめします。
室外の場合
来客の利用が主となる室外のインターホン。玄関ドア付近や
防犯に有効なのは門扉・門柱
門扉や門柱(もんちゅう・もんばしら・かどばしら)に設置すると玄関ドアとの距離が確保できるため、防犯面では安心です。玄関から離れていることでプライバシーを確保でき、部外者が敷地内に入る口実も与えません。
住居から距離があり生活音が聞こえにくいため、モニターに映る人物に不安を感じた場合も、バレずに居留守をつかえる可能性もあります。
門扉・門柱への設置のデメリットと対処法
門扉・門柱にインターホンを設置した場合、玄関からの距離分の移動が必要なため大きな荷物の受け取りは負担になります。雨が降っているときは傘をさして出迎えることとなり、不便に感じる機会も多くなるでしょう。
ただし門扉がなければ、モニターで来客を確認したうえで「中までどうぞ」と声をかけることで、玄関まで来てもらうことができ、負担は解消されます。
来客にとって便利なのは玄関ドア付近
来客が多い家庭は、玄関ドア付近にインターホンを設置すると便利です。
さらに、荷物の受け取りなど直接応対する必要がある場合は、移動が少なく手間を省けます。
玄関ドア付近への設置のデメリットと対処法
防犯面を考えると、玄関ドア付近の設置には不安があります。
敷地内に見知らぬ人が踏み入ることが当然な状況になっており、玄関近くに不審者がいたとしても見かけた近所の人は来客と考え怪しむことは少ないでしょう。
ドアを開けると同時に対面することとなり、万が一強盗だった場合は防ぐことが困難です。さらに、訪問販売などの勧誘も断りにくいかもしれません。
玄関ドアを開ける前には、必ずモニターまたは目視による来客の確認をしましょう。
省スペースなのは玄関ポーチ前の門袖
敷地内ではあるものの、門袖は玄関ポーチからは下りた位置にあるためです。
門袖への設置のデメリットと対処法
門袖へ設置するケースはあまり多くないため、インターホンの存在に気づいてもらえないおそれがあります。
ポストなどと兼用の設備にして目立たせることで、周知するとよいかもしれません。
来客を確認しやすいのは高さ110㎝
室外のインターホンの高さは、110〜130cmが一般的とされています。また、バリアフリーに対応したインターホンの高さは、90〜120cmといわれています。
モニターにより来客をチェックするには、カメラの映りが大切です。高身長の人から子どもや車椅子を使用する人など、使う人を考慮した高さを検討する必要があるでしょう。
室外インターホンの高さ不良のデメリットと対処法
設置位置の前に階段や段差があると、来客がインターホンから少し離れた位置で待つ可能性があります。カメラは全角度を映せるわけではないため、死角で待つことがないように設置位置には注意が必要です。
インターホンのカメラには、50㎝の距離にいる場合は約縦65㎝×横95㎝の範囲が映ります。広角カメラであれば約縦200㎝×横400㎝まで映る範囲が広がります。
来客の立ち位置が予測しきれない場合は、広角カメラを搭載している機種を検討するのも一案です。
インターホンの位置で後悔しないためには
インターホンの設置は、室内・室外ともにあらゆる配慮をする必要があります。
防犯面や生活動線など家庭の考え方を再考することはもちろんですが、具体的な設置場所に関しては専門家のアドバイスが有効です。
敷地と住居のレイアウトに合わせた適切な場所にインターホンを設置するため、メタ住宅展示場の経験豊かな専門家とともに、家づくりプランを作成しましょう。