せっかく住宅展示場に行くのに、何の準備もしていないと、ただモデルハウスを見ているだけで、何も得ずに終わってしまうおそれがあります。住宅展示場へ足を運ぶときは、事前に準備をしておきましょう。住宅展示場へ行く前に準備しておきたいことを、チェックリストにしてまとめました。
準備しないで行くのはもったいない!
住宅展示場へ行くのをとても楽しみにしている方も多いと思います。ところが住宅展示場へ行くと、どこを見たらよいのかわからない、どれが自分たちに合っているのかわからない、とよくわからないままに見学を終えてしまうことも少なくありません。
住宅展示場の見学を有意義なものにするには、次のような準備をしておくことが大切です。
- 自分たちの好みを知る
- 家の工法や性能について調べておく
- 土地の情報、希望をまとめておく
- 質問事項をまとめておく
- イベントやセミナーの情報をチェックする
自分たちの好みを知る
住宅展示場にいくつもあるモデルハウスを見学して回るのは、時間的にも体力的にもとても困難です。ある程度ハウスメーカーを絞り込んでから見学することをおすすめします。
ハウスメーカーごとに得意なデザインや工法などさまざまな特徴があります。
ハウスメーカーを絞り込むために、自分たちがどのような家を求めているのか、どのような暮らしを送りたいのかをイメージすることからはじめましょう。
- デザイン
- 性能
- 会社規模
- 予算
- 暮らし方
あらかじめ上記などをメインに話し合いをしておくと、スムーズに見学ができます。
家の工法や性能について調べておく
家の工法は、大きく木造と鉄骨造とRC造に分けられ、それぞれに特徴があります。
自由自在な間取りと木のぬくもりを感じられる雰囲気、柱のない大空間と長く軒の出た屋根デザイン、高い気密性と断熱性に加えて高いデザイン性……といったように、工法によってできることに違いがあります。
家の性能については、C値、Q値、UA値など指標となる値がいくつかあります。大まかに何をあらわす値なのかくらいがわかっていればよいでしょう。
指標 | 意味 |
---|---|
C値 | 相当隙間面積のことで、家の気密性をあらわす。数字が小さいほど気密性が高い |
Q値 | 熱損失係数のことで、熱の逃げにくさをあらわす。数字が小さいほど熱の損失量が少なく、断熱性が高い |
UA値 | 外皮平均熱貫流率のことで、熱の流出しやすさをあらわす。数字が小さいほど熱が流出しにくく、断熱性が高い |
住宅展示場を見学して性能の説明を受けたときに、指標の意味がわかっていると、より家づくりについての理解が深まります。
土地の情報、希望をまとめておく
土地を持っておらずこれから探す必要がある場合は、大まかな希望するエリアを考えておきましょう。学区や実家までの距離、周辺環境など土地を決める要素は人によってさまざまですが、予算を大きく左右するのがエリアです。
平屋と2階建てのどちらがよいか決まっている場合は、それも住宅展示場の担当者に伝えましょう。土地を探すときの広さに大きくかかわってくるため、重要な情報です。
質問事項をまとめておく
住宅展示場の担当者に聞いておきたいことを、あらかじめまとめておきましょう。
- ハウスメーカーの特徴(工法や性能、デザイン性など)
- 自分たちの予算内で建築可能か
- 希望の間取りや設備が実現可能か
- アフターメンテナンスや保証制度
上記のような聞いておきたいことをまとめておくと、聞き逃しなく見学ができます。
イベントやセミナーの情報をチェックする
住宅展示場では、定期的にイベントやセミナーを実施していることがあります。普段では体験できないことができたり、住宅ローンや土地に関するセミナーを受けられたりと、家づくりに役立つものが数多くあるので積極的に利用しましょう。
イベントやセミナー当日は多くの方が来場されるので、事前に予約をしておきましょう。
住宅展示場へ行くときの持ち物チェックリスト
住宅展示場へ行くときに持っておきたいもののチェックリストです。
□筆記用具、メモ帳
□巻き尺
□デジタルカメラ(スマートフォンのカメラでも可)
□大きめのバッグ
□気に入ったデザインの画像
筆記用具、メモ帳
住宅展示場を見学して回っていると、どこでどんな話を聞いて何を気に入ったのかもわからなくなってしまうことがあります。ハウスメーカーの名前を記録しておきましょう。また応対してくれた担当者の印象なども、メモに残しておくとよいでしょう。
巻き尺
気に入った間取りやキッチンなどの設備があったら、寸法を測ってメモに残しておきましょう。意外と盲点なのが廊下の幅や階段の幅、カウンターの高さなどです。
いざ間取りを考えるときになって、「使いたかったキッチンが入らない」「イメージしていたより廊下が狭く感じる」とならないように注意が必要です。
デジタルカメラ(スマートフォンのカメラでも可)
デジタルカメラやスマートフォンのカメラを使って、参考になりそうなものを撮影しておくとよいでしょう。ただし撮影を禁止しているハウスメーカーがあるので、撮影をするときは確認が必要です。
スマートフォンで撮影をする場合は、シャッター音が響くこともあるので、無音で撮影ができるアプリを利用するなど配慮しましょう。
気になった場所を撮影しておくことで、1社に絞って間取りやデザインを考えるときの参考にできます。
大きめのバッグ
ハウスメーカーのなかには、見学をした方に多くのパンフレットやノベルティを渡すことがあります。持ち帰るための袋やバッグも一緒にもらえますが、ハウスメーカーのロゴが入っています。
ほかのハウスメーカーを見学するときに、他社のロゴ入りの袋を持っていくことに抵抗がある人は、持参したバッグを使用するとよいでしょう。
気に入ったデザインの画像
Webサイトなどで家のデザインを調べているときに、気に入ったものがあればスクリーンショットなどの画像で保存しておくと、担当者と話をするときに希望が伝えやすいのでおすすめです。
好みのデザインを担当者と共有して、そのハウスメーカーで実現できるかどうかを確認できます。
見学前に決めておくチェックリスト
担当者とスムーズに話をするために、住宅展示場の見学をする前に決めておくことをチェックリストにまとめました。
□大まかな予算
□間取りイメージ
□見学の順番
□絶対にゆずれないこと
□土地について
大まかな予算
住宅展示場のなかには、ローコストで建てられるハウスメーカーやハイブランドのハウスメーカーが混在しています。そのため見学して気に入ったものの、予算が合わなくてがっかりすることもあります。
大まかでもよいので、あらかじめ予算を決めておく必要があります。いきなり総額〇千万円という金額は決めにくいと思いますので、月々いくらまでなら支払えるのかを決めてから、総額の予算を算出しましょう。
間取りのイメージ
予算を大きく左右するのが、家の間取りと広さです。自分たちに必要な広さや部屋数などの間取りをきちんと把握して、適正な間取りと広さを計画することが大切です。子どもの人数や親との同居の可能性など、将来的な家族計画も含めて考える必要があります。
見学の順番
どの順番で各ハウスメーカーを見学するのかを決めておきましょう。1日3社見学するつもりで住宅展示場へ行ったのに、1社目と2社目の見学が予定より長くなってしまい、一番見たかった3社目を見学できないこともよくあります。
可能であればそれぞれ予約をして、時間を決めてから見学へ行くのがおすすめです。予約をしておけば見学の案内もしっかり対応してもらえることが多いです。さらに、次の見学の時間が決まっていれば、その時間に合わせて切り上げられます。
また、体力的に1日の見学は3社ほどにするのがおすすめです。
絶対にゆずれないこと
家を建てるときに重視するポイントが、家族の間でも大きく異なることがあります。斬新なデザインを優先したい人と、性能に特化したい人など、全員の希望を同時に叶える家はとても困難です。
それぞれが絶対にゆずれないことやこだわりたいポイントを整理すると、家づくりの方向性が定まりやすく、みんなの満足できる家ができます。
土地について
土地の購入が必要な場合は、以下のような多くの検討すべきポイントがあります。
- エリア
- 広さ
- 周辺環境
- 学校までの距離や職場までの通勤時間
- 災害対策
100点満点の土地に出会うのは難しいかもしれませんが、土地についてどんな優先順位で探していくのかをある程度整理したうえで見学に臨みましょう。多くのハウスメーカーでは土地探しも手伝ってくれるので、自分たちの要望が伝わりやすいです。
土地を持っている場合でも、上下水道の状況、法的な規制などを確認する必要があります。これらの確認については、ハウスメーカーが代わりにやってくれることがあるので、担当者に聞いてみましょう。
見逃し注意!モデルハウスのチェックポイントリスト
モデルハウスを見学したときに、見逃しやすい確認すべきポイントをチェックリストにしました。担当者に聞き忘れないようにしましょう。
□デザイン
□価格帯
□工法・構造
□性能
□保証・アフターメンテナンス
デザイン
住宅展示場には、各社の特色を全面に押し出したモデルハウスが建ち並んでいます。
ある程度はハウスメーカーも対応できるものの、やはりメーカーが得意としている、施工実績の多いデザインのほうが最終的な満足度は高くなります。自分たちの望んでいるデザインと合っているかどうかは、重要なポイントです。
価格帯
単純に建物本体価格を建物面積(坪)で割ったものを坪単価といいます。価格帯については担当者に単刀直入に「御社の坪単価はどれくらいでしょうか」と尋ねましょう。このように尋ねても、失礼にはあたりません。
どのようなグレードの建物なのかによっても、坪単価は大きく変わりますが、おおよその予算感覚を掴めるでしょう。
工法・構造
地震大国の日本では、住宅の工法や構造は重視すべきポイントです。
木造、RC造、鉄骨造などさまざまな工法があるなかで、自分たちに合っているものはどれなのかを決めなくてはいけません。一番多いのは木造住宅ですが、在来軸組工法やツーバイフォー工法、ハウスメーカー独自の工法など工法はさまざまです。同じ木造とはいえ、特徴もそれぞれ異なるので、しっかりと説明を聞いておきましょう。
性能
快適な暮らしを実現するために、住宅の性能は最重要ポイントといえます。C値、Q値、UA値などの数値だけで快適な家かどうかの判断はできませんが、この数値での性能に力を入れているハウスメーカーが増えてきています。
性能のなかには、耐震性能や長期優良住宅、省令準耐火などの品質や強度などにまつわるものも含まれる場合があります。
家は一度建てたら何十年も住み続けるものです。新築時の性能が可能な限り長く保てるように、どのような工夫や対策が考えられているのかも聞いてみましょう。
保証・アフターメンテナンス
近年特に注目を集めているのが、保証とアフターメンテナンスです。
長期保証をうたっている大手ハウスメーカーでは、50年という長い保証制度を設けている場合があります。ただし保証については2点注意しておくことがあります。
- 長期保証でも途中で有料の点検とメンテナンスを受けることが条件ではないか
- ハウスメーカーの経営は将来的にも安定して継続できるものか
有料の点検とメンテナンスについては、多額のメンテナンスコストが必要になるのか、無償なのかによって、家を維持するコストに対する考え方も大きく変わってきます。
ハウスメーカーの経営については、保証制度のそもそもの大前提といえます。ハウスメーカーが独自に長期保証を行う場合は、当然その会社が存続していなければ保証を受けられません。
いまでは大手ハウスメーカーだけでなく、地場のハウスメーカーにも長期保証を実施するケースが増えてきています。いままでの施工実績や、これからの住宅着工戸数減少に対する対策など、どのように考えているのかを聞いてみましょう。
また長期保証を行う会社のなかでは、保証を保険会社に委託しているケースもあります。この場合は仮に建築したハウスメーカーが倒産しても、その保険会社が保証で対応してくれるので、保証を「誰が」してくれるのかも確認しておくと安心です。