新築住宅を建てるにあたり「どこにどんなクローゼットをつくればよいのか」悩んだあげく、失敗するのは避けたいものです。
せっかくつくるクローゼットが使いにくくならないよう本記事では、クローゼットの失敗事例からクローゼットの選び方、使いやすいクローゼットの幅まで解説します。建築会社やリフォーム会社での経験をもとにしていますので、ぜひクローゼットづくりの参考にしてください。
新築のクローゼットで失敗する事例
新築住宅を建てるにあたり、意外と失敗したと感じている方が多いのがクローゼットです。
どんなところに失敗を感じているのか紹介します。
収納量が足りなかった
収納量が不足していたため、失敗したと感じている事例があります。
たとえば、ファミリークローゼットと呼ばれる大容量の収納スペースをつくる場合、3畳程度の広さを確保したいところです。ところが、予算や法律的な縛りで家の広さが制限され、十分な広さのクローゼットを確保できないことがあります。
とにかくファミリークローゼットが欲しいという気持ちだけで、どのように収納するかを深く考えないままつくってしまうと、結果的に収納量が不足してしまい後悔します。
具体例としては、収納アイテムの種類や形状によって収納量が足りなくなることがあります。クローゼットには衣類や靴だけでなく、バッグや帽子、寝具なども収納予定でしたが、それらのサイズや形状によってうまく収納できないことが判明しました。結果として、収納量が足りなくなり、収納スペースを有効活用できないことに後悔しました。
このような失敗を避けるには、収納するアイテムの種類や量を事前に考慮し、必要な収納スペースを見積もることが大切です。
位置が悪かった
クローゼットの位置が悪くて使いにくくて後悔している事例もあります。
収納の位置を最優先で間取りを決めるのは難しいことです。リビングやキッチン、それぞれの部屋の位置を優先して考えて、その中で収納の位置を決めるのが一般的です。家の中で収納は大切な要素ですが、生活でメインに使うスペースのほうがより大切です。
そこで余ったスペースに何となくクローゼットを配置した結果、位置が悪くて使いにくい動線になって後悔する事例があります。
たとえば、ベッドのすぐ近くにクローゼットを配置したとします。クローゼットのドアがベッドの方向を向いている場合、ドアを開ける際にベッドとのあいだに十分なスペースがなく、ドアの開閉が妨げられます。ベッドから遠すぎても、起きたあと移動の手間がありますが、近すぎても不便です。
また、玄関横にクローゼットを配置した場合、クローゼットのドアが開いた状態だと通行スペースが狭くなります。毎日の着替えをクローゼットにしまっている場合、出かける際にクローゼットまで着替えを取りに行く必要もあります。
クローゼットの設置位置を決める際は、寝る前や起きたあとなど、生活の中でクローゼットを最も頻繁に利用するタイミングを考慮するとよいでしょう。
クローゼット内の設計を間違えた
広さを確保して、使いやすい位置に配置したにもかかわらず、内部の収納の設計を間違えて使いにくいクローゼットになった方もいます。
クローゼットは何を収納するのかを考えて設計しないといけません。キッチンの近くならこれを、寝室だから、玄関だからなどクローゼットを設ける位置によって収納したいものを想定しましょう。
できればサイズなども明確にして棚の位置を決定し、収納したいものが効率的に納められる設計をしたいところです。
湿気や臭いがたまりやすかった
下記のように、せっかくつくったにも関わらず有効活用できず後悔している声があります。
- 湿気がたまってカビが生えてしまうので、収納として使えない
- 臭いがたまるのであまり長く置いておけない
ウォークスルークローゼットであれば出入り口があって、通り抜けできる動線を確保することで空気の抜け道ができるため、湿気や臭い対策ができます。しかし、すべてのクローゼットで必ずしも空気の通り道を確保できるわけではありません。
北側の水回り近くに配置するクローゼットのように湿気がたまりやすいと想定されたり、靴をしまうので臭いがたまりやすいと想定されるのであれば、窓を設けたり換気設備を設けるなどの対策を図る必要があります。
どんなクローゼットなら失敗しにくい?選び方
どんなクローゼットにすれば失敗しにくいのか、クローゼットの種類ごとに紹介しますので選び方の参考にしてください。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットは収納内を歩行できるスペースが確保されているクローゼットです。奥行きがある収納ですが内部の状況を歩いて確認できるので、何が収納されているかを把握しやすいメリットがあります。
人が歩くスペースを確保する必要があるため、クローゼットの配置には面積が必要になる点には注意が必要です。収納量にもよりますが2畳から4畳の広さが必要と考えてください。
寝室と接する形で配置し、衣類の収納を目的にすることが多いのでハンガーをかけるためのハンガー用パイプを設置するのがよいでしょう。また、カバンやアクセサリー類を収納できる棚や引き出しも設置しましょう。
窓がないと配置によっては湿気がたまりやすくなることがあるので、換気設備を設置するなど湿気対策は必ず採るようにしましょう。多くの衣類を持っている方にはおすすめのクローゼットです。
ウォークスルークローゼット
ウォークスルークローゼットは、出入り口を2カ所設けることで通り抜けできるようにしているクローゼットです。
玄関近くに設けると通り抜けながら身支度ができます。寝室と脱衣室の中間に設けると、ランドリールームを兼ねた空間として使用できます。
人が歩くスペースと出入り口の2カ所を確保するため、3畳から4畳の広さを確保する必要があります。動線を意識して配置を決める必要があるので家全体の計画をするときには、あらかじめウォークスルークローゼットを設けることを念頭に置いて設計してもらうようにしましょう。
洋服やコートをかけるためのフックやハンガー用パイプ、カバンや靴などを収納する棚、下着やタオル類を収納する引き出しを収納の目的に応じて設置するようにしてください。
仕事着や子どもが学校で使うカバンや道具などをまとめて収納したい人に、おすすめのクローゼットです。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットは、ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットの2種類に分けられます。ウォークインクローゼットまたはウォークスルークローゼットとしてつくり、家族で共有して使うクローゼットがファミリークローゼットです。
家族全員がひとつのクローゼットを使うことから収納量が求められるので、3畳から4畳の広さは少なくとも確保したいところです。居室のスペースを確保しつつ、収納スペースをまとめることで制限がある家の広さを有効に使いつつ、使い勝手のよいクローゼットを求めている方にはおすすめです。
壁面クローゼット
壁面クローゼットは、壁面につくるクローゼットです。1畳程度の広さで居室ごとに設けるのが一般的です。それぞれの目的に応じて広さや内部のつくりを検討できますが、収納扉の形状に注意する必要があります。
折れ戸(折戸)や開き戸タイプの扉を選ぶ場合には、机やベッドに干渉しないように計画しましょう。また、家族の生活スタイルや好みがバラバラの場合には、壁面クローゼットを各部屋に設けるのが望ましいです。
押し入れ型クローゼット
押し入れ型クローゼットは壁面クローゼットと同じように壁面につくるクローゼットですが、布団がしまえるように奥行きのあるクローゼットです。
奥行きがあるため市販の衣装ケースを利用して内側に収納スペースをつくったり、ダウンジャケットのように厚みのある衣類を収納したりもできます。
和室を洋室にリフォームするとき、押し入れ内部のつくりはそのままに、扉だけ折れ戸や引き戸に変えて押し入れ型のクローゼットとして利用される方もいます。
ワードローブ型クローゼット
ワードローブとは衣類専用収納のことで、ワードローブ型クローゼットは衣類の収納に特化したクローゼットです。
おしゃれが好きな方、家族が多く衣類がたくさんある方はワードローブ型のクローゼットを検討してみてください。タイプはそれぞれの生活スタイルに合わせて、ウォークイン型でも壁面タイプにしてもよいでしょう。
全開にできる扉を選んで、収納してある衣類が把握しやすいようにし、ロングコートや時計、アクセサリーなど小物があるのであれば、きれいに収納できるようスペースを確保しましょう。
思い切って見せる収納として計画するのであれば、アパレル関係のお店を参考に計画してみるのもよいでしょう。
使いやすいクローゼットの幅とは?失敗しないカギ
使いやすいクローゼットにするには幅を気にする必要があります。クローゼットづくりに失敗しないカギとして、クローゼットの幅について紹介します。
部屋との幅は90cmか180cmが基本
6畳の部屋に設けるクローゼットであれば、90cmもしくは180cm幅にするのが一般的です。部屋への出入り口を確保しつつ、机やベッドを置くスペースを確保すると、0.5畳もしくは1畳分がクローゼットスペースになるためです。
奥行きは衣類をしまうのであれば65cm~70cm、布団をしまうのであれば80cmは確保したいところです。
通路との幅は最低60cm
人が通るには、通路として60cmの幅を確保してください。割り切って無理やりにでも通るだけだと考えればもう少し狭くても通れないことはありませんが、収納したいものを運んで通ることも考えると60cmの通路幅は確保したいところです。
ハンガーパイプとの幅は35cmが理想
ハンガーパイプとは、ハンガーをかけるために棚板の底面や壁と壁の間に設置するパイプのことです。ハンガーをかけるために、奥の壁面から35cm程度幅を設けて設置します。
設置する高さは床から180cmの位置が一般的ですが、使われる方の身長に応じて使いやすい位置に変更してもよいでしょう。
クローゼットで失敗したくない方は複数社へ相談がベスト
いざ、クローゼットの種類を選んでも大きさや配置、デザインなど検討すべきことは多いです。そんなときは自分たちだけで悩まず、住宅会社や建築家などの専門家に相談してみましょう。専門家からのアドバイスは、クローゼットづくりのヒントになるはずです。
相談する際は、1社だけでなく複数社からアドバイスを受けることをおすすめします。複数の意見を聞くことで、確信を持って判断できます。失敗しないクローゼットをつくる近道ですので、ぜひ複数社からクローゼットの提案をしてもらいましょう。