全国200人以上を対象に行ったアンケート調査によると、家を建てたあとに後悔した部分でもっとも多く回答されたのが「間取り」でした。(参考:ARINA株式会社「家を建てたあとの後悔・失敗ポイントは?」)
注文住宅の間取り選びで後悔しないために知っておきたい情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
まずはゾーニングで大まかな間取りイメージを
家づくりにおいてゾーニングとは、お風呂はここ、リビングはここといったように空間ごとに大まかに分けることです。鉛筆で、大体の下書きをするようなイメージです。
間取りを決める前に1番最初にすることで、家事導線の最適化やスペースの有効活用ができるため、各部屋の機能性が向上し生活がしやすくなります。
家づくりがスムーズになりイメージもしやすくなるため、間取りを決める前にゾーニングをしておきましょう。
10年前とは違う?いま人気の間取り
年々、人気の間取りは変化しています。以下では、アキュラホーム住生活研究所が実施した「住宅傾向調査2021」の調査結果をもとに、人気の間取りを3つ紹介します。
家事がはかどる!洗面所の面積を広くした間取り
近年、共働き世帯が増加しているため、家事の効率化が重要視されています。たとえば、洗濯をするときは、洗濯から乾燥まで一カ所で完結できるように、洗面所の面積を広くする家庭が増えています。
実際に、2009年から2021年に株式会社アキュラホームで建築された100棟の、間取りにおける調査結果によると、洗面所の面積は2019年の平均2.3帖から、2021年には3.0帖となって30%増えています。
年 | 面積(帖) |
---|---|
2009 | 2.3 |
2021 | 3.0 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021」』
メリット
洗面所の面積を広くとっておけば、脱衣→お風呂→洗濯→乾燥といった洗濯の一連の流れが狭い範囲で完結するため、家事の負担を減らせます。
また、間取りによっては脱衣室兼洗面所という住宅もあります。洗面所が広いスペースであれば容易に脱衣や着衣ができることもメリットです。小さな子どもがいる家庭では、脱衣や着衣を手伝うことが多いためです。
デメリット
洗面所は脱衣室やお風呂、クローゼット、トイレなどほかの部屋とすぐ隣になる場合が多いです。洗面所を広くとってしまうと、ほかの部屋が狭くなることに直結しますので注意が必要です。
また、洗面所で洗濯物を干すことが多い人にとっては、洋服の生乾きなどの臭いが気になります。しかし、臭いは室内用の洗剤や衣類用除湿乾燥機、サーキュレーターを設置すれば改善できます。
外出時に持っていくものは全部ここ!玄関横にシューズクローゼット(クローク)がある間取り
ライフスタイルの多様化によって、シューズクローゼット(シューズクローク)は靴を保管する場所としてだけでなく、ゴルフやスキーの道具、バーベキュー用品、子どもの遊び道具などを収納できる場所として人気となってきています。
実際に、2009年と2001年を比較するとシューズクローゼットの設置件数は増加しています。
年 | 件 |
---|---|
2009 | 32 |
2021 | 75 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021」』
また、設置件数に比例し面積も23%と増加しており、屋内収納の役割が求められるようになりました。
メリット
シューズクローゼットは玄関のすぐ隣に配置されているため、収納道具をすぐに取り出せる点がメリットです。
遊び道具以外にも、かばんやアウター類を置くスペースを確保すれば動線がよくなります。リビングに置きがちなモノをシューズクローゼットに保管できるため、リビングをキレイに保てます。
デメリット
靴だけを使用する玄関に比べると、さまざまな道具を出し入れするので床が砂や土で汚れやすく、定期的な清掃が必要です。
また、道具が散乱している場合は見た目が悪く、自宅を訪問した人から丸見えになってしまいます。扉やカーテンを配置するなど、空間を分ける対策を考えておきましょう。
帰ったら、すぐ手洗いを習慣化できる!玄関から直接洗面所へ向かえる間取り
新型コロナウイルスの感染予防対策として、厚生労働省は2020年から手洗い、咳エチケットの実施を呼びかけています。
結果として2020年以降は手洗いやうがいに対する認識が強くなり、帰宅後に玄関から直接洗面所に向かえるような間取りを採用する家庭が増加しました。
メリット
住宅に入ればすぐに手洗い、うがいを実施できるため、家族やお客様は外出先でひろってきた汚れや菌をすぐに落とせます。
また、家族が増えたときや朝の混雑時は洗面所を使用する時間帯が重なり、洗面所を使用できない人がでてきます。しかし、洗面所が複数あれば、混雑することなく家族みんなが準備できます。
デメリット
洗面所は、洗面台を設置するだけでなく、給排水の設備が必要です。そのため、動線や間取り次第では建築費用が高くなってしまいます。
また、水回りは水漏れなどのトラブルが多い場所ですので、洗面台が増えればリスクも高くなります。
間取りを決める手順
間取りを決める手順は以下のとおりです。
- 家族に希望を聞く
- 家族から出た意見をもとに、必ず叶えたい希望を5つ程度に絞る
- 各部屋のイメージ写真を集める
- ハウスメーカーや建築事務所から間取りを提案してもらう
1.家族に希望を聞く
まずは、家族全員で話し合いを行い、どのような家に住みたいか可能な限り意見を出してもらいましょう。希望する意見の例は以下のとおりです。
- 平家がいい
- 広い庭でBBQがしたい
- テレワークできる部屋が欲しい
- ガレージで作業をしたい
- 家事効率をよくするため、回遊動線(家の中に行き止まりがなく、ぐるっと一周できる動線)にしたい
- 子ども部屋が欲しい
- リビングは吹き抜けがよい
上記以外でもまだまだ意見は出ると思いますので、将来のことも考慮に入れながら話し合いを重ねましょう。
2.家族から出た意見をもとに、必ず叶えたい希望を5つ程度に絞る
話し合いで出たたくさんの意見の中から、これだけは絶対に叶えたいという希望を5つ程度に絞りましょう。
すべての意見を取り入れるのは不可能に近く、間取り作成だけで膨大な時間がかかってしまいます。最優先で叶えたい意見を決め、残りの意見は補助的に使いましょう。
3.各部屋のイメージ写真を集める
建築会社との打ち合わせで間取り作成を行っていきますが、打ち合わせ自体を何度も行うことはできません。限られた時間で設計士に自分たちのイメージを言葉だけで伝えるのは難しいので、「ピンタレスト」という画像探索アプリを使用するのがオススメです。
ピンタレストに各部屋をフォルダー分けし、イメージ画像をお気に入り登録しておけば、画像を見せながら打ち合わせができます。画像から間取りのイメージを設計士に伝えられます。
さらに、設計士もプロですので伝えたイメージから派生して、よりよい間取りを提案してもらえる可能性があります。
4.ハウスメーカーや建築事務所から間取りを提案してもらう
打ち合わせで家族の意見を設計士に伝え、間取りを提案してもらいましょう。打ち合わせは数回ありますので、何度も家族の話し合いを重ねて、実際に生活のイメージをすると、よりよい間取りに近づきます。
また、ハウスメーカーや建築事務所によっては、契約前に簡易的な間取りを作成してくれます。最初からひとつの会社に絞って作成してもらう方法もありますが、たくさんの会社に間取りを作成してもらい、お気に入りの間取りを見つけるのもよいでしょう。
間取りを最終決定する前に!後悔しないためのチェックリスト
昔から「家は3回建てないと理想の家にはならない!」といわれています。筆者はまだ1回しか建てたことがないですが、もう一度建て直すことができたら…と思うことが何度もありました。
たとえば、「2階にもトイレがある間取りにすればよかった」「階段の場所をもう少しずらせばよかった」「パントリーを採用すればよかった」など多くの後悔をしています。
後悔しないためにも間取りを最終決定する前に、確認しておきたいことを紹介します。
ずっとその間取りでも問題ない?子どもの独立後や老後を見据えた間取りにする
子育てしやすい間取りなど、いまの住みやすさを重視した間取りにするのは間違いではありません。しかし、老後の住みやすさについても考慮しておくと、のちの住みにくさが軽減されます。
ただし、子どもが赤ん坊のときから成長し独立したとき、巣立って夫婦2人だけの老後生活をするときなど、「どの時期も住みやすい間取り」にするのは難しいでしょう。どの間取りも完璧とはいえず、中途半端になってしまう危険もあります。
そのため、老後や子どもが家を出たあとのことを考え、最初から変更しやすい間取りにしておくのがおすすめです。
場所 | 提案 |
---|---|
家中 | なるべく段差をつくらない |
トイレ | 誰もが行きやすい動線にする |
未来のための1階の寝室 | 老後階段の上り下りがつらくなったときのために、1階の寝室候補の部屋をつくる。 来客時は、ゲストルームとして活用 |
少しでも未来を見据えた間取りを取り入れることで、老後や高齢の両親が来た際も住みやすくなります。
プライバシーは大丈夫?窓やベランダの位置に注意
意外と見落としがちなのが、外からの視線です。
窓を開けたとき、お隣さんと顔が合わせられるような位置になっていませんか。どんな洗濯物が干されているか、外からすぐわかるような位置にベランダはありませんか。
人通りが多い場所に窓はあるか、ある場合は人が通るときの目線の高さから外すことで、視線が気になりにくくなります。
ぜひ、いま一度確認をしてみてください。
その設備は本当に必要?逆に足りない設備はない?
「便利だから付けよう」と思って付けた設備でも、結局あまり出番がなく使わなくなるケースも多々あります。
逆に「やっぱり付けておけばよかった」と後悔する設備もあります。後戻りができなくなってしまう前に、最終確認しておきましょう。
本当に必要?いらなかった設備
外見ばかり気にして、機能性を見落としてしまっては本末転倒です。下記で本当に必要なのか、見極めポイントを紹介しているので当てはめてみてください。
設備 | 必要かどうかを見極める質問 |
---|---|
勝手口 |
|
バルコニー |
|
天窓 |
|
すべて魅力のある設備でしたが、筆者はすべて不採用にしました。その理由を紹介します。
両家の実家には勝手口がありますが、いまは封鎖されていて使用していません。そのため、勝手口を付けずに窓をつけました。太陽光も入ってきて、キッチンが明るくなりました。窓のほうが費用も抑えられ得した気分です。
実はバルコニーはずっと夢で付けたかったのですが、掃除が苦手な筆者にとってきれいさを維持できる自信がなかったのと、洗濯は夜干すことから部屋干しが大前提だったので、こちらも不採用にしました。
また、天窓ですが、天窓は窓の汚れが気になってしまう+屋根全体に太陽光パネルを設置したかったので筆者は不採用にしました。
紹介した3つの設備だけでなく、ぜひほかの設備も本当に必要か実際の生活を具体的にイメージして確認してみましょう。
足りない設備はない?付けておけばよかった設備
予算の関係で断念せざるをえない設備もありますが、足りない設備はないでしょうか。ここでも筆者の体験を交えて、確認ポイントを紹介します。
設備 | 必要かの見極めポイント |
---|---|
パントリー |
|
コンセント |
|
各階のトイレ |
|
上記は、筆者が後悔した設備です。あとで付けようと思っても、その分費用がかかってしまいます。
足りない設備はないかなど、もう一度確認をして後悔のない家づくりをしてください。
平面図だけで確認してない?立体でリアルな生活をイメージしよう
平面図だけでは、なかなかリアルな生活はイメージしにくいものです。たとえば、収納の場所。平面図だけではなかなか、どのくらいの大きさかイメージしにくく、実際に建ててから収納が小さかったと後悔しがちです。
立体でリアルな生活をイメージできれば、懸念事項はもちろん、より日常の生活にあった間取りアイデアや出てきます。
ぜひ、平面図だけではなく、立体でリアルな生活をイメージしてください。メタ住宅展示場では、大手ハウスメーカーをはじめ多種多様な間取りを立体で確認できます。気になる間取りがあれば、無料でお取り寄せもできますので、お気軽にご利用ください。
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