オール電化は、最新設備を導入したい方にとって魅力的な選択肢のひとつです。
しかし、実際にオール電化を導入して後悔した人の中には、「やめとけ」という声もあります。本記事では、その理由やオール電化の導入をやめたほうがよい人について具体的に解説します。
もくじ
オール電化はやめとけって本当?後悔した人の意見5つ
生活に必要なエネルギーすべてを電力でまかなうオール電化を導入した人の中には、導入を後悔している人もいます。
実際にオール電化を導入した人は、どのような点に後悔しているのでしょうか。よくある後悔のポイントを、5つ紹介します。
- 昼間の電気代が高い
- 初期費用が高い
- 停電時はさまざまな機能が使えなくなる
- 湯切れを起こす場合がある
- IHクッキングヒーターは調理器具などに制限がある
それぞれ見ていきましょう。
昼間の電気代が高い
電力会社のオール電化プランは夜間の電気代は割安で、日中が割高な傾向にあります。そのため、昼間に電気を使うことが多いと、電気代が高くなりやすいです。
時間 | 電力量料金 (1kWh) |
---|---|
午前6時〜翌午前1時 | 25.87円 |
午前1時〜午前6時 | 18.37円 |
引用:東京電力エナジーパートナー株式会社「スマートライフ」スマートライフS(2023年4月1日以降)
時間帯別の料金を見てみると、夜間から早朝にかけては18.37円と割安ですが、日中は夜間の約1.4倍です。
オール電化を導入しても、昼間家にいることが多い家庭では電気代が高額になるため、後悔する場合があります。
初期費用が高い
オール電化は、導入にかかる初期費用が高額です。新築一戸建てでオール電化を導入するのに必要となるのは、エコキュートとIHクッキングヒーターです。
エコキュートとは、電気でお湯を沸かす機器のことです。正式には「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」と呼びます。
空気の熱エネルギーと電力を両方活用することで、従来の電気温水器より少ない電力でお湯を沸かせるため、効率がよいです。そのため、現在ではオール電化を導入する多くの家庭で設置されています。
標準的な370LタイプのエコキュートとIHクッキングヒーターを導入するには、工事費を含めて約60〜100万円かかります。太陽光発電を導入する場合は、さらに費用がかかります。
給湯器の導入にかかる初期費用と耐用年数を、電気(オール電化)とガスの場合で比べてみましょう。
電気とガス | 電気(エコキュート) | ガス給湯器 |
---|---|---|
初期費用(万円) | 約45~85 | 約25~40 |
耐用年数(年) | 約15 | 約10 |
エコキュートの初期費用は約45~85万円で、ガス給湯器の導入費用の約2倍必要です。
ただし、ガス給湯器の耐用年数は約10年であるのに対して、エコキュートは約15年と長めであるため、ガス給湯器より長く使用できます。
しかしながら、初期費用で高額な出費がある点は、後悔しやすいポイントといえます。
停電時はさまざまな機能が使えなくなる
オール電化の家は、生活に必要なエネルギーをすべて電力でまかなうため、災害などによって停電が発生すると、家の中のさまざまな機能が停止してしまいます。
停電していてもガスコンロは使えますが、オール電化の場合は調理できません。また、エコキュートのタンクにお湯が残っていれば生活水として使用できますが、ない場合はお湯を沸かす手段がありません。
災害による停電時に、オール電化の導入を後悔するケースは少なくありません。
湯切れを起こす場合がある
オール電化の場合、電気代の割安な深夜の時間帯にまとめてお湯を沸かし、タンクにためておきます。
しかし、夜間にためたお湯を日中に使い切ってしまうと、お湯が使えなくなってしまいます。湯切れを起こすと、シャワー1人分の量を沸かすのに約30〜40分かかり、そのあいだはお湯が使えません。
最近のエコキュートは湯切れが起こらないよう、こまめにお湯を沸かす機能を備えています。しかし、電気代の高い昼の時間帯にお湯を沸かすため、電気代が高くなります。
IHクッキングヒーターは調理器具などに制限がある
オール電化ではIHクッキングヒーターで調理しますが、使い勝手がガスコンロと異なるため、人によっては使いにくく感じる場合があります。
IHクッキングヒーターはIH対応の調理器具しか使用できないため、手持ちの鍋がIHに対応していなければ、買い換える必要もあります。
また、IHクッキングヒーターは一部のタイプを除いて、鍋やフライパンを振ったり傾けたりして調理できません。ガスコンロとは火の通り方なども異なるため、うまく調理できず、慣れるまでに時間がかかる場合もあります。
ガスコンロでの調理に慣れている人や、使用する調理器具を制限したくない人は、IHクッキングヒーターに使いにくさを感じるでしょう。
そもそもオール電化とは?3つのメリットも
オール電化とは、生活に必要なエネルギーすべてを電力でまかなうシステムです。ガスを使用するのが一般的なコンロやお風呂、暖房も、オール電化の家ではすべて電力で稼働させます。
オール電化の主なメリットは、次の3つです。
- 夜間の電気代が安い
- 火災が起こりにくい
- 断水時でもお湯が使える
それぞれ見ていきましょう。
夜間の電気代が安い
上述したとおり、オール電化のプランでは夜間の電気代が割安です。
電気代の割安な夜間に、洗濯や乾燥、炊飯などを済ませることで光熱費を節約できます。ガスの基本料金も不要になるため、昼間に家にいる時間が少ない家庭では、光熱費を抑えられるでしょう。
また、電気とガスの1時間あたりのエネルギーコストを次の表で比較してみました。
電気 | 昼間 | 38.58円 |
---|---|---|
夜間 | 20.64円 | |
ガス | 都市ガス | 17.57円 |
プロパンガス | 23.34円 |
引用:石油連盟(Petroleum Association of Japan)「1kWhあたりのエネルギー別単価比較!!」
夜間の電気代は、プロパンガスの使用料よりも安いことがわかります。プロパンガスから移行する場合は、光熱費が削減できる可能性があります。
火災が起こりにくい
オール電化では調理時に直火を使わないため、ガスに比べ火災のリスクが少ないです。小さい子どもや高齢者が、誤って火に触れたり火を消し忘れたりすることもありません。
また、火災以外にも、ガス漏れや換気不足による一酸化炭素中毒の危険性も低いです。
断水時でもお湯が使える
オール電化で使用するエコキュートは、大量のお湯をストックできるため、災害などで断水になった場合でもお湯を使えます。
飲料水としての使用はできませんが、生活用水として活用できるため非常時でも安心です。
オール電化のデメリット3つ
オール電化のデメリットを3つ解説します。
- 水圧が低い
- エコキュートの動作音がする
- メンテナンス費用がかかる
オール電化を導入して後悔しないよう、デメリットも十分に確認しておきましょう。
水圧が低い
オール電化でエコキュートを使用した場合、シャワーなどの水圧が低くなる傾向にあります。
通常のガス給湯器の水圧が約500kPa(キロパスカル)※であるのに対して、エコキュートの水圧は約180kPaと半分以下です。これは、エコキュートのお湯をためるタンクに負荷がかからないよう、水道水の水圧を下げた状態でお湯が出てくるためです。
- kPa(キロパスカル)
- 水圧を表す単位
近年のエコキュートは改善傾向にありますが、2階や3階にキッチンや浴室がある場合や、ガス給湯器に慣れている人が使用した場合は、使いにくさを感じやすいでしょう。
エコキュートの動作音がする
エコキュートは運転時に音が発生します。動作音は40〜50dB(デシベル)※と家庭用クーラーの室外機と同等の大きさですが、作動する時間帯が深夜であるため、睡眠を妨害されたりストレスを感じたりする場合があります。
- dB(デシベル)
- 騒音の強さを表す単位のひとつ
睡眠時、小さい音でも気になって眠れなくなる人や、隣家との距離が近くトラブルを防ぎたい場合には注意が必要です。
メンテナンス費用がかかる
精密機器であるエコキュートは、定期的な点検やメンテナンスが必要です。水漏れの有無や部品の確認など、最低でも3年に1度は専門の会社に点検やメンテナンスを依頼する必要があります。
エコキュートの耐用年数は約15年ですが、メンテナンスを怠りタンク内に汚れをためたままにすると、耐用年数より早く買い換えが必要になるおそれがあります。
一般的にエコキュートの点検には約1~2万円、お湯が沸かない場合や水漏れの修理には約2~7万円がかかります。エコキュートは初期費用だけでなく、定期的なメンテナンス費用がかかる点に注意が必要です。
定期的な費用をかけたくない人やメンテナンスが面倒に感じる人は、慎重に検討しましょう。