家づくりを進めていくなかで、「プレハブ住宅」という言葉を耳にするかもしれません。
注文住宅を検討する際は、多くの方がプレハブ住宅の検討を視野に入れることになります。それほど日本住宅では当たり前の建物といえます。
この記事では、プレハブ住宅がどのような住宅で、どのようなメリットやデメリットがあるのかを解説します。
もくじ
プレハブ住宅とは?
プレハブ住宅の特徴について解説します。注文住宅の検討を始めたばかりの方にとってはなじみのない建築用語になります。しっかりと特徴を把握し、検討するようにしましょう。
プレハブ住宅=仮設住宅ではない
プレハブと聞くと、災害時に建築される仮設住宅のイメージがありますが、そうではありません。プレハブとは、プレファブリケーション(prefabrication)の略で、一言で説明すると、あらかじめ建築された住宅のことです。
具体的には、工場で生産された部材をある程度組み上げた状態で建築現場に搬入し、現地で組みたて作業を行う建築方法です。
ハウスメーカーのほとんどが導入している
大手ハウスメーカーのほとんどがプレハブ住宅を主力商品として取り扱っています。そのため、建築会社選びでハウスメーカーを視野に入れるということは、プレハブ住宅を視野に入れるということになります。
一方で、大きな工場などを保有していない地元の工務店に建築を依頼する場合は、プレハブではなく現地で一から作業していく建築方法になります。
プレハブ住宅は将来的に需要が見込める
2020年の「プレハブ住宅完工戸数実績調査及び生産能力調査報告書」によると、プレハブ住宅は、全新設住宅着工数の約15%を占めていることがわかります。
全新設住宅着工戸数に対するプレハブ住宅完工戸数 の割合は14.6%(2019年度は15.4%)であった。
2019年よりは割合が減少しているものの、職人が減少する現在において、工場である程度の生産と組み立てを行うプレハブ住宅の工法は非常に重宝されるため、将来的に需要の増加が見込まれています。
プレハブ住宅のメリットは?どのような家が実現できる?
ここでは、プレハブ住宅のメリットと実現可能な家のイメージについて解説します。
高品質を維持できる
プレハブ住宅における最大のメリットは、品質が安定する点です。設計どおりに部材をカットして組み上げたとしても、カットや組み上げに人の手が加わると、品質にムラができてしまいます。そのため、どれほど素晴らしい品質を謳うハウスメーカーであっても、人の手で加工した家では、品質保証ができません。
その点、部材のカットから組み上げまでを工場で行うプレハブ住宅では、どの現場でも同じ品質を実現できるため、消費者は安心して建築を任せられます。高品質をアピールしているハウスメーカーが扱うほとんどの商品がプレハブ住宅であることも、工場で設計どおり行えるという理由があるからです。
低コスト
プレハブ住宅は、人の手で加工するのではなく、木材を大量に入手し工場でカットを行うという特徴があります。この方法を用いることで大量生産と品質の均一化を可能としており、品質を維持しながら低コスト住宅を実現しています。
つまり、プレハブ住宅は価格重視の安かろう悪かろうの住宅ではなく、むしろ高品質住宅といえます。
納期が短い
工場で大量生産と組み立てを行うプレハブ住宅は、現地で一から組み上げるよりも納期が短くなります。ハウスメーカーによってはわずか1カ月で上棟までを完成させます。納期が短いメリットは次のふたつです。
- 住宅ローンの負担を抑えられる
- 部材の劣化防ぐ
住宅ローンの負担を抑えられる
土地から購入し注文住宅を建築する場合、銀行からの融資は土地決済と建物完工の2段階に分かれて行われます。そのため、土地の決済から建物完工までの期間が長い場合、家が建っていない状態で土地のローンだけを支払う必要があります。
賃貸物件に住んでいる場合は、家賃と土地ローンが重なってしまい、大きな金銭負担になってしまいます。着工から完工までの期間が短いプレハブ住宅では、こういった負担大きい状態を最低期間にできる可能性があります。
部材の劣化防ぐ
工場で組み上げることで現場に部材を置いておく期間がほとんどなくなります。そのため雨風にさらされる心配もありません。木材は、本来水に弱いものです。対策はされていますが、雨風に一定期間触れてしまえば、品質が落ちていないとは言い切れないでしょう。
このように、高品質を実現するだけでなく、品質の維持管理にもプレハブ住宅の工法は活かすことができます。
知っておくべきデメリット
プレハブ住宅のメリットについて解説しましたが、工場で組み立てをする工法にはデメリットもあります。各ハウスメーカーはプレハブ住宅のデメリットを創意工夫によって減らす努力をしていますが、工法自体が抱えるデメリットについては知っておきましょう。
デザインの自由度が下がる
注文住宅のメリットは自由設計という点にありますが、プレハブ住宅では、梁や柱の位置が固定されてしまうため、設計にある程度の制限がかかってしまいます。
ハウスメーカーのパンフレットにはプレハブ住宅のよい点が多く記載されていますが、プレハブ住宅以外の住宅と比べた際のデメリットについては記載されていないことが多いです。また、デザインについては契約を締結したあとに具体的な設計を計画していくため、自由度が低いと感じたときにはメーカー変更が難しい段階になっています。
そのため、プレハブ住宅を主力商品に扱っているメーカーを検討する際には、まずどこまでのデザイン設計が可能なのかを確認するようにしましょう。
プレハブ住宅の内容によっては費用が高くなる
プレハブ住宅の中には企画住宅という商品があります。この商品は完全に間取りが固定されており、その中から選んで建築してもらうという内容です。建売住宅のような印象を受けますが、ハウスメーカー独自の品質保証を受けられるというメリットが魅力的だといわれています。
しかし、企画型のプレハブ住宅を選択し、間取りを少しだけ変更したいという依頼をした場合には通常の間取り変更よりも費用が高くなる傾向にあります。
入居後の間取り変更が難しい
建築時にデザイン設計に制限がかかるプレハブ住宅ですが、入居後のリフォームにおいても同様のデメリットがあります。エアコンやコンセントの位置、ふたつの部屋をひとつにするため壁を抜くといったリフォーム工事には大きな制限がかかります。
同居人数の変化に応じて家屋内を最適な状態にリフォームしていきたいところですが、技術面においても品質維持という面においても、プレハブ住宅はリフォームがしにくい住宅だといえます。
家づくりを検討する際にはプレハブ住宅も視野に入れよう
プレハブ住宅の特徴をまとめると次のとおりです。
メリット | デメリット |
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プレハブ住宅はハウスメーカーのほとんどが主力商品に採用しています。つまり、注文住宅を検討する際にはプレハブ住宅を検討する確率が高くなります。各ハウスメーカーがそれぞれの技術力を使い、プレハブ住宅のデメリットをなくしメリットを活かす商品を作り上げています。プレハブ住宅でない家との比較をしつつ、失敗のない家づくりを実現していくことが重要です。