キッチンは、ただ料理をするだけの場所ではありません。「子どもに料理のしかたを教える教育の場」「家族や友人と楽しく料理するコミュニケーションの場」さまざまな場所になりえます。
そんな素敵な思い出がつくれるキッチンを、適当に決めてしまうのはもったいないです。キッチンスペースが狭ければ料理しにくいですし、忙しいのに動線が悪ければパッと効率よく料理できません。キッチンが快適なスペースかどうかで、料理したいかどうかも変わるはずです。
そこで本記事では、対面式と非対面式にわけて約7種類のキッチンのメリットとデメリットを紹介します。システムキッチン(造作キッチン)の種類ごとのメリットとデメリット早見表もありますので、どんなキッチンにすべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。
もくじ
キッチンとは?システム・造作・ブロックの違い
キッチンとは「シンク・コンロ・調理台・冷蔵庫・調理家電」などが置かれている「料理をするためのスペース」のことをいいます。
キッチンの種類はどんなものがあるのかと疑問に思う人もいるでしょう。キッチンといっても種類はさまざまです。まずは下記のキッチンの基本的な違いを説明します。
- システムキッチン
- 造作キッチン
- ブロックキッチン
システムキッチン
システムキッチンとは、シンク・コンロ・調理台・収納が「ワークトップ」と呼ばれる作業台で、すべてつながっているキッチンのことです。
汚れにくく使いやすいため、掃除やメンテナンスをしやすいのがメリットです。システムキッチンを出しているメーカーも多種多様で、カラーバリエーションも豊富です。設備のグレードも最低限のものから高級仕様のものまで幅広くあります。
さらに、ショールームで実際に見て体験できるため、イメージがわきやすくスムーズに導入できます。そのため、新築購入時に選ぶ人が多い人気のキッチンスタイルです。
造作キッチン
造作キッチンは設計から施工までを依頼し、すべてをオーダーメイドでつくってもらうオリジナルキッチンです。
造作キッチンのメリットは素材、見た目、収納、高さや幅などすべて自分好みのキッチンに仕上げられることです。
「オシャレなキッチンに憧れる」「部屋のインテリアを統一したい」などこだわりがある人は、造作キッチンで理想の空間を演出できれば、満足度が高いキッチンになるでしょう。
一方、いちから造作するためシステムキッチンより費用は高くなります。また製作時間もかかるため、システムキッチンに比べ完成が遅くなりやすいです。
ブロックキッチン
ブロックキッチンは、それぞれ独立したシンク、ガス台、調理台を組み合わせたキッチンです。
それぞれの部品が独立しているため、メンテナンス時に交換しやすく、たとえばコンロだけを交換するときはそれほど費用もかからずに交換できます。
また、システムキッチンに比べると低コストで導入できるため、よくアパートやオフィスに設置されることが多いです。
しかし、ブロックキッチンは天板と天板のあいだや、コンロとのあいだにすき間ができ、ごみや汚れがたまりやすくなります。
特にコンロは据え置き型のため、システムキッチンのようなビルトイン型のコンロに比べるとすき間に食材や調味料、油汚れがたまりやすく掃除が大変です。
さらに、既製品で商品が決まっているためカラーバリエーションが少なく、収納も工夫された収納棚ではありません。
ブロックキッチンはキッチンにこだわらない、低価格重視な人向けといえます。
対面から非対面まで!キッチンの種類について解説
ここからは人気のシステムキッチンやこだわりの造作キッチンで取り入れる、キッチンの種類とそのメリットとデメリットを紹介します。
なお、下記はこれから紹介するキッチンの種類一覧です。
対面式キッチン
- アイランドキッチン
- ペニンシュラキッチン
- セパレート型(Ⅱ型)キッチン
- I型キッチン
- L型・U字型キッチン
非対面式キッチン
- 壁付けキッチン(I型)
- 独立型キッチン
対面|アイランドキッチン
アイランドキッチンはキッチンがどの壁にも接していない、独立したキッチンです。
壁に面していないため広々とした開放感があり、キッチンとしての存在感が大きいのが特徴です。
アイランドキッチンのメリット
アイランドキッチンのメリットは次のとおりです。
- キッチンを広く見せられる
- 回遊しやすく家事動線がよい
- 家族一緒に料理がしやすい
アイランドキッチンは壁に面しておらず独立しているため、キッチンを広く見せられます。
壁に視界をさえぎられることもなく広く開放感があるため、リビングやダイニングを見渡しながら料理をすることも可能です。
また、家事動線がよく、キッチンを回遊できるため、左右どちらからでもダイニングやリビングに行けます。数人で作業しやすく家族一緒に料理もしやすいです。
アイランドキッチンは、家族が手伝いやすいキッチンなのです。
アイランドキッチンのデメリット
アイランドキッチンのデメリットは次のとおりです。
- 広いスペースが必要
- 常に物を片付ける必要がある
- 価格が高い
- 臭いや煙がダイニング、リビングに広がりやすい
- 油や水はねがしやすい
アイランドキッチンはキッチンを壁から離してつくるため、スペースの確保が必須です。スペースに余裕のない住宅は、アイランドキッチンを導入できない場合があります。
壁がないアイランドキッチンは、リビングやダイニングからキッチンの様子が見えるため、常に物を片付けていないと散らかった印象になる場合もあります。
また、ほかの種類のキッチンより価格が高い傾向にあります。壁付けしないためキッチンの4面すべてに化粧パネルが必要で、通常より多くの部材が必要だったり、構造上自立できるようにする必要があったりするためです。
壁がないため、臭いや煙はダイニング、リビングに広がりやすいです。特にIHヒーターの場合、ガスコンロに比べて上昇気流が弱いため、換気扇を回しても臭いや煙をすばやく吸い取れません。そのため、換気扇を付けながら料理をしても、臭いが強い料理をしたあとはどうしても部屋全体に臭いが広がってしまいます。
また、アイランドキッチンは周りに防いでくれるものがないため、油はねや水はねがダイレクトに周囲に飛び散るおそれもあります。
キッチンメーカーによってはキッチンの前に油はねガードが設置できるため、油はねが気になる人は検討してみましょう。
対面|ペニンシュラキッチン
アイランドキッチンの左右どちらかの面を壁にくっつけた状態を「ペニンシュラキッチン」と呼びます。
一面が壁に面しているためアイランドキッチンよりも価格が抑えられ、スペースが多少狭くても導入できます。
ペニンシュラキッチンのメリット
ペニンシュラキッチンのメリットは次のとおりです。
- 開放感がある
- 家族とのコミュニケーションがとりやすい
- 狭いスペースでも設置できる
- アイランドキッチンよりも低価格
一面は壁に面していますが、ペニンシュラキッチンもアイランドキッチンと同様開放感があり、リビングやダイニングの周りを見渡せます。
そのため子どもの様子を確認したり、家族とのコミュニケーションを取ったりしながら料理することも可能です。
一面が壁に面している分、余計なスペースを取らないため、アイランドキッチンよりスペースが狭くても導入しやすく、低価格で設置できます。
ペニンシュラキッチンのデメリット
ペニンシュラキッチンのデメリットは次のとおりです。
- 常に物を片付ける必要がある
- 臭いや煙がダイニング、リビングに広がりやすい
- 油や水はねがしやすい
ペニンシュラキッチンもアイランドキッチンと同様、リビングやダイニングからキッチンの様子が丸見えになります。
そのため、常に物を片付けておかないと、部屋全体が散らかった印象になってしまいます。さらに、前にさえぎる壁がないため、臭いや煙がリビングやダイニングに広がりやすく、油はね、水はねで周辺が汚れやすいです。
ペニンシュラキッチンも片付けや掃除が常にできる人におすすめのキッチンといえるでしょう。
対面|セパレート型(Ⅱ型)キッチン
セパレート型キッチンとは、シンクとコンロが別々に分かれたキッチンで「Ⅱ型キッチン」と呼ばれることもあります。
壁側と反対側それぞれにキッチン台があり作業別に分かれてできるため、効率よく料理できます。
セパレート型キッチンのメリット
セパレート型キッチンのメリットは次のとおりです。
- 作業スペースが広く取れる
- 収納が多い
- 動線がよい
セパレート型キッチンは壁側と反対側に作業スペースや収納棚を確保できるため、料理の際にキッチン用品や食材を広げやすかったり、片付けの際に物をしまいやすかったりと、スムーズな動線をつくりやすいです。
たとえば、調理台を壁面の冷蔵庫のとなりに置けば、料理に必要な食材をすぐに準備できます。
セパレート型キッチンのデメリット
セパレート型キッチンのデメリットは次のとおりです。
- 広いスペースが必要
- 料理中、振り返る動作が増える
- 価格が高い
セパレートキッチンはコンロとシンクをそれぞれ2カ所に設置する必要があるため、広いスペースが必要です。キッチンスペースが十分に確保できない住宅では、セパレート型キッチンを選択できない場合もあります。
また、シンクとコンロが互い反対側に置かれているため、料理中振り返る動作が何度も出てきます。それぞれのカウンターを行き来しながら料理することで、通路スペースを汚す頻度も高く、こまめな掃除が必要です。
さらに、キッチンを2カ所設置する必要があるため、価格が比較的高くなる傾向にあります。
対面|I型キッチン
I型キッチンとはコンロからシンク、調理台までが横一列に並んでいるキッチンのことです。
対面式のI型キッチンは横に壁付けされるため、吊り戸棚や垂れ壁、腰壁などでキッチンの手元を目隠しできます。
I型キッチンのメリット
I型キッチンのメリットは次のとおりです。
- 狭いスペースでも設置できる
- キッチンの手元を隠せる
- 価格が安い
対面式のI型キッチンは壁付けすることで、狭いスペースでも設置が可能です。
また、ほかの対面式キッチンとは違い、垂れ壁や腰壁をつくれば作業台のうえが散らかっていても、リビングやダイニングから見えないようにキッチンを隠せます。
片付けが苦手、キッチングッズを出したままにしておきたい人には、おすすめのタイプです。アイランドやペニンシュラキッチンなどに比べると費用も安く、導入しやすい人気のキッチンのひとつです。
I型キッチンのデメリット
I型キッチンのデメリットは次のとおりです。
- 開放感があまりない
- 動線が悪い
- キッチンの存在感が薄い
カウンターで目隠しできる対面式のI型キッチンは、アイランド・ペニンシュラキッチンに比べると開放感が減ってしまいます。
また、一面が壁に面しているため、回遊できなくなり、片方からしか移動できないため動線はよくありません。
しかし、となりにお風呂やランドリールームをつくれば料理をしながら洗濯物を干すなど、逆に家事同線がよくなります。
対面式のI型キッチンは、垂れ壁や腰壁で手元を隠せるためキッチンの存在感は薄くなります。キッチンを部屋の一部としてインパクトを出したい人は、少しでも開放感があるタイプを選ぶとよいでしょう。
対面|L字型・U字型キッチン
L字型・U字型キッチンとは字のごとく、作業台がLやUのように曲がっているキッチンのことです。
L字型はシンクとコンロが直角に配置され、またU字型はさらにもうひとつ作業台が設置されているキッチンです。
L字型・U字型キッチンのメリット
L字型・U字型キッチンのメリットは次のとおりです。
- 作業スペースを広く取れる
- 作業効率がアップする動線をつくれる
L字型・U字型キッチンはコーナーがあるおかげで作業スペースが広く取れ、スムーズに料理できます。
L字型やU字型キッチンは作業スペースが広く取れるため、一度に何品も料理をつくりたい人におすすめです。
また、シンクとコンロが直角にあって距離が短いため、冷蔵庫も近い位置に設置できればシンク・コンロ・冷蔵庫の3点がそろった「ワークトライアングル」と呼ばれる作業効率がアップする動線をつくれます。
作業効率が上がれば、毎日の料理をスムーズに短時間でできます。
L字型・U字型キッチンのデメリット
L字型・U字型キッチンのデメリットは次のとおりです。
- 広いスペースが必要
- 隅のコーナー部分が使いにくい
L字型・U字型キッチンを設置するには、広いキッチンスペースを確保する必要があります。
さらに、隅のコーナー部分の作業台や収納は、奥行きがあるため手を伸ばしても届きづらく、使いにくいです。
しかし、奥行きがあるコーナーも、お気に入りの植物や雑貨を飾ってディスプレイスペースにしたり、食材のストックスペースにしたりと、工夫次第でステキに演出できます。
非対面|壁付けキッチン(I型)
壁付けキッチンは、キッチンの正面が壁に接しているタイプのキッチンです。ウォール型キッチンとも呼ばれます。
「対面」か「非対面」かの違いで、壁付けキッチンも横並びになるので「I型キッチン」に分類されます。日本では昔から採用されているタイプのキッチンです。
壁付けキッチンのメリット
壁付けキッチンのメリットは次のとおりです。
- リビング・ダイニングスペースを広く取れる
- 集中して料理できる
壁付けキッチンはキッチンが壁に面しており、余分な空間をつくりません。そのためキッチンスペースをコンパクトにまとめることができ、リビング・ダイニングスペースを広く取れます。住居スペースが狭い、家族が過ごすリビングを広く取りたい人におすすめです。
また、非対面である壁付けキッチンは黙々と料理しやすい環境のため、集中して料理したい人にもおすすめです。対面式だと家族とコミュニケーションしやすいですが、相手の行動が気になったり、口をはさんでしまったり、と思うように料理に集中できないときがあります。
壁付けキッチンのデメリット
壁付けキッチンのデメリットは次のとおりです。
- 動線が悪い
- 家族の様子がわかりにくい
- キッチンが丸見えになる
壁付けキッチンは動線があまりよくありません。壁に面して調理をし、完成した料理をダイニングテーブルに運ぶたびに振り返る必要があるためです。
キッチンとダイニングテーブルが隣り合わせでくっついていれば、食事を終えたあとの食器などもすぐに運べますが、壁付けキッチンは歩いてシンクまで持って行く必要があるため手間がかかります。
また、料理中に呼ばれても振り向かなければ家族の様子を確認できません。家族と会話をしたり、小さい子どもが危ないことをしていないか確認したりするときも、振り向く必要があるため、その都度料理が中断されてしまいます。
キッチンを隠すものが何もないため、キッチンがリビングやダイニングから丸見えになってしまうこともあります。なお、家族以外の人にキッチンを見られたくない人は、キッチンカウンターを設置して目隠し変わりにする方法があります。
非対面|独立型キッチン
独立型キッチンはダイニングやリビングとキッチンが分かれており、料理専用のスペースとして使う個室タイプのキッチンです。
独立型キッチンのメリット
独立型キッチンのメリットは次のとおりです。
- 料理に集中できる
- リビングやダイニングに臭いや煙が広がらない
- 収納スペースをつくりやすい
独立型キッチンは壁付けキッチンと同様、集中して料理できます。
特に完全に別の部屋として存在する独立型キッチンは、壁付けキッチンよりもさらに料理に集中できるため、料理中は誰にも邪魔されたくない人におすすめです。
また、独立型キッチンは別の部屋と壁で区切られているため、料理の臭いや煙がリビングやダイニングに広がりません。
オープンキッチンでは避けてしまうような煙が多い料理も、独立型キッチンなら気にせず料理できるでしょう。
さらに、キッチン専用の部屋を確保できるため、収納スペースをつくりやすいのも独立型キッチンのメリットです。
独立型キッチンのデメリット
独立型キッチンのデメリットは次のとおりです。
- 動線が悪い
- 家族の様子がわからない
- 臭いがこもりやすい
独立型キッチンはダイニングまでの距離があるため、料理や食器を運ぶときに瞬時に運べなく動線的にはあまりよくありません。
下記のような行動のたびにキッチンへ足を運ぶ必要があるため、手間がかかってしまいます。
- 食事中に料理を温めなおす
- 調味料を冷蔵庫に取りに行く
- 食器を追加する
また、壁に面している独立型キッチンは邪魔されるものがなく作業に集中できますが、その分「コミュニケーションしにくい」「家族の様子がわからない」です。
子どもが小さいうちは、安全確認やコミュニケーションのためにも料理しながらリビングの様子をみたい人も多いでしょう。
しかし、独立型キッチンの場合は部屋が壁で仕切られているため、料理を中断してリビングに向かうか、子どもがキッチンのそばにいるかなどの選択肢になってしまいます。
また、臭いや煙はダイニングやリビングに流れませんが、その分キッチンに充満するおそれもあります。キッチンに窓を設置する、料理中は換気に気をつける、などの対策が必要です。
システムキッチン(造作キッチン)の種類ごとのメリットとデメリット早見表
下記は、システムキッチン(造作キッチン)の種類ごとのメリットとデメリットを表にまとめたものです。キッチンの種類を比較する際の参考にしてください。
システムキッチンの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
アイランドキッチン |
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|
ペニンシュラキッチン |
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セパレート型キッチン |
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I型キッチン |
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L字・U字型キッチン |
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壁付けキッチン |
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独立型キッチン |
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