環境問題に寄与できるだけでなく、電気代を節約できる可能性がある太陽光発電。家の新築は導入するチャンスです。しかし、太陽光発電を導入しても本当に大丈夫なのでしょうか。設置費用のもとは取れるのでしょうか。
太陽光発電を新築に導入するときの素朴な疑問にお答えします。
もくじ
太陽光発電は新築のときに設置したほうがいい?
太陽光発電は、新築のときに導入するとメリットが大きくなります。実際に新築のときに導入するメリットは、次のとおりです。
- 住宅ローンに組み込める
- 効率的に電気がつくれる
- 余分な施工費用がかからない
- 早くから発電できる
太陽光パネルの設置を考慮した屋根の形状で建てられたり、住宅ローンに組み込めたりと、新築のときに導入するメリットは大きいです。しかし、日当たりなどをしっかり考慮して太陽光パネルの設置場所を考える必要があります。発電量のシミュレーションも念入りにしておきましょう。
太陽光発電を導入するメリットとデメリット
太陽光発電の基礎知識と設置するメリットとデメリットについて解説します。
太陽光発電とは
太陽光発電とは、太陽光がシリコン半導体を張り合わせた太陽光パネルに当たると電気が発生する現象を利用した発電方法です。一般家庭でも太陽光発電が普及しており、大きく注目されています。
太陽光発電のメリット
太陽光発電には、次のメリットがあります。
- 環境にやさしい
- 管理に手間がかからない
- 電気代を削減できる
- 停電時でも電気が使える
それぞれのメリットについて解説していきます。
環境にやさしい
太陽光発電は、発電時に二酸化炭素や窒素酸化物などの大気汚染物質を排出しません。脱炭素化に貢献する再生可能エネルギーとして、環境問題に大きく貢献しています。
管理に手間がかからない
太陽光発電は仕組みが簡単で、管理に手間がかかりません。故障のリスクも低く、手入れの必要性もほとんどなく、約3〜4年に1回点検をする程度で問題ないとされています。長期間安心して使い続けられるのは、大きなメリットです。
電気代を削減できる
太陽光発電を導入することで、電気代を削減できます。電力会社に支払う電気代を太陽光発電で補えるので、電気代を節約できるのです。どれだけ節約できるのかは、契約している電気料金のプランや設置する太陽光パネルの発電容量などによって変動します。
停電時でも電気が使える
太陽光発電を導入すると、災害などの停電時でも電気が使えます。太陽光が届く限り発電できるため、停電時の強い味方となります。また、太陽光パネルだけでなく、蓄電池も設置すれば発電した電気を貯められます。それにより雨や夜でも電気の利用が可能になります。
太陽光発電のデメリット
ここでは、太陽光発電のデメリットについて解説していきます。
- 設置費用が高い
- 自然条件に左右される
設置費用が高い
太陽光発電の太陽光パネルは設置費用が高く、一般的な住宅だと約80万円〜300万円ほど初期投資が必要になるでしょう。しかし、自治体の補助金を利用するほか、リースなどで初期費用をかけずに設置できるサービスなどもあり、導入費用を抑えることが可能です。
太陽光発電の導入には高額な設置費用がかかるため、しっかり発電量や回収にかかる期間などをシミュレーションしておくことが大切です。
自然条件に左右される
太陽光発電は、太陽光が届かないと発電できません。そのため、雨天時や夜間などは発電できず、日照時間が少ない冬では十分に発電ができないなど、自然条件に左右されることがデメリットです。
太陽光発電の素朴な疑問にお答え!
太陽光発電に興味はあるものの、意外と基本的なことがわからなくて困ることがあります。そんなちょっと人には聞きにくい、素朴な疑問にお答えします。
- 太陽光発電の設置費用のもとは取れる?
- 太陽光発電の耐用年数はどれくらい?
- 発電した電気は貯められる?
- 落雷の心配はない?
- 太陽光パネルの掃除は必要?
太陽光発電を設置した費用のもとは取れる?
太陽光発電の設置費用の回収にかかる期間は、住宅用太陽光発電は約7〜8年、産業用太陽光発電では約10〜12年といわれています。住宅用の場合は、固定買取制度の期間内に設置費用の回収が見込めます。設置費用の回収後は、電気を売ったお金が利益になります。
太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度。
太陽光発電の耐用年数はどれくらい?
太陽光発電の耐用年数は30年以上といわれており、耐用年数40年以上を目指すメーカーも増えています。太陽光発電設備はメンテナンスをきちんと行えば、住宅と同様に長期的に利用できます。
発電した電気は貯められる?
住宅用の太陽光発電には、電気を貯めておく機能がありません。太陽光で発電した電気は、基本的に自宅で使用するか、売電することになります。もし電気を貯めておきたい場合は、蓄電池の設置が必要です。ただし、家庭用の蓄電池はとても高価で、設置費用のもとを取るのは困難です。
太陽光パネルの掃除は必要?
太陽光パネルの掃除は、基本的に必要ありません。パネルの表面に付着した汚れは、雨が降ったときに流れ落ちていきます。どうしても汚れが気になる場合は、高所作業になるため、専門業者に相談しましょう。
落雷の心配はない?
落雷で太陽光パネルが損傷したり、システムが破損したりすることはほとんどありません。太陽光発電システムには、万が一落雷を受けても問題ないように対策がされています。通常の設置であれば、落雷による被害を心配しなくてもよいでしょう。
太陽光発電の義務化は本当に実施される?
東京都では「新築建物を対象とした太陽光発電の設置義務化」制度の検討がされています。
東京都は2000年を基準に、東京都内から排出される温室効果ガス排出量を2030年に50%削減、2050年に実質0%にする取り組みを行っています。このまま進めば、新築建物を対象にした太陽光発電の義務化は実施されることになるでしょう。
対象になるのはどんな住宅?
太陽光発電の義務化の対象になるのは、日照などの立地条件や、住宅の屋根の大きさなど個々の住宅の形状などを考慮して、ハウスメーカーや建築会社が供給する住宅棟数に応じた「再エネ設置基準」に適合する必要があります。
基準算定式は、次のとおりです。
算定基準率は、区域に応じて設定される予定です。ハウスメーカーごとに再エネ設置基準が算定され、ハウスメーカーがさまざまな方法で達成できる仕組みとなっています。
太陽光発電義務化はいつから実施される?
太陽光発電義務化は、令和4年12月の第4回都議会定例会において、条例改正案を提出すべく準備を進めています。
問題がなければ、約2年間の準備と周知期間を経て、令和7年の4月に制度が施行される予定です。これはあくまでも予定で、確定事項ではないので注意してください。
太陽光発電義務化の素朴な疑問
まだ確定はしていないため注意は必要ですが、住宅の建築を検討している人のなかには不安を感じている人もいるでしょう。太陽光発電義務化の素朴な疑問にお答えします。
設置費用は施主が負担するの?
太陽光パネルの設置費用は、注文住宅の施主や建売分譲住宅の購入者などが負担します。
太陽光パネルの設置義務者は誰?
太陽光パネルの設置義務者は、年間の都内供給延床面積の合計が20,000m2以上の、都内のハウスメーカー約50社が対象の見込みです。
建物の供給事業者が設置義務者となり、注文住宅の施主などとともに、建物の環境性能の向上を推進していく制度になります。
初期費用の回収はできる?
たとえば、4kWの太陽光パネルを設置したとすると、初期費用の98万円が、10年程度で回収できます。また、現行の補助金を活用した場合、6年程度で回収が可能です。長期的な観点では、経済的なメリットがあるといえるでしょう。
台風で太陽光パネルが破損する可能性はある?
太陽光パネルの耐風圧は、風速換算で毎秒62mにも耐えられる設計になっています。そのため、台風で太陽光パネルが破損するおそれは限りなく低いといえます。
年間の発電量はどの程度?
新築の建物に4kWの太陽光パネルを設置した場合、年間で4,000kWh程度の発電量が見込まれています。これは一般家庭の平均年間電力消費量の約8割に相当します。ただしあくまで試算のため、実際には前後すると思われます。