不在時でも荷物を受け取れる宅配ボックス。「ボックス付き」をセールスポイントにしているマンションは多いですが、戸建て住宅の場合は必要なのでしょうか。
実際に設置して結局「いらなかった」と後悔することのないよう、宅配ボックスが必要かどうかの判断基準と設置する場合に考慮すべき注意点を解説します。
もくじ
住居別!宅配ボックスの設置割合
シェア1位を誇る「株式会社ナスタの2022年度調査」によると、設置率は過去3年間で2.3倍と普及が進んでおり、4割近くの住居に設置されています。
しかし、住居形態別のデータでは、戸建て住宅の設置率が最も低くなっています。
参考:valuepress 「ナスタ調べ」「2022年置き配利用率61.3%」
企業主導で設置可能なマンションとは違って、個人での対応が必要な戸建て住宅では設置が遅れ気味なのが現状です。ただし、国や地方公共団体(自治体)などで設置が推進されており、今後は普及していく可能性が高いです。
マンションやアパートと比べると場所も確保しやすい戸建て住宅では、家庭の事情に合わせて設置できます。より使いやすいものを選ぶため、使用する頻度や状況も知っておきましょう。
戸建てに設置したほうがよい人
以下では、戸建てに宅配ボックスを設置したほうがよい人について解説します。
以前から利用していた人
以前の住居に設置されており活用していた人は、いざなくなると不便に感じるでしょう。可能な限り設置しておくことをおすすめします。
荷物の受け取りには、以下のような状況が発生します。
- 荷物が届く時間に在宅しておく必要がある
- 受け取りのために、化粧や部屋着から着替えるなどの身支度をする
- 時間帯指定をしても、届くまでお風呂には入れない
今までにはなかった時間や生活の縛りが発生してしまいます。以前の生活に慣れていればいるほど、ストレスになってしまうかもしれません。
インターネット注文が多い人
インターネット注文が多い人は、当然届く荷物の個数も増えてしまいます。荷物の受け取り頻度が高い分、負担を感じるようになるのは必然です。
宅配ボックスがあれば不在時にも荷物を受け取れるため、生活のペースを乱されることはありません。
また、日中、誰も家にいないことが多い家庭は、あったほうが便利でしょう。
対面での受け取りが面倒・不安な人
宅配業者を装った不審者のニュースなどを見て、対面での荷物の受け取りに不安を感じることはありませんか。
在宅している場合でも非対面で荷物を受け取れる宅配ボックスは、防犯面において有効といえます。不審な人物をシャットアウトできます。
また、対面での受け取りでは寝ぐせのある状態やパジャマ姿では出ていきにくいものです。朝早い時間に配達依頼をしていて「うっかり寝ていた」なんてことがあったら慌ててしまいますが、宅配ボックスがあればそんな心配は無用です。いつでも好きな時間に取りに行けます。
小さな子どもがいる人
小さな子どもがいる家庭では、日中のお昼寝タイムなどは静かにしておきたいものです。静かに過ごしていた中、来客のピンポンの音により起きてしまい、赤ちゃんの場合は大泣きにつながることもあります。
宅配ボックスがあればインターホンを押されることもなく、手が空いているときに受け取れます。子どものおむつを替えていたり、料理をしていたりするときも手をはなさずに済み、子育ての時期には大きな助けとなるでしょう。
戸建てに設置しないほうがよい人
それなりにスペースが必要な設備ですので、せっかく設置したのに使用しないなどという失敗は避けなくてはいけません。
戸建て住宅でいらなかった人の事情について紹介します。
置き配で満足している人
現在置き配指定での受け取りで特に問題を感じていない人は、設置してもメリットを感じないかもしれません。
居住地の土地柄や人通りの多さなども考慮して、防犯面に配慮した判断をしましょう。
宅配ロッカーでの受け取りで十分な人
インターネット購入などを頻繁にはおこなわず荷物が少ない人は、別の受け取り方法で十分とも考えられます。
荷物の受け取り方法はどんどん充実してきています。宅配ロッカーやコンビニエンスストア、宅配業者の営業所で受け取る方法などがあります。特に、宅配ロッカーは駅やスーパーなどいろいろな場所に増えてきており、非対面で受け取れるメリットもあります。
小さい荷物であれば、仕事や買い物帰りに受け取って帰宅するほうが、再配達依頼の手間もなくなり、時間効率がよいでしょう。
設置スペースを確保できない人
設置には、配達を希望する荷物の大きさ以上のスペースが必要です。
住居の見栄えを考えると、家の顔ともいえる玄関まわりはなるべくゆとりのある空間にしたいところです。外構プランも含め、邪魔にならない設計が必要です。
ポストと一体型の宅配ボックスも販売されており、すっきりとした見た目ですが、荷物が入るサイズかどうか必ず確認しましょう。
注文住宅では長く住むことを前提に建築されると思いますが、使えなくなった場合の撤去や一体型だと丸ごと買い替えの必要があることも念頭に置いておきましょう。
住居の収納スペースが充実している人
注文住宅で間取りを考える際、以前の住居よりも収納スペースを増やす方が多いでしょう。
筆者は実際に収納スペースを増やし、余裕をもって買い置きができるようになったため、とても生活しやすいと感じています。買い置きがあることにより急ぎの買い物をしなくなったため、インターネットでの注文も減りました。
室内に十分な収納スペースがあれば、整理整頓しやすくなり必要なものを見つけやすくなりますし、買い置きもしやすくなります。急ぎの買い物をしなくなったことでインターネットでの注文が減れば、宅配ボックスは必要なくなるかもしれません。
設置する際の注意点
設置する際には、いくつか注意点があります。
取り換えにくい設備のため、サイズやセキュリティなどについて確認したうえで購入製品を選びましょう。さらに、助成金・補助金制度の対象となる場合は、ぜひ利用したいところです。
盗難の危険性に配慮して設置する
置き配は荷物の盗難やいたずらが心配なため、その対策としても宅配ボックスが検討されます。どのような工夫がされているのでしょうか。
施錠方式
盗難対策としてボックスに鍵をかける方法として、南京錠・パスワードや暗号・スマートフォンでの施錠が挙げられます。鍵自体を壊して盗難される報告も多くあるため、電子制御によるスマートフォンでの施錠は防犯性が高いといわれています。
IoT宅配ボックス
ボックス内にカメラが設置されており、スマートフォンで様子を確認できるのが、IoT宅配ボックスです。
また、受け取り手続きをおこなった日時や、ボックスを開閉した日時情報を記録できるタイプもあり、紛失時の捜索や盗難の証明の際に有効です。
設置方式
任意の場所に置いておく据え置きタイプと壁に固定したり埋め込んだりするタイプがあります。
据え置きタイプは手軽に取り入れやすいメリットがありますが、固定されていないため、ボックスごと盗まれるおそれがあります。
防犯カメラの設置
防犯カメラを設置するのもひとつの方法です。屋外でも使用できる防犯カメラが安価で販売されています。
筆者は玄関・ガレージ・宅配ボックスのすべてが映る位置にカメラを設置しており、人の出入りを検知するとスマートフォンに通知されるため、安心して過ごせています。家のプランニング時に検討すれば、最適な場所への設置が可能です。
助成金・補助金を申請できるか確認する
設置することで、地方公共団体(自治体)より補助金を受けられる可能性があります。
たとえば、国土交通省による「こどもエコすまい支援事業」は、省エネに配慮した建築を対象とした子育て世帯・若者夫婦世帯への支援事業です。その中で宅配ボックスの設置は、再配達を減らすことによる自動車からの二酸化炭素排出削減を目的として補助の対象とされています。
ただし、補助はリフォームに限られており、新築時に注文住宅として一緒に申請するのではなく、宅配ボックスの設置のみを別途リフォームとして申請する必要があります。
すでに「こどもエコすまい支援事業」の補助を新築時に受けている場合は、設置リフォームについては重複申請できず、対象外です。また、環境省による「先進的窓リノベ事業」、経産産業省による「給湯省エネ事業」との重複申請も認められていません。
補助金額は1つの宅配ボックスにつき1万1,000円です。交付期間は、2023年3月31日~2023年12月31日までとなり、予算上限に達し次第終了です。(交付期間が過ぎてしまった方は、2024年以降の申請を検討してください)
なお、地方公共団体(自治体)によっては独自に補助金制度を設けている場合もあります。居住予定の地方公共団体の支援制度は、一度確認してみるのがおすすめです。
受け取れない荷物を把握しておく
基本的に宅配ボックスは、以下の荷物は受け取れません。
- 冷蔵品・冷凍品
- 2件目以上の荷物
- 大きめの荷物
冷蔵品・冷凍品
冷蔵・冷凍機能があるものはほとんどありません。入れたままにしていると劣化が進んでしまい、食中毒の危険性も考えられます。
2件目以上の荷物
同時に1件以上の受け取りができないものが大半ですので、不在時に複数個の荷物が届く場合、1つ目以外は受け取れません。
大きめの荷物
設置したサイズ以上の荷物は入りません。たとえば、インターネット購入される方が多い紙おむつなどは、まとめ買いをするときには荷物のサイズ確認が必要です。
ただ大きければよいというものではなく、設備自体の場所が必要ですので外構プランの中でのバランスを考えて設置しましょう。
宅配ボックスのデザインや設置場所に迷ったら
宅配ボックスは人目につく門扉や玄関まわりに配置します。どんな荷物でも入るように大きなサイズを選びたいところですが、せっかくの景観が台無しになってしまうおそれもあり、心配なところです。屋外の設備は住宅メーカーの資料にも含まれていないことが多く、イメージがわきにくい側面もあります。
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おしゃれなものや植栽になじみやすい色味など宅配ボックスは、多種多様なスタイルとサイズがあります。専門家によるプランとともに、宅配ボックスのベストな設置場所と外構デザインを見つけましょう。